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集まらないで仕事できるようにしないと大変なことになります

長期価値創造のすすめ 2

脱3密の時代

2020年4月8日零時に 、新型コロナウイルス感染症を対象に加える改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が7都府県を対象に発出され、16日にはその地域が全国に拡大した。

新型コロナウイルス感染症の、これ以上の蔓延を防ぐために、密集、密接、密閉という3密を避けた暮らし方が、日本国民全員に求められ、日本全体が巣ごもり状態にある。

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全国民の60%以上が感染し抗体を有する”社会的免疫”が成立するまで、この感染症の収束は難しいと言われ、そうなると、ワクチンが開発され、全国民が接種するまでの、早くても1年以上の期間、今のような不自由な暮らしが常態化することになる。

1年以上という期間は長い。新型コロナウイルスへの畏怖、3密を避ける意識が人の心に固着するには十分な時間だ

今までのように、多くの人が集まり、時間を共有する「都市型」の快適な生活と、感染症を恐れ、人との距離を意識した生活スタイルの間で、葛藤が生まれるだろう

いずれにせよ、今までよりは、人と会う機会は減っていくだろうし、集団から個人へ、都市から郊外へという”脱3密”の生活スタイルが普通になっていくに違いない。

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集まらずに仕事ができる Digital Transformation

このような時代の変化において、仕事に関する意識も変わっていく。

既に、テレワークは常態化しているし、出張にもほとんど行かなくなった。

それを可能にする仕組みが、自宅と仕事場やお客様を通信で結んだ仕組みであり、メールやSNS、ZOOMによる会議、様々なクラウドサービスが可能にししている。

現在は、通信品質が低く、映像や音声が安定していない面もあるし、サーバーやデバイスの品質が低いことに起因した不具合もあるが、これはテクノロジーの進化とともにどんどん解決していく。今までは、何のことだかよくわからなかったが、Digital Transformationがもたらすスマート社会の到来は早まるだろう

テクノロジー以前の問題として、「Face to Faceのコミュニケーションでないと仕事にならない」という意識や「パソコンのことはわからないよ」といったデジタルデバイドがある。

しかし、これからの時代、仕事の仕方に対する意識を変化させたり、デジタルデバイドの克服は、自らが実践していかないと仕事を失うことになりかねない

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集まっても快適な環境 Social Distancing

一方、オフィスも、もっと働きやすい環境を整えていく必要がある。

オフィスを田舎に移して、人と人との距離が十分に広いオフィスで、ソーシャルディスタンスに気をつけて仕事ができればいい

しかし、すぐさま、従来の仕事の仕方が急に変わるとは思えないし、オフィスを地方へ移すにしても、ある程度の準備が必要だ

そうなると、今やらなければならないのは、感染症に強いオフィスにつくり変えることが必要になってくる。

社員のマスク装着、手洗い励行などの公衆衛生意識を強くするなど、ソフト面の意識改革は当然として、オフィスの換気機能を改善したり、空間清浄機を設置し、ウイルスを寄せ付けないようにするなどのハード面の改善も必要になる。

できれば、オフィスを広くして社員同士の距離を拡げたり、サテライトオフィスをいくつか設けて社員を分散することも必要になるだろう

働き方を見直すメリットとデメリット

Digital TransformationやSocial Distancingによる働き方は、人との接触を小さくすることを主眼にするため、通勤時間が減ったり、無駄な会議が少なくなることで労働時間を小さくする方向に働く。

企業にとっては、社員の労働時間が減れば人件費は抑制され、交通費も少なくて済む。もしかすると、都心に大きなオフィスを持つ必要もなくなるので賃貸料も減るかもしれない。

しかしながら、労働時間の減少は、社員にとって賃金の減少につながるし、Face to Faceのコミュニケーションが減ることで、人間関係で回せていた仕事がやりにくくなり成績が悪くなるかもしれない。

どうやって仕事を覚えるべきなのか、どうやったら出世できるのかという、ヒューマンリレーションの不安も増大する

企業も、テレワーク等を推し進めるためのICT投資、デジタルデバイド克服のための教育投資、換気や除菌のためのオフィス投資などが発生する。

新しい働き方にあわせた人事評価制度、報酬制度、教育体系などを作り変える必要もある

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健康経営の価値が高まる

新型コロナウイルスの災禍は経済的な側面もあるが命の問題だ。命を賭して会社のために、満員電車に長時間揺られ、狭いオフィスで、3密の中で働くという働き方は、社員にとってあまりに酷なことだ

生活のために、3密の中で働かざるを得ない人もたくさんいるだろうが、それをやらせる企業が正しいはずがない。

少なくとも、社員が健康に働けるような、感染症対策を考慮した働き方のメニューを準備する必要がある

従来、社員の健康への取り組みは、生活習慣病の予防や喫煙ルールなどをつくるなどお題目程度でしかなかった。社員の健康促進が企業の生産性を高めるなんて言うことは、概念的なもので具体的なものではなかった

しかし、新型コロナウイルスの蔓延は、社員の健康への取り組みを具体的にイメージできるようにした。まだまだ普及していなかったテレワークや時差出勤が当たり前のように行われている。

今は現状のコロナ禍に対するテンポラリーな対応だが、これは一般的な働き方に変わっていくだろう。それは、近い将来、社員が健康に働ける環境を提供できない企業はブラック企業のレッテルを貼られ、社員や求職者からは選ばれなくなるということを意味している

社員に選ばれない企業の業績が上がるはずはない。特に、中長期的に考えれば社員の求心力のない企業が成長するはずがない。そうなると、お客様や投資家からも選ばれなくなるのは必然だ

テレワークが制度化し、郊外の広いオフィスに月に一二度行くだけで、従来以上の賃金がもらえる企業と、日々、満員電車に乗って都心の狭いオフィスに通わなければならない企業を比べたとき、どちらを選ぶだろうか?

社員の健康を配慮した働き方の提案ができるということは、企業の成長に直結する問題であり、企業の価値を決める大きなファクターになる。

これからの企業ブランディング Internal Branding

従来、企業ブランディングをする上で、最も重要なのは、その企業の事業が成長性の高い業界に属しているとか、企業固有の技術やサービスが極めて競争優位があるとか、社員が安心して働ける、お客様が安心して付き合える、投資家が安心して投資できるというExternalなメッセージを打ち出すことだった

これは、これからも変わらない。

しかし、安心して働けるという意味が、従来とは異なり、感染症対策が万全で密から疎のライフスタイルに適した働き方を提供できる会社という具体的な意味を持つことになる。

しかも、その働き方は、ICT技術を駆使することで、より効率的で生産性の高いものにデザインされている必要がある。

社員や社員のご家族や求職者に安心できる働き方を提供できたうえで、企業が安定的に成長できるというInternalなメッセージを従来の企業の成長性や安定性といったExternalなメッセージに付加して発信することが、これからのベストなブランディングになるだろう。

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今、実行できること 

今度、いつ起こるかわからないパンデミック対策のために、このたいへんな時期に、制度変更や投資をするべきなのだろうか?

のど元過ぎればなんとやらで、少し辛抱すれば、今まで通りに戻るのではないか?

都会の効率的でおしゃれで快適な生活を人が捨てられるのだろうか?

これは、実際にそうなってみないとわからない。今後は、世界中が外出禁止(日本では要請)を解除する動きが焦点になってくるが、その時、従来通りの働き方を継続する企業は少ないだろう。

なぜなら、これから数カ月のスパンで新型コロナウイルスが撲滅されることはないからだ。天然痘のように完全に根絶されたら違うだろうが、外出禁止が解かれても、新型コロナウイルスはなくならない。少なくとも、治療薬やワクチンができて、多くの人が新型コロナウイルスを怖くないと思えるようになるまでは、Social Distancingを考慮した生活は継続するだろう

それでも、いずれ元に戻ると考えて、テンポラリーな対応で乗り切るか、長い目で見て、抜本的に働き方を見直すかは企業の意思に委ねられている。業績や財務状態など、企業体力によって条件が違うので、すべての企業に共通した”正解”を言うことは無責任だ

それでも、新しい働き方を創造できる企業は圧倒的に有利なのは言うまでもなく、業種、業態で格差が生まれていくのは避けられない

今、すべての企業ができることは、自社の将来性や体力を鑑み、社員や自社の未来を担うであろう求職者に想いを馳せ、どういうビジネスで成長し、どういう働き方をする企業で在りたいかを考えておくことしかない

時期が来れば、すぐに実行できるように!


アルファ・ファンクション 栗本

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