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寿司日乗709〜715
2024年11月4日(月)晴れ
午前中起床、ジェーン・スーのラジオを聴きながらみしお食堂の仕込み。このところもやしが20円程値上がりしているがこれには大いに賛成です。もやし、万能なのに常に低姿勢な値段でした。50円でも安い。しかももやしは旨い出汁がでる。もやしもやし書いているともやし……もやし?ゲシュタルト崩壊がおこりますね。
昼飯の後、開けた窓から隣のお宅、引き続き仁義なき戦いを観ている音が聞こえてくる。いやぁ、さてはハマりましたな、しかし音量がデカい。苦情になりゃしないか、大丈夫だろうかと老婆心が湧く。のち作業、気付くと22時半。予定など確認の為手帳を開いて本日は休日なのだと知る。メリハリのある暮らしから遠のいて暫く経ちますがわりと穏やかなものであります。
2024年11月5日(火)晴れ
「寒いさむい!あぁ寒いねぇ……」声に出して身体を擦りながら寒さ(季節)を意識することで活きる心持ち、今日はさみぃということを素通りしないだけでも1日のリアリティが増し朝風呂に入り気合いが増す。朝起きるのは大切ですな。みしお食堂、今月はひよこ豆ミンチを使った麻婆豆腐定食。お客様と墓仕舞いの話の途中、梅図かずお氏の訃報を知り、各々が持っている梅図かずおメモリーの話などする。私のメモリーは10年以上前、吉祥寺駅ホームにて赤と白のボーダーカバンを持って電車を待っていたところ、到着した電車の扉が開き梅図さんが降りてきて目が合うと開口1番「そのカバン、いいですねぇ」とひとこと、ということがありました。静かに手を合わせる昼。
夜、新代田。Damon & Naomi with Kurihara、sugar plant のライブへ。
7年振りの来日。前回は所沢Mojoで麓君と共演、満員の中ステージが全く観れなかったので心残りがあり今回はファンマインド全開、前方で鑑賞。
栗原さんのギタープレイも含めて観れる機会がなかなかないのでとても楽しみにしていたことに加えて、sugar plantを一度生で観たかったので(2018年にリマスタリングされた『dryfruit』収録「simple」内田さんのダブミックス最高。ギターリフも最高)本当に楽しみにしていました。
楽しみに待つライブが年々減っている中、ステージを見た瞬間に演奏される全て(人も音も音楽も)1990年代の無知で好奇心しか取り柄がなかったティーンネイジャーの頃に今の自分ごと連れ戻してくれるのだからライブってたまらんですね。「そう、この音」というものが自分の場合とても重要で、時代を体現できる音(音色やフレーズ、プレイスタイルも含めて) 懐古的なことではなく、当時から(音楽を)継続している人達に年輪の如く宿る、時代の気配ってあると思います。
「Another Day」を演奏するとは思っていなかったので心の中で雄叫びをあげました。栗原さんのEbow使いを凝視しながら(栗原さんヲタなので仕方ないのです)恍惚。
私はGALAXY500が好きで、当時の自身のバンドではフロアタムをバンバン叩くデーモンのドラムプレイ、ディーンのギタープレイ含め多分に影響受けていたんだなと今になり振り返ると素直にそう思います。帰宅後、DVDを引っ張り出し鑑賞。折しもGALAXIE 500の未発表レア・トラック・アウトテイクを収録した音源『アンコレクテッド・ノイズ・ニュー・ヨーク』が発売されたこともあり最近は15歳〜20歳までに夢中になっていた音楽ばかりを改めて聴いていますが、んまぁ今夜はとてもスンバラシイ一夜でした。
余談ですが、新代田FEVERはレモンサワー300円、涙が出るほどいい箱だなと思います。レモンサワーを水のように飲み過ぎるも全く酔いがまわらず肌寒いのも相まって夜になると普段はそう上がらない気分が上昇し今からもう一度今日を始めてもいいぞ!というエネルギーが沸く。とてもいい夜だった。
2024年11月6日(水)晴れのち曇
午後起床、雑務。
夕方より神泉、用事が済んで友人と渋谷まで知らない道を歩く。途中、高架下で友人が写真を撮ってくれる。のち、阿佐ヶ谷まで移動して晩酌。久しぶりに外でゆっくり食事をしながら酒を呑み思ったことはこういう時間がやはり自分の1日の終いには必要なのだということ。酒が飲みたいだけなら家でも充分なのだが、酒場で注文し作って頂く料理、それから店内の活気と雰囲気。酒が入ってなくとも正気を保つのが厳しいご時世の中、今を生きている人達が各々労いの時間で解かれるひとときを提供してくれる場所にただ身を置いているだけでいい。そこで交わされる他者の会話の端々から世情を感じとる位がいいです。
2024年11月7日(木)晴れ
正午前起床、この2ヶ月はぼんやりしてばかりいるが焦る気持ちも湧かずに引き続きぼんやりしては思い出したように少しだけ机に向かい気づくとぼんやりしている。Netflixを観続けて夕方になり、出掛ける気力もない為冷蔵庫にあるもので晩飯を作り食べながら「このままぼんやりして余生を過ごしてしまいそうだな」と突然ハッとする。
これはつまり、暇なんだなと思います。いや、暇では全然ないのですが鉛筆を綺麗に削っただけで満足してしまい、さて作業……と思うと眠くなるのでどうしたもんかなと思うといつも敬愛する彫刻家、前原冬樹氏の作品をネットで見ては恍惚としているうちに深い安堵と僅かなやる気がうまれます。いつか生で見たい。
2024年11月8日(金)曇りのち小雨
午前起床後、珈琲を淹れて作業。気づくと15時前。とある鼎談記事を読んでいると「完璧な技術で不完全なものを作る」という部分に反応し、その逆はあるのかとしばし考えるも不完全な技術なんぞあるのか?ないよな、もしあるなら技巧では届かないもの、センスか?などとどうでもいいことに目を白黒させていたら1時間過ぎていた、どうしたものか。夜、アーバン。のち、最近通いだした店にて一杯。女将さんの作る突き出しが美味。カウンター隣では就職先が決まったと安堵する若者が不安と希望入り混じるこれからを誰に言うでもなく切々と話している姿が何故か涙を誘う。私はそれをしかと聞くでもなく耳にしながら自分のこれからを重ね合わせたりして「まぁ、でもいつ死ぬかほんと、人はわからんからね」という大将の言葉の方がより切実に身に沁みた週末。
2024年11月9日(土)晴れ
終日、木村拓哉主演『華麗なる一族』を鑑賞。
wowwowドラマ中井貴一主演の方も良かったが同じ原作でも監督や演出、俳優によって作品の肌触りや感情のグラデーションがこうも変わるのかと思いながら途中、鰹と大根の菜葉を炊き込んだ握り飯が食べたくなり作り、引き続きドラマを観る。気づくと深夜2時。木村拓哉演じる万俵鉄平がいい。
2024年11月10日(日)晴れ
引き続きなにもせず。咽頭痛と悪寒あり風邪のひきはじめかもしれない。終日Netflixにて『リプリー』を鑑賞。アラン・ドロン主演作の方は観ておらず、マッド・デイモン主演の同作が好きでどんなもんだろうかと何気に見始めたのですが、アンドリュー・スコットの演じるリプリーの狡猾さが嫌味ひとつなくモノクロの映像と光の加減、ストーリーのテンポ全てが今の気分と重なる。凄いねぇ……こんな素晴らしい作品を生み出せるんだもんなぁ。独り言を口にして深いため息と共に就寝。家から出ず、地味ながらも心の変動だけが忙しい毎日。