9/4 ブログ前の世界とブログ後の世界(エリート官僚と覚せい剤)
ブログが世に出る前の世界とブログが世に出た後の世界、これだけ大きく変わるのは珍しいのではないか。
記事のタイトルだけを読むと「なんだ、エリート官僚やっちまったかー」と一斉に勝ち組叩きが始まる内容のニュースだろう。このニュース、そうは終わらなかったのが事件の複雑なところだと思う。
ブログ公開前の世界
誰もが速報を読んで「人生棒に振ってバカだなー」「調子乗ってるからだよ」とか彼を叩いたのではないだろうか?実は私はそう思ってしまった。国家公務員試験を受けたことがある人間なら、その難しさその後の官庁訪問の厳しさというのを知っている。そんな苦労をして入った省庁で、なんで薬物に手を出してしまったのかと私は思った。
このニュースに限らず、速報レベルの(つまり表層的な)中身を知るだけで我々は満足する。次から次に新しいニュースばかり見せられるし、残虐なニュースも喜ばしいニュースも同じトーンでキャスターから伝えられる(というより浴びせられる)。
事件が多過ぎるから、1つひとつの事件がその後どうなったかなんて数日気にしたとしても、1週間後には忘れてしまっているだろう。我々は忙しいし、移り気だし、飽きっぽい。
ブログ後の世界の生みの親
そんな中、裁判の傍聴人としてこの事件を追い続けた方がいる。阿蘇山大噴火さん(すごい名前だな)という方で、ブログ後の世界の生みの親である。
この記事を読むと被疑者の方の印象が180°変わった。
うつ病になったきっかけについては「労働環境が過酷でした」と話しています。平成25年に経済産業省資源エネルギー庁勤務、平成27年に本省の自動車課に異動。この頃「この仕事を本当に好きでやっているのか」と悩んでいたようです。エネルギー庁での残業時間を聞かれると「平均で月150時間。多い時は300時間でした。1週間泊まり込みもありました」と。
もはや常人ができる所業ではない。その責任感や仕事への熱意たるや、なんと言っていいか頭が下がります。官僚の仕事というのは規模も影響力も民間仕事とは次元が異なるので、残業が多くなるというのは昔から言われていたことではあります。しかし、この時間は。。。
ブログ前の世界では、速報直後に多くの人が下記の方のように経産省を批判し始めました。
ちなみにブログ著者である阿蘇山大噴火さんは当時下記のようなツイートをされていました。後日法廷で省内に持ち込まざるを得なかったことが分かる訳ですが、批判というより冷静に事件を見て疑問を持っていたことが印象的です。
ブログ公開後、一般の方のブログ後のツイートは下記のような「理解」「同情」を示すものが多いように思います。
全ては想像力のために
被疑者個人がどう報道されようと、ひいては真実がどうであろうと「視聴者が無関心である」というメディア側の理由(配慮?言い訳?)でその後どうなったか(真実はどうだったか)はほとんど報道されない。
マスコミが追わない事件のその後を、今回でいえば阿蘇山大噴火さんのように丁寧に追い続けて記事化する人がいるということが、どれだけ社会にとって貴重かということが身に染みて分かるキッカケとなった事件だと思う。
その意義を考えるとすれば、全ては社会の人に相続力を持ってもらうためではなかろうか?
事件が報道された後、被疑者・被害者・関係者いずれの人に対しても想像力を持って接することの重要性をこの事件は教えてくれた。
世の中は変えることができる
私はそう思った、世の中は変えることが出来るのだと。
しかしながら、こういったブログを書いている方の大半はフリーランスであり執筆によってお金を稼ぎ続けるのは困難を伴うものだろう。優良コンテンツを作り続けるには費用が掛かり1人で負担し続けるのは不可能だ。誰かが肩代わりをする必要がある。
ブログが公開される前の世界と公開された後の世界、どちらが良いかと言えば確実に後者だ。被疑者の置かれた環境というのを多くの人が想像するようになったからだ。それだけで、このブログには大きな功績があると思う。
阿蘇山大噴火さんをはじめ、こういった活動をされている方にお願いしたい。是非そういった活動をされている方にはnoteを使うことで活動を見える化し、ある意味で「支援しやすい状態」というのを作って頂きたいと思う。
支援する準備は出来ております。
もしサポート頂けることがあれば、それは金額の多寡というより、そのお気持ちが私に多大なる自信を与えてくれます。それに感謝致します。