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野口恒生
2019年7月3日 09:57
貴女が微笑んで 小首を傾げると テーブル脇の 棚に置かれた 一輪挿しの水引草が その髪にかかる すぅーっと二本 きらめいてそれは 簪のよう まだ間もない 二人の会話が 水引草に沿われるように 澪標を伝い 滑っていく ときおり ちらちらと 揺曳する 細かな紅に 照らされたりしながら