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父との時間と今年の漢字一文字


2024年、年の瀬、半年ぶりに実家へ。

今回は宿泊は無し。
独り暮らしを満喫する父と、私の作った簡単料理を一緒に食べる。

ごくごく短い滞在だった。


ここのところ父と顔を合わせるたびに私は、
「ところでお父さんはどこで眠りたいの?」と、お墓の話を必ずしている。

なぜなら父は聞くたびに違うことを言うのだ。

数年前、海洋葬に始まり、色々経て、前回は自分の生まれた山深い父の両親の眠る場所へと。

父は何年も前に自身で自宅近くにお墓を買っているのに、どうやらそこへは入りたくないご様子なのだ。

ここ数年、父の気持ちの変化を感じている私は、なるだけ父の思いに添いたいのでしつこく聞いてきた。

今回の最終着地点は「レナ蔵に任せる」だった。

これで父のお墓問題は、私の中では終結した。


父はここ数年、ますます生き生きして見える。

ホームページを自身で作成して今までの仕事の足跡を公開したり、新しい楽器(オカリナ)を習い始めたり、元気な84歳だ。

ピンピンしている地元の友人達と大好きな音楽会へ出向き、新しいコミュニティの人達に呼ばれては、楽しい会で輪を広げているよう。

相変わらずモノに溢れた生活空間には、友人達と写る笑顔の写真が紙にプリントアウトされ、壊れたテレビや壁や扉にいっぱい貼られていた。

決して美しくはないが、父の楽しい毎日がうかがわれて、微笑ましかった。


そんな父が2024年最も喜べたのは、私と妹の「誕生日イベント」(私達姉妹は誕生日が一日違い)に参戦したことだったらしい。

三人でお互いの良いところを20個、20日間かけてLINEで発表していくというものだった。

父がお友達にこの話をすると、「うちでは絶対できない、無理だ」という人がほとんどだったという。


その話を聞いて思った。

相互は難しいとしても、親が子供の良いところを5つや6つ出すことはそこまで難しくはないのではないだろうか?
始めは一方通行でも良いのでは?と。

私も21歳の次男が私の良いところをスラスラ並べてくれる様子など、正直想像もできない。


そして、父が続けて言った。

その中でも印象深かったのは、
「お父さんは私達娘のことが可愛かっただろうけど、一度も婿殿たちの悪口や不満を言わなかったね」

と私が送ったメッセージだったそうだ。



私がこうやって残したい記憶をNoteに投稿をしていることを知った父は、時々読んでくれているようだ。


そして先日、メッセージがきた。

書かない時間には書くことを忘れること。
思い切り他のことに頭や気持ちを切り替えて、ぐっすり休むこと。
楽しく生きて、それをネタにしてね。
命を削らないでね。
レナ蔵の独特の感性と文体に彩られていて、ボクには書けない文章だから。

父からのLINEより


2024年後半、体調を崩しがちだった娘を思う父親の気持ちに後押しされるように、私の2025年漢字一文字は「眠」に決まった。

睡眠から生活を考える。


父がそっと渡してくれた二冊のエッセイ本と一緒に、温かい気持ちを持ち帰った年末だった。

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