グレゴリー・ベイトソンって
デカルトからベイトソンへ
モリス・バーマン著を読んでいて、グレゴリーベイトソンって何者なんだろうと思ったので。
グレゴリー・ベイトソンとは
グレゴリー・ベイトソンは、20世紀の著名な思想家で、文化人類学、社会科学、言語学、サイバネティックス、一般システム理論など幅広い分野で貢献しました。彼の経歴は以下の通りです。
ベイトソンは1904年、イギリスのグランチェスターで遺伝学者の家庭に生まれました。
ケンブリッジ大学で生物学を専攻した後、文化人類学に興味を持ちました。
1928年から1932年にかけて、パプアニューギニアのイアタルム族の文化を研究し、その成果を『ナヴェン』という著書にまとめました。
1936年から1938年まで、文化人類学者マーガレット・ミードと共にバリ島でフィールドワークを行い、その研究から革新的な分析手法を発展させました。
第二次世界大戦中はアメリカに渡り、心理戦の研究に従事しました。
戦後、精神病院での観察やイルカのコミュニケーション研究を通じて、コミュニケーション理論やダブルバインドの概念を提唱しました。
1972年には『精神の生態学』を出版し、自然界の現象を包括する「マインドのエコロジー」を提唱しました。
1979年には『精神と自然』を出版し、生きた世界の認識論を展開しました。
1980年、サンフランシスコで亡くなりました。
彼の思想は、単線的な西洋近代の思考形態を批判し、複雑系を理解するための新しい視点を提供しました。彼の著作は現在でも多くの読者や研究者に影響を与えています。
ダブルバインドとは
ダブルバインドは、矛盾するメッセージとメタメッセージが存在するコミュニケーション状況を指します。ベイトソンはこの状況が統合失調症の一因であると考えました。例えば、親が子供に「おいで」と言いながら顔をしかめる場合、子供は「おいで」という言葉(メッセージ)と「私はあなたを嫌っている」という顔の表情(メタメッセージ)の間で混乱します。ベイトソンは、このような矛盾したメッセージを繰り返し受けると、人々は精神的なストレスを感じ、統合失調症に似た症状を示すようになると主張しました。
ナヴェンとは
ナヴェンは、ニューギニアのイアタルム族の文化における儀式です。この儀式では、男性が女性のように振る舞い、女性が男性のように振る舞うことで、社会的な役割や性別の違いを超えて敬意や愛情を表現します。ベイトソンは、この儀式がイアタルム族の文化における対称的分裂生成と相補的分裂生成の原理を示していると考えました。
サイバネティクスとは
サイバネティクスは、通信工学と制御工学の融合により発展した学問で、生物と機械における制御と通信を統一的に扱います。この分野は、ノーバート・ウィーナーによって第二次世界大戦中に学際研究として構想され、戦後に発展しました。サイバネティクスは、情報の伝達と処理の方法に焦点を当て、自己調節システムの理解や異なる分野のシステム間の類似性の明確化に貢献しました。
ベイトソンの研究は、精神分析、コミュニケーション理論、生態学、社会学など多岐にわたる分野で重要な影響を与え、現代の多くの課題に対する理解を深めるのに貢献しています。