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毎日新聞社の『経済プレミア』の連載で感じること

経済プレミアに登場した17名の地域活性化の挑戦者たち

毎日新聞社の有料ビジネスサイト『経済プレミア』に、「地域活性化の挑戦者たち」(現在は「地域で光る小さな会社」)という記事を連載しています。これまでに登場していただいた挑戦者は、岩手から大分まで17名です。

https://mainichi.jp/premier/business/%E6%AB%BB%E7%94%B0%E5%BC%98%E6%96%87/

正直言って、連載原稿ってなかなか大変です。終わったと思うとすぐに次がきます。次回のテーマを考えながら記事を読み返していると、この17名の方々は環境も条件も異なりますが、共通点があることに気付きました。

人と人のつながりによって地域は成り立っています

はっきりと言い切った方もいれば、そうでない方もいますが、それは「地域を良くするために活動しているのではなく、いま自分がいるところを暮らしやすくしたいだけ」・・・これが17名の方の共通点です。

なかには「地域の活性化にはまったく関心がありません」という方もいました。とらえ方によっては「自分だけ良ければ」と言う風に聞こえるかもしれませんが、真意はそうではありません。

地域を構成するものとして浮かんでくるのは自然や経済ですが、人も自然の一部であり、地域の経済は人が動かしています。人の集まりが地域であり、人と人のつながりによって地域は成り立っています。

自分よりも他人や地域が大切というのは幻想です

自分よりも地域が大切という人はそうそういないと思うのです。時々、それ的な意見の方もいます。しかし、話してみると、やはり自分が大事ということにたどり着きます。自分よりも他人や地域が大切というのは幻想です。

作家の五木寛之さんが『生きるヒント2』でこんなことを書いています。「人間は誰でも自分がいちばん大切なのです。そして、そのことをほんとうに自覚した人間だけが、自然なかたちで他人を大切に思うことができる」。

日本人のメンタリティとして「自分が一番大事」という言葉にどこかで罪悪感を感じるのかもしれません。子供の頃から親や先生に「人を大切に」と言われてきました。でもやっぱり一番大事なのは自分です。

いま自分がいるところをさらに暮らしやすくする

地域には考えも暮らし方も生き方も異なる多様な人々が暮らしています。それらの他人と上手に折り合いをつけ、協調するのが暮らしです(そうでない人もいますが・・・)。なぜならば、大切な自分の暮らしを守るためです。

自分が暮らしているところを、いまよりも暮らしやすく心地よい場所にしたい。その延長線として、地域が良くなればというのは自然な考えです。17名の方たちも、地域を良くするために活動しているのではありません。

自分が暮らす界隈から始まり、地域、地方、そして日本から世界へ・・・まずは、暮らしの小さな単位である自分がいる場所を、少しでも心地よくしようというのが、地域を活性化することの本質だと思うのです。

地域活性化は自分のための小さなことから始まる

声高に「交流人口を増やそう」「地域でお金を循環させよう」「地域から出るゴミを減らそう」ということも大事ですが、まずは周囲の人たちと協力して、自分たちの足もとを気持ちよく暮らせるようにすることが第一歩です。

ゴミを拾う、雑草を抜く、あいさつを交わす、おすそ分けをする・・・これ以外にもたくさんあると思いますが、地域の活性化は、こんな小さなことから始まります。どれも自分が気持ちよく暮らすためにすることです。

「自分のために心地よいものを大切にする、同時に他人が心地よいものも大切にする」・・・地域活性化の活動って、そんな風に考える人を増やすことではないでしょうか。経済プレミアの連載を続けていて、そう思うのです。


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