美しいものは残る
今日の授業でのこと。学生の質問にはっとした。
「壊れているのに、残したってスゴイですね。」
ルーヴル美術館収蔵の“ミロのヴィーナス”や“サモトラケのニケ”のことである。
壊れていたどころか、バラバラで発見されたものを研究してまとめ上げて、
更なる研究魂を挑発する『美』であり、観光客の心にも一瞬でとどまるという2200年以上も前の彫像である。
マンツーマン授業のため、飾らない素直な質問が聞けるのは、嬉しいことだ。
言葉のいらない、人種を選ばず、時を超えて問いかける美。意味の解明の前から、考古学のロマンをのせて。
改めて「新しいものへの価値」に偏った生活をしていると。せっかくの「よいものへの理解」が、遠のいてしまうのだなあと思った瞬間。
すぐに手に入る情報だけでなく、価値があると言われているからでなく、自分で感じた価値あるものへの興味を増やして追及していくことも、服を選ぶのと同じくらい素敵なことだ。
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