バッグの話
※この記事は195modèle公式サイト上で連載されていたコラムを再掲載したものです
東京のモノの整理をしていて
思い出した。
幼少の頃、
「おでかけ」には特別の
スタイルがあって、
昭和な私は、
『白のバスケット』にベルベットの靴。
バスケットに入れるものは、
ままをまねして、
おさいふと、
ハンカチと、
大切な石とかシール。
帰りは疲れて抱っこされて
寝てたかもしれないけれど、
きっとバスケットは離さなかった?
のかなー。
小学生になると
ファンシーグッズのお店に
毎日通って。
棚の整理をしながら、
置いてあるものの隅々まで
見るのが好きだった。
毎回買える訳ではないから、
できるだけ長い時間
大好きなお店にいるためには、
少しでも陳列の崩れているところを
直していく、勝手に。
将来、ここで店員さんとして
毎日居れたら、
どんなに素敵だろう、と
思っていた。
お小遣いをもらえる頃になったら、
とにかくバッグ、
バッグが欲しい。
もう、ままが買ってくれたものじゃなくて、
自分で選んだバッグが欲しい!
初めは、
ファンシーグッズのバッグ、
文房具の延長線の
布のバッグ、キャラクター付き。
どこにどう、
キュラクターが付いているのか、には
こだわるよ。
高校生になった頃には、
初めて持った定期券で、
寄れる小さな繁華街。
31アイスクリームも好きだったけれど、
大人に近づけるようなバッグ、
バッグを探すのが好きだった。
そりゃビニールなんだけど、
少しでも個性的で、
自分を表せて、
どう持つのかも考えて、
もちろん服装に合わせて、
いく場所に合わせて。
ひとつしか買えないから、
どれにしようか、
毎日毎日、
こっちの少し安いのと
本当に欲しいのとどっちがいいのか
考えて。
来週の期末試験も重要だけど。
新しい(ビニールの)バッグを買って、
期末試験が終わったら、
今度はヨコハマくらいまで
行ってみよう、とか思っていた。
働きはじめて、
いよいよ本当のバッグが買えるのか?
と思っていたけれど、
まだまだ原宿スタイルの
自分のファッションには、
いわゆる高級バッグは、
似合わない。
それでも初めて
本当の革のバッグを
自分で選んで、
自分で買った時には、ずっとずっと
大切にしようと思っていたのに、
あのバッグはどこにいったのだろう。
その後パリに住んでみて、
20代の女にブランド品は、
不釣り合いなのだ、と
フランスマダムに教えられ、
毎週開かれる蚤の市、を
楽しみに、
フランスで見つけた古着、に
ハマってみたりした。
カゴバッグも
おしゃれだなーとか。
だから今でも、
カゴバッグはパリの香り。
お買い物にも洗濯にも、
インテリアや小物入れにも。
ちょっと革バッグからは、
遠のいたり。
30代になって、
パリでのライフスタイルを
いいと思いながらも、
仕事に邁進!
いつかは2万円で高級だと思っていたバッグ、
今年は3万円、
翌年は5万円、
いつかは10万円以上のだって
欲しければ買おう、と
思ったり。
まるでバッグのランクが
己のランクかのように
勘違い。
あの頃の
バッグへの憧れとは違う何か
になっていた。
誰とも違う自分
の決め玉として、
どんなバッグを持って出かけるのか。
早く大人になりたかったころ、
パリへ行きたかったころ、
ファッション業界に入りたかったころ、
価値観と金額が、
くっついていない頃、
自分の中にある
自分だけのいい、
に沿った価値観で選びたかった
バッグ
今日思い出したそんな気持の
それぞれを
持って出かけるバッグを
作って行きたいな〜と
思ったのでした。
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