ドラマの本質を描けなかった理由
もう30年も前の話。ただ会社を辞めたくて、しかし何もやりたい目標がなくブラブラしていたある日、新聞にシナリオライター養成所の広告を見つけた。そこには花形の売れっ子ライターの名前が連なっている。
どんな仕事なのかさえ把握してないのに入門していた。
基礎講座、そして本科、研修科へとすすむ。課題のシナリオを20本書いたが、段々としんどくなってきた。小手先の思い付きだけでは、人が見て心を惹くドラマの真相には迫れないのだ。人はそれを才能が無いと言う?
スランプから抜けられず、研修科の課題もろくに書けないままリタイアした。しかし書く事の楽しさは失わなかった。その後は道楽でブログ小説を仲間と競い励ましあって続けた。同人誌に投稿し続けた仲間は、出版社から詩集を出した。自分は無料のブログにこだわった。読みたい人が勝手に読めば良いのだと。
公募にもコンテストにも興味が沸かない。なんなら収入が発生すれば申告して税金が取られる。それが面倒で嫌だった。このまま障害者の非課税世帯として援助を受けた方がコスパがいいと思ったから。
本音を言えば売れっこねえとわかっていたから。だからチャレンジしなかった。ドラマの真相心理に迫る、つまり人々に共感を与えるシナリオって何か?
マジで人生の辻褄があった瞬間を体験していなかった自分には書ける道理がない。
あれから30年経って、やっと本質に迫れそうな気がして来た。せっかくだから、余生を楽しもうと思う。