投票率を上げるためのたった2つの簡単な方法(その2)
こんばんは。今日もお疲れ様です。
前回投稿の続きです。
投票率を上げるためのたった2つの簡単な方法(その1)|のぞえ/Hideki Nozoe|note
前回投稿では、
1.選挙に行かない人に、罰金を科す
について詳細をお話しさせて頂きました。
今回は、
2.スマホで投票できるようにする
について、お話します。
今回の話の筋立ては、以下の通りです。
1.現在の投票制度が、どんなに投票者目線で設計されてないか
まず、わが国の現在の投票制度が、とても投票者目線では制度設計されてはいない、ということを説明します。
1-1. 「投票所入場券」が届いた時点で、誰が立候補するのかそもそも決まってない
選挙が近づくと、住んでるところの所管選挙管理委員会から、投票の案内が届きます。
正確な名称としては「投票所入場券」で、その裏面には「宣誓書兼請求書」と書いてあります。
この「宣誓書兼請求書」の部分は、期日前投票に行く場合に、生年月日と
投票日当日に投票に行けない理由を記入するものです。
何故生年月日を書かせるかというと、替え玉投票を防ぐ(生年月日を教えてたら、意味ないですが)理由の他、家族で使う入場券を間違えるのを防止する、という理由もあります。
お父さんが息子さんの、お母さんが娘さんの、逆に息子さんがお父さんの、娘さんがお母さんの入場券を間違えて持ってきてしまう、なんてことは、
よくあるそうです。
頻度で言うと、期日前投票会場あたり、1日1回程度です。
家族揃って投票所に来てくれれば、その場で正しく交換して何の問題もないのですが、それぞれ、自分の都合の良い日時にバラバラで来られると、ありがちです。
でも、それぞれ自分の都合の良い日時に来るのが正しいと思いますけどね。
今はざっくり言うと、35歳を境に、それより上は昭和生まれ、それより下は平成生まれですから、年号を見ただけで、「あ、この人違う入場券持って
きてる」が一目瞭然ですよね。
で、この「投票所入場券」が自宅に届くと、「お~、いよいよ選挙かぁ」と私なんかは感無量にちょびっとなりますが、いきなり街宣車が街中に繰り出してきて人々がびっくりしないように、かどうか判りませんが、これは公示日以前に配達されるタイミングに全国一律で決まっている様です。
問題は、この時点で「誰が立候補するのかそもそも決まってない」という
ことです。
「投票所入場券」をもらったけど、俺は私は僕はアタイは一体誰に投票すればいいんだぁ~、総務省答えろぉ!
等と、国会議員でもやってない限りは、正しく叫ぶことができません(笑)。
なんせ、立候補を届け出るのは公示日と決まってますので、投票所入場券が配達された時点で、われわれ投票者がすべきこと、今のうちにできることは、「いつ、投票に行こう」と、あらかじめスケジュールを決めておくことだけです。
期日前投票は、今では公示日の翌日から始まり、投票日の前日までです。
もちろん、投票日当日にも投票できます。
でも、こうしたことって、選挙によっぽど関心がないと、普通ちゃんとは
知りませんよね?
私は、Googleカレンダーを開いて、あらかじめ自分の日程を確認しておきますが、すべての国民が、「投票所入場券」を受け取ったら私と同じ行動を
する、訳がないと政治家の方々はご認識ください。
個々人の常識と良識に任せっぱなしにするから、いつまで経っても投票率が上がらないんですよ!
で、こうした私が挙げた素朴な疑問に答える案内、つまり、専門的な用語を使うと、FAQへの導線が「投票所入場券」に記載がない、添付文書にも説明がない、というのも問題です。
こんな不親切な状態で、そもそも国民に主権があるなんてほぼほぼ壁に
描いた餅、嘘っぱちじゃん、と指摘しておきます。
1-2. 選挙公報は、そもそもタイムリーに届いているのか
選挙公報は、「この人達が立候補しましたよ」と知らせてくれる、選挙管理委員会からのチラシです。
今は、新聞を引き続き紙で購読している人が全国的に激減してまして、選挙公報は直接全戸配布に切り替わった様です。(各選管で、チラシ配布業者に
委託します)
私のところでは、公示日の翌々日に配布されます。
立候補の届け出からたったの2日で配布できるというのは神業に見えるかもしれませんが、実際は、「事前審査」と言って、立候補を予定している人は事前に届け出をして、公示日当日の審査を素早く短縮することができるのですが、その際、選挙公報に掲載する原稿も事前に一緒に提出しているの
です。
だから、そんなに早く用意することができるんですよね。
でも、ちょっと待ってください。
期日前投票は公示日の翌日からなのですから、期日前投票初日に投票に行ったら、その時点では選挙公報は配布されてない、期日前投票所にも準備されてない、ということになるのです。←酷い!
おまけに、選挙公報は外注で外の印刷会社に発注している様ですが、少なくとも私の居住地の東京都八王子市では、PDFを八王子市のHPにアップする、という当然すべき作業もなされてません。
←酷いその2!
八王子市議会の定数は現在40。先月の選挙で58人立候補しました。
こんな状態で、一応候補者全員の顔とか名前とか確認したくても、
NHKのサイト見たって、go2senkyo等の選挙専用サイト見たって、公示日の翌日の時点では、掲載されてません。
自分のスケジュールを確認したら、投票所に行けるのが期日前投票日初日
だけ、という人も居ることでしょう。
そもそも、そんな状態で、どうやって58人の中から一人だけ選べって言うのでしょうか!?
おまけに、今回八王子市は58人でしたが、世田谷区は定数50人に対して立候補者数75人の中から一人、大田区は定数50人に対して立候補者数82人から一人選ばなければならない状態でした。
それは無理筋な選択肢ではないでしょうか!?
1-3. 選挙公報は、そもそも全住民が目を通しているのか
さらに言えば、今時の人は、自宅に届いた郵便物やらチラシのうち、水道
料金の支払い用紙とか電気料金の支払いとかの郵便物以外は、読まずに
ばっさりゴミ箱に放り込んでいると思います。
昨年12月からこの4か月間、ずっと政治家のチラシ配りをボランティアで
細々とやってまいりました私ですが、実態はそんなものです。
嘘だと思ったら、アンケート調査でもなんでもして、確認することをお勧めします。>政治家の人
いや、政治家の配布するチラシのことは今回は置いておいて、選挙管理委員会が発行・配布した選挙公報を、ちゃんと読んで投票した人がどれ位居るのか、調査した方がいいと思いますね。
その際、読んでない人に、スマホで情報が簡単に入手できたら、それを閲覧しますか?と聞いてみればいいと思います。
そして、そもそも投票しなかった人に、選挙公報がネットで見られたら、
投票してましたか?も併せて聞けばいいと思います。
そして、そこから見えてきた問題点を奇貨として、制度改善を図っていく
べきだと思います。
1-4. 投票所内には、選挙公報を持ち込んではいけない(!)
これ、意外過ぎるルールなのですが、選挙管理委員会が発行する選挙公報なのに、投票所内に持ち込むことは出来ず、正確に言うと、投票場所に入る
前に捨てるか置いとくかしないといけません。選挙管理委員の人に、渡して廃棄してもらうことはオーケーです。
何故いけないかというと、誰かの命令で、「この人に入れて来なさい」と
命令されて、選挙公報の該当者が赤くマークされてたりするのを防ぐため
(らしい)です。
なお、投票所内の投票する候補者名を投票用紙に記入するブースでは、立候補者の氏名一覧が表示されてますので、投票する人は、それを見ながら、「自分は誰に入れるんだったっけ?」を最終確認することができます。
でも、参議院議員選挙の全国比例では、政治家本人が渡してきた名刺は、
持ち込みオーケーで、かつ見ながら投票してもいいことになってます。
これ、全国比例立候補者総数は、大田区の区議会より多いは多いですが、
その境界線はどこ?という意味で謎ルールですよね。
誰かの命令とか強制で、その名刺を持ってるのかも知れないですし。
でも謎ルールですが、公職選挙法に、その根拠まで記載されているので
しょうか。
で、この方式もオールマイティではありません。
前回の参議院議員選挙で、たまたま私の前に投票所に入ったおばあちゃんが、いきなり「ナツオが居ない、ナツオが」と大声で叫び出しました。
私はとっさに、「あぁ、東京選挙区から立候補している公明党代表の山口
那津男参議院議員を『夏男』とでも間違えて記憶したな」と理解しましたが、周囲がそれを指摘することができません。指摘すると、教唆したことになってしまいますからね。
私はよっぽど、その場でその一部始終を録画してアップしたい衝動にかられましたが(笑)、必死の思いで我慢し、選挙管理委員の人がすぐ横について、そのおばあちゃんがそれ以上騒ぎ立てないように冷静に投票する様、でも「山口那津男」の名前は決して出さずにどうやってうまく理解してもらうか、を見ていたかったのですが、それも断念して投票所を後にしました。
あのおばあちゃん、正しく投票が出来たことを望みます。
2.スマホで投票ができるようになると、何がいいのか?
さて、スマホで投票ができるようにした場合、投票者行動を急に変更するのも混乱の元ですから、極力現行のやり方に追加する形で制度設計するのが
正解と思います。
具体的には、以下の通りとするのはいかがでしょうか。
①今まで通り、投票の案内は「投票所入場券」とするが、「ネットで投票
したい方は、こちらのQRコードをスマホで読み取ってください」を追加
する。
②そのQRコードを読み取ると、「〇〇市ネット投票サイト」が表示される。
③サイト入口に、投票日より前だったら「ネットによる期日前投票は〇日
から〇日までできます」と表示しておく。
④期日前投票期間あるいは投票日だったら、サイト利用規約を表示して、
OKボタンを押したら「投票に進む」ボタンと「立候補者を確認する」
ボタンを表示する。←スマホを普段から使い慣れてる人は、これ普通に
クリアできますよね。
⑤「立候補者を確認する」ボタンを押すと、立候補者の選挙公報に記載
されている情報が閲覧できる。情報ページの一番下に「投票に進む」
ボタンが表示される。
⑥上記の④または⑤で「投票に進む」ボタンを押すと、「投票の案内に
印刷されているQRコード(現在の投票所入場券にも印字されているもの
です)」を読み取るよう指示され、その通りにすると、自分の名前・住所・
生年月日が、自治体が保有する有権者情報データと突き合わされて表示
される。このQRコードで読み取られるデータは、有権者固有の識別
コードなのですが、これには氏名・住所・生年月日という個人情報は
一切含まれていない、ということがポイントです。
⑦確認ボタンを押すと、候補者の一覧が表示され、投票する候補者名を
タップして投票する。
⑧「この人に投票します。いいですか」と表示されるので、「OK」を
タップすると、投票完了。
思わず長文になってしまいましたが、これ読んで、「自分には無理」と思う方は、引き続き投票所に行って投票すればよいと思います。
「大丈夫」と思える方は、いつでもどこからでも、都合の良い日時に投票
すればよくなります。
投票所に行ってみたら長蛇の列で、コロナ感染が心配、ということも
なくなります。
さらに、上記1.の様な状況をすべて、スマホで解決することが可能です。
具体的には、
1-1. 投票所入場券が届いた時点で、すぐに投票を始めようとしてしまう人には、QRコードでサイトにアクセスした時点で、「ネットによる期日前投票は〇日から〇日までできます」と表示されます。
1-2. 事前審査で各候補から提出してもらう選挙公報用データは、印刷に回すと同時にネットにアップする様準備すればいいです。ちなみに、目の不自由な方のために音声読み上げサービスをHPで実施している自治体もあります
から、同じ要領で読み上げ用の元データをHPにアップし、それをスマホから閲覧出来る様にすればよいです。
1-3. 選挙公報を読んでから投票所に行くより、ネットで確認した直後に投票できる様にすれば、より正確性が高まります。
1-4. 1-3.と同様、投票所の前で選挙公報を読んでから投票するのと、同様の正確性が維持できます。
そして、海外に目を向ければ、エストニアは2007年に世界に先駆けてネットによる国政選挙を実現しています。
それから16年も経ってますよ。
いきなり国政選挙で実施するのがリスクあるなら、まずは地方選挙とか、
どこかの市長選挙とか知事選挙で実施してみればいいと思います。
ちなみに、小池百合子東京都知事が、「次の都知事選は、この際ネット併用にします」って一言(ひとこと)言い放つだけで、次の再選も間違いなくなると思いますけど。
私が考えた様な上記の設計だったら、開発期間もそんなにかかりません
から。
3.では、スマホから投票できるようにすると、どんなデメリットやリスクがあるのか
最後は、やはりこの点を考慮しないといけないと思いますので、この投稿
やや長文になりますが、整理します。
3-1.サイバー攻撃のリスク
国政選挙にしたところで、有権者のデータは全国で約1,700ある各自治体に
分散しているのですから、そこがすべて同時にサイバー攻撃を受けるリスクは、心配しなくていいと思います。
いや、それを心配するなとは言いません。
言いませんが、でしたら、それより、みずほ銀行の様なシステム運用に疎い金融機関に預金がまだたくさん残っていることの方を、よっぽど心配すべきでしょう。
3-2.やり直し、後戻りはできるか
できますよ。
ネット選挙で投票されたデータは、紙の投票と違い当たり前ですが紙では
残ってませんので、システムログが失われない様にしっかり保存する
仕組みが必須です。
ちなみに紙の投票用紙だって、立候補者の名前が書いてあるだけですし、
誰が書いたかも判らない様になっています。
投票の秘密を守るためですから、当たり前ですよね。
ですので、失われてはならないデータとは、各立候補者の名前が書かれた
投票用紙が、それぞれ何枚ずつあったのか、それと、ネットでそれぞれの
候補者に何票入ったのか、ということです。
それでも万一、システムログも投票結果も全部消失してしまった、という
場合は、紙で投票してても同じですが、もう一度やり直しするしかないし、やり直しすればいいです。
3-3.スマホ投票で、新たな不正が行われる危険性はないのか
あいにく、その危険性、つまり新たな不正が行われる危険性は、あります。
例えば、選挙に行かない過半数の有権者の家々を訪ね、現金で買収して、
投票用紙をもらってきて、スマホからせっせと特定の候補者に投票して
しまう、という方法が考えられます。
でも、それで選挙結果を覆させる程の結果を出すためには、相当多額の資金を投入しないと無理でしょう。
その場合、例えば10,000票分不正をするとして、スマホでの投票をそれだけ実施するには、共犯者を多数動員しないと間に合いません。なにせ、1週間やそこらしか選挙期間がありませんから。
後で、密告者が出たりして、絶対バレますので、やるだけ無駄です。
どうしても不正防止策をシステムに組み込みたいなら、投票する際に、
スマホのIPアドレスを取得させればいいです。
同じIPアドレスからのアクセスがあったら、「ご自分のスマホで投票して
ください」と表示させればいいです。
終わりに
今回、私がこの投稿を書く決意をしたのは、荒川区議会議員選挙で、投票した人が自分の投票用紙をスマホで撮影して、ネットにアップしたからです。
本人は、悪気なかったのでしょうが、正しいことを言うと、これはやってはいけません。
具体的には、投票用紙記入場所で、スマホで撮影したらダメです。
投票の秘密が、維持できなくなりますからね。
従って、投票用紙記入場所で、スマホの使用は禁止されてます。
スマホで電話しながら、「あ、お母さん、私~ぃ。ねぇねぇ、誰に投票
すればよかったんだっけ?」とか、聞きながら書くのもダメです(笑)。
それを見逃した荒川区選挙管理委員会と、誰かは知りませんが選挙立会人の人、反省してくださいね。
紙の選挙を続けていても、こうした緩みが生じます。早くシステム化
しましょう。
結論ですが、前回お話した「罰金制度」と、今回お話した「スマホ投票」は、日本の選挙の投票率を上げる仕組みの両輪です。どちらも同時に回していくことにより、相乗効果を発揮でき、日本が真の民主主義国家となる、
おそらく最後のチャンスを与えてくれることでしょう。
では、また。
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