証憑の電子化について考える(補足的内容)
法的な事も大事なので、電子帳簿保存法について、少しだけ掘り下げておこう。正直言って、ラストワンマイルの法律(通達や施行令)まで理解できているわけではないものの、大枠の理解は必要なのでここでは自分の理解を本当に大枠でまとめておこう。
電子帳簿保存法は4つの制度で構成されている。
1)国税関係帳簿の電磁的記録による保存の要件
2)国税関係書類の電磁的記録による保存の要件
3)国税関係書類のスキャナ保存制度の保存要件
4)電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度の保存要件
上記4つの制度で構成される。
1)は会計帳簿の話で、乱暴に整理すれば会計ソフトで担保すべき世界
2)は自社作成の請求書等の話で、これもシステムにより担保すべき世界
3)は他社作成の請求書等をスキャンにより保存する場合に担保すべき世界
ある意味、ここが議論の主戦場になっているイメージ。
4)はそもそも紙の証憑がない、電子取引の場合の保存方法の話。
実務感覚的には、ここをどのように整えるかが一番難しい。電磁的記録の出力書面等の保存をもって当該電磁的記録に代えることができる措置が廃止されることで、ここの担保はますます設計とコントロールが必要になりそう。
ここで重要だなと思うのが、電子帳簿保存法に則り、原紙証憑を廃棄する必要は、果たしてどれくらいあるのだろうか、という点である。おもには3)のスキャンデータの話がメインとなっているが、今後インボイス制度の開始に向けて、またキャッシュレス時代の到来において、4)の電子取引がメインになっていくと考えられる。
そう考えると、3)の議論は限定的にとどまるはずだし、要件をうっかり満たさない場合の罰則を考えると、そもそも原紙のあるものをわざわざ捨てるリスクの方が大きい。したがって、今後は紙のものをどのように企業内で電子化するかというフローの整理と、一度電子化した紙の証憑類を、きちんと整理して保管するという流れを作ることの方がよほど大事に思える。
いずれにせよ、令和5年10月から始まるインボイス制度の開始に合わせて、世の中がどこまで踏み込めるか、政治がどこまで踏み込めるかが証憑の電子化にとって大きな変動要素になりそう。
細かな点は、数冊書籍を購入して横断的に読んだが、この本が一番体系的に理解できる1冊であった。
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