亡くなった直接の原因はミスした研修医たちのせいではない メディアの報道、取材力、(意図的?)表現力不足について15年変わっていない

私にとって2つの意味でとても残念なことがありました。

昨年名古屋日赤で医療過誤事案があったそうです。16歳の腹痛患者の救急での診断(SMA 症候群の疑い)が遅れ、入院後その患者さんが鎮静剤の過剰投与後急変してお亡くなりになったというものです。

その際の医療過誤について下記のように病院が報告しています。

>3.事案の検証結果
(1)CT 画像の評価が不十分で、急性胃拡張に対する減圧治療ができていなかった。
(2)脱水症の評価が不十分で、治療の開始に遅れが生じていた。

(3)救急外来において研修医が診療する場面での報告・相談体制に不備があった。

(4)職員間において患者さんの情報を正確に共有できていなかった。
   (当番医の意図した指示量の倍量投与)

(5)患者さんの容態変化時に、院内で定められた緊急体制が活用されなかった。

16歳の高校生に対しご冥福をお祈りします。

そして亡くなった直接の原因は(4)(5)であって(1)(2)(3)は間接的なものです。

しかしニュースの表題では研修医が診断ミスで患者を死亡させたというふうに取れるものがほとんどです。(読売だけが「など」、NHKはまとも)










>去年、腹痛やおう吐を繰り返した16歳の男子高校生を当初、研修医が急性胃腸炎と誤って診断し、その後も対応した医師らが適切な治療を行わなかった結果、男子高校生が死亡する重大な医療過誤があった

この事案において研修医の診断の遅れは失敗であっても疾患の特殊性からすればかなり不可抗力の部分があり(SMA 症候群の診断は専門医でもかなり難しい)、繰り返しになりますが死亡の直接の原因ではありません。


入院時のせん妄?対応の稚拙さや、急変するかもしれないという評価、対応の甘さが一応直接の原因と言えるのでしょうが、16歳高校生がせん妄?というのも少し特殊性を感じますし、直接患者を診ていない以上推測はここまでにしておきます。(まあ家族の怒り含めてどんなふうに説明したのかも気になりますが。)

そう少なくとも救急対応した研修医はミスを起こしましたが、直接そのことが患者を死亡させてはいません。だからこの表題には悪意があります。

だけどメディアは誰かの責任にしたい、大衆を煽りたい。だから研修医が死亡させた(可能性医が高い)と表題にし、わざと医療への不信感を招きます。メディアのこういう表現の仕方がいつまでたっても医療への正しい評価を混乱させ、医療の司法問題等を悪化させ改善させないと15年以上前から思っています。(そのための選挙出馬だったのですがw)

まあNHKだけでもまともなのは評価すべきなのかな。今までの行動が無駄に思えて残念です。

注)

あと文章の本題ではないですが

>4.当院の問題として表出したこと
当院は高度急性期病院として、どのような病気にも 24 時間 365 日絶え間なく応えることを使命とし

ており、業務の繁忙や切迫感が常態化している背景があります。そのような業務環境のなかで、疾患の

重症度、緊急性を優先して患者さんを診てしまう傾向があったのかもしれません。忙しさを理由に、患

者さんに対しての職員の思いやりや丁寧さが欠けていたのかもしれません

今回の事例には、病院全体の体制や組織風土が根本的な問題ではないかと考えています。

この発表はどうかな?働き方改革前だしね。どうも病院側に竹槍B29思想が見えてしまう。

>5.再発防止策


(1)初期対応時の診断が後々の診療に影響を及ぼす事を認識し、病態の正確な把握を心がけること。

(2)症状改善なく救急外来を再受診した際には、上級医も必ず診察に関わること。

(3)一般外来では診療の遅れが生じがちであるため、一般外来に重症患者さんが受診した場合には速やかに救急外来に引き継ぐこと。

(4)一般病棟で治療が困難な場合(重症、複雑、精神症状による患者非協力)は、より集中的な管理を行うことができる部署に早めに転棟すること。

(5)今事例を風化させず、医療安全のための組織風土づくりを全職員で取り組む。

去年これをやっていなかったということでいいのかな。特に(2)。それかなり問題じゃない?また(5)なんてまさに建前!それ言ったら具体的に改善するの?

まあ本題ではないですがw

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