バリ島・ウブド・ウルワツ
インドネシアから帰国した方のお話を聞いた時、2015年一人で行ったバリ島での不思議な体験が蘇った。
世の中が変容していく時大事なのはいかに動じないということ。中庸、臨機応変、泰然自若。そんなことを教えてもらっていたのかもしれないと思ったのがバリ島での体験だ。
アジアは香港やタイ、カンボジアやラオスなど何度か旅をしてきた中、慣れているという気軽な気分で訪れたインドネシアのバリ島。タイで乗り換え、時差も少なく快適だ。特にウブドという村に興味があり一人訪れた。そこまでは良かったのだが意気揚々と到着したテンパサル空港でバックが届かない。ロストバッゲージというやつに見舞われた。パスポートや財布、スマホがあれば問題ない。空港からそのままタクシーでウブドへ。
バックは後からホテルに到着するだろうと思いホテルでの生活を始めた。最終的に帰国するまでバックは現れなかった。
着替えやワンデイアキュビュー(使い捨てのコンタクト)と数冊の本ぐらいがないなぁとホテルのベッドでぼんやり考えていた。まぁなんとかなる、と思うものの来る日も来る日も朝フロントに声をかけるが届く様子はない。しかし次第に、バックの中身はどうでも良くなってきた。
朝フロントに車が止まり案内をしてくれるという。その後毎朝迎えにきてくれてはウブド、ウルワツ、クタ、ビーチ、主要な観光地を案内をしてくれた。バックの事情を話すと笑っていた。
4日目、5日目でもバックが届かないあたりでスキューバダイビングをした。もう届かないものだと思っている。6日目のウルワツではスナックショップでスマホの充電をしてケチャの写真やウルワツ寺院の景色を撮る。残っている写真は少ないが、その分バリ島の最初の夜に食べたミーゴレンの美味さ、店員の優しさ、夕日に染まるウブドの棚田の景色、夜のバリダンスのガムランの音、翌朝の寺院のハスの花が鮮明に目に焼き付いている。もちろん出会う人との会話やその人の表情も印象に残っている。スマホに集中などせずその場の空気を堪能できた。むしろ旅が進むにつれバックの事は忘れ自分の内側が整えられていく。荷物を持つことで豊かだったと思っていた事がそうではないことに気がつく。
今まではメディアのごまかしがきいていたが、もうあぶり出されていく。ますます内側で何をしていたか光に晒される時代に入った。楽しくなって行く人も多いだろう。包み隠さずさらけ出して大丈夫な人にとっては良い本質的な時代が来た。
今まですごい立派な人かと思っていたら’そんなことありませんでした’みたいなのがどんどん出てくる。それが輝きの時代。
’私は大丈夫です’という自分になっていく為には普段から如何に言葉と行動と魂を一致させているかが大事なのかもしれない。
この旅では如何に楽しめるかを試されたのかもしれない。バックは帰国後自宅の宅配ロッカーに届いた。トランジットしたタイにあったらしいがどうでも良かった。むしろ感謝したいぐらいだった。バックはなくても旅は楽しめることを神様は教えてくれた気がする。不思議な島バリ島、また行きたい。