見出し画像

香月泰男を知る

NHK教育放送の「日曜美術館」を見るともなく見ていた。
毎朝スポーツジムでウォーキングするのを日課としていて、ちょうどその時間にマシンのTVで流してみたのだ(美術(アート)はおおむね好きだ)
香月泰男(かづきやすお)、山口県出身らしい。
妻の旧姓が香月(かつき)だったので興味が湧いた。彼女も山口に住んでいたことがある。父親の出身が九州だから、あの辺りでは大層ある姓なのかもしれない。
ところが、画面に映し出される絵画は、ことごとく黒い、暗い。
「何事だ? 今風じゃないな」と思ったら案の定1960〜70年代に名を馳せた方らしい。没後50年、香月泰男がシベリア抑留時代の事柄を描き出したシベリアシリーズが有名だと「日曜美術館」らしいいつもの抑制の取れた女性ナレーターの声が語りかけていた。
強烈である。
怨念のような情念がその絵画群には立ち上ぼっている。なんじゃこりゃぁである。
解説によると、画家はキャンバスの下地塗りから特殊な顔料を混ぜ込んだ絵の具を使い、真っ黒の「黒」を表現するために絵の具に石炭を混ぜ込んで描いたという。
 そして、映像は彼のアトリエの隅にかかっている有刺鉄線を映し出す。
 過酷な環境を経験した者にしか描きえない過酷な絵を、戦後27年間に渡って57点描き続けた。
 今の時代、この絵を自宅の居間に飾ろうなんて酔狂なヤツは誰一人としていないだろう。
 実物が見たい。山口まで出かけたい衝動に駆られた。

いいなと思ったら応援しよう!