橋
慰めの言葉もない
という言葉
苦しい
悲しいこころへ
寄り添えるのは
木々の葉裏を耀かせる風
単調に打ち寄せる波
滔々と流れ止まない瀬音
それでも
ひとは声を掛ける
霞む向こう岸へと
橋を架けるのにも似て
大丈夫か
残念でしたね
おつらかったでしょう
思いあふれて掛ける
少ない言葉にさへ
堪えきれず
橋は落下する
けれど
いつか中空に
雲より細く線が
一本また一本と浮かび
孤が描かれ
見えない橋は架けられて
そっと
揺れている
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