「病院って減ってるの?」という義理母の質問に応える
こんにちは。ホワイトボックス(株)コンサルティング部の阿部です。
今回はタイトルの通り、先日義理母から質問された「病院は減ってるの?」という質問に応える資料をつくったので、こちら↓を皆さんと共有したいと思います。
▽人口問題と無視できない経済成長
ご存知の通り、日本はすでに人口減少局面に入っています。もっともこれは日本に限ったことではなく、
先進国共通の問題です。日本の場合の問題は人口問題だけでなく、経済が成長していないということもあり、
社会保障費が逼迫してしまうことが懸念されているのですネ。
世界と比べてベッドの数が多いー。
これもずっと言われてきたことです。「ベッドが空いている=病院の収入がでない」ことになるので、どうしたって病院はベッドを埋めようと策を練るのは経営面からみれば当然のことかもしれません。
奇しくもこのコロナ禍で医療が抱える問題がクローズアップされ一般にも広く知られるところとなりましたが、国内約8千の医療機関の8割が民間の病院であることを鑑みると、強制的に減らすことは現実的にはできない問題だと理解しています。
▽病院病床減少よりも深刻な問題
病院のベッドが減ってどうなってしまうのか?
心配になるのは当然のことかもしれませんが、おそらくそうした心配はあまり必要ないと思います。コロナのような特殊な事情を除けば、本来の人口構成からして病院のベッドが過剰傾向にあった傾向は否めません。病床が減ったといっても、現実は稼働していない病床を減らした結果に過ぎません。
それよりも深刻なのは、人手不足のほうだと認識しています。
入院医療を評価する一つの基準は人員の配置です。そのため病院は売上に対する人件費の構成が60%以上あることはザラで、昨今は人材紹介会社に支払う紹介料もばかになりません。
ただこの問題は介護も同様で、資料中では介護施設が増えていることを図示していますが、ハコは増えても中で働く人がいない課題は深刻さを増しています。処遇の改善などが声高に叫ばれていますが、国により公定価格が決められている介護報酬から処遇の改善分を捻出するにも限度があります。
低負担中福祉といわれる日本の社会保障制度の根本を見直さなければ、賃金の問題は解決しないのではないかと思っています。もっとも介護事業をコストセンターとして捉え、企業の一部門として運営するのであればこの問題は改善をみるのかもしれません。
▽あとがき
日本の医療制度の在り方にスポットが当たったのは、コロナ禍における良い側面の副産物だったのかもしれません。医療に興味のなかった人たち、そもそも病院にかかることが少ない若い世代も、医療問題というか社会保障の在り方を考える契機になった人は少なくないかもしれません。
ちなみに私も義理母からの質問を受け、これまで何回も作ってきている資料ではありますが、改めてこうして一般の人向けに説明しようとすると難しいことを再認識しました。
もっとも義理母は元ケアマネージャーでいまも現役の民生委員として活動しているので、医療のことを全く知らない人ではないので、この資料の評価も聞いてみたいところです(笑)
▽お知らせ
月2回、メルマガ「☆キラリと光る☆ 病院マネジメントのヒント」を配信しています。登録は無料です。医療介護のマネジメント層はもちろん、将来医療や介護の現場で働くことを夢見る学生の皆さんの登録、お待ちしています。