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親に言えない恋が少女を自立した女にする、と思った午後

動物が、
初めて見た動物を親と思うように、
私の芯には、
1960年代後半からの流行歌が
親の躾のように染みついている。

その頃も家には終日ラジオが流れていて、
必要以上に幼少期の感性を刺激した。
単語と詞とメロディとが、
まだ家から出たことのない、
母と流行歌と自分の欲求、
しか知らない私の核を作った。

今も終日ラジオを聴いていると、
そんな世代のために流れているような時が、
時々あって。
(思わずミシンの手が止まる)
今の流行り歌とは明らかに違う歌詞。
命をかけた恋の連続。

親の教えとも、
学校のそれとも違う、

自分とその人とだけのルールに従って
生きていく覚悟のような、

歌詞以外では、
そんな世界を感じたこともないのに、
空想ばかりが育って、

きっとずっと、
誰からも教わらないのに、
選んでいくのだなーなんて

ヒト桁の歳の頃に思ってた。

その後、
日本文学やフランス映画、
の中のそれを知っていくのだが。

その前に感じていた
そんな感覚。
秘め事な感じ。

そんな恋が、
大切ではないのか、と
思った午後のミシンの時間。

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