キナーゼ・キナーシュカ

何かが始まりやすく、どうにも終わりづらい、ぐるぐる考えつづける中年主婦です

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最近の記事

おさむ・ポッターとのろい婆   ~舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」を観て~

※そこはかとないネタバレがあります※ 9月某日。 1年ぶりの、生おさむ。 1年ぶりの、赤坂ACTシアター。 わたくしまったくの“非ハリポタ民”で、いくら推しが主演といえど、この舞台を楽しめるかどうかかなり不安でした。 シリーズ第1作『賢者の石』は世界的ベストセラーになり出版界で相当に話題だったので、日本語版が出た瞬間に読んだ。1999年。 それ以来、読み返すことも続編を手に取ることもとくになく、映画も観ていなかった。 (けしてファンタジー嫌いではありません。『ゲド戦記

    • あの朝ドラの料理はなぜ美味しそうに見えないのか

      今期朝ドラの料理はなぜあんなに「美味しそうに見えない」のか。 その謎を解明すべくチムドンの奥地へ…とは旅立たないけど、料理が話題になった回の前後をとにかくオンデマンドで見てみた。 わたしは飲食業界に関わるメディアで仕事をしていて、シェフやフードスタイリスト、レシピ開発の知人もいる。 彼らから、苦情にも似た声が来る。 わたしは4月末ですでに離脱済みなのに。 結論としては、すべての料理が 〈けがれなき無垢な主人公〉 という設定のための“小道具”にすぎないから、ということだ。

      • まつろわぬ心           ~狐と麒麟と向井理~

        今は昔、京の都。 見渡すかぎり美しい花の朝露を一滴残さず集め、月夜の晩にていねいに漉した、その上澄みを掬った水で漆黒の墨を溶いて人ならざるものの姿を描いたら、向井理になる。 § § §  劇団新感線の『狐晴明九尾狩』をライビュ1回、東京公演で1回、そしてゲキ×シネを5回観ての感想です。 が、その前に。 そもそもなぜこんなキモい長文ポエムを詠むまでに至ったかを書き残しておきたい。 (以下しばらくはクッソ長い自分語りなのでご興味ない向きは飛ばしてください) あなたに出逢えた

        • ─ 境 界 線 ─                                                 映画『はい、泳げません』レビュー

          「ヨーグレットグミ」って食べたことありますか。 うちの息子氏は、昭和生まれ母の影響か、ヨーグレットが大好きです。 あのカリポリしたハードラムネ的噛みごたえ、さわやかな酸味。 そしてもちろんグミも大好きなわけです。子どもは誰もがパワードバイ果汁グミ。 で、ある日スーパーで「ヨーグレットグミ」なる夢商品を発見した。 買ってみて、食べてみた瞬間、 こりゃダメだ、と。 ヨーグレットなのにグミ。味はヨーグレットなのに、食感がふにゃグミ。完全に脳がバグる。手が止まる。 ラムネとグミの境

          ~行雲流水~  2022わが家の中受顛末記

          息子氏の中学受験が無事終わりました。 1月   前受校〈私立共学中〉  合格 2月1日 第一志望校〈私立男子中〉合格 ⇒ 進学      第三志望校〈私立共学中〉合格   3日 第二志望校〈都立中〉  合格 受験したのはこの4校。 いかなる人にか、 息子氏はガチの鉄道オタクでガチのピアノ男子、工作&科学実験マンで山登り川下り愛好家。本めちゃくちゃ読む。アニメ・ゲームには興味なし(唯一、母のスマホに入ってるネコの島づくりシミュレーションゲームだけは何年も地味につづけてる)。

          ~行雲流水~  2022わが家の中受顛末記

          【殿‐しんがり‐】の人 『麒麟がくる』明智十兵衛光秀の時代と宿命

          「金ヶ崎の退き口」を描いた第三十一回。 十兵衛は、命と引き換えの激烈な退却戦の中、夜通し馬を走らせながら麒麟の声を聞いた、と語る。 「信長には、次がある」 信長様がまだ、生きておいでです。生きておいでなら、次がある。次があるかぎり、やがて大きな国がつくれましょう。大きな国ができれば平穏が訪れ、きっとそこに麒麟がくる───。 ~背中で睨み合う 過去と未来じゃないが~ 十兵衛は、【殿(しんがり)】の人だ。 【殿(しんがり)】とは、戦において、後退する軍の中で最後尾を担う部

          【殿‐しんがり‐】の人 『麒麟がくる』明智十兵衛光秀の時代と宿命