デジタルと人権
デジタル庁はマイナンバーカード普及のために作ったのだと理解している。役場の仕事をデジタル化すれば効率が良くなりペーパレスで経済的である。コロナが始まった当初、国民を支援する給付金や見舞金の振込がヨーロッパでは数日で完了したのに、日本では通知書と確認報告書が郵送され日数がかかり、多くの混乱を招いた。それでも、個人情報が権力者に利用されたり流出したりすることを恐れて反対運動が根強い。この状況に政府は危機感を感じた。私は3年ほど前にマイナンバーカードを取得した。その理由は学校でデジタル化の恩恵に浴した経験による。学年・組・氏名・部活・保護者氏名・電話番号・成績・生徒情報・進路希望・成績・進路先・出席日数・欠席日数・アレルギー等の健康状態をコンピュータで管理して事務作業が格段に効率的になった。また、授業で使用する学習プリント・プレゼン資料・学習プリント・テスト作成にも素晴らしい効果があった。しかし、効果を実感しない教師が多かったのはコンピュータをうまく使いこなせず振り回された経験による。折角ペーパレスのデジタル化が目前に迫っているのに紙に印刷する必要性ばかりを強調する保守的な反対意識がコンピュータを使う技術習得にマイナスに働いたのが原因していると考えている。
10月11日が「デジタルの日」らしかった。前デジタル大臣平井卓也によればデジタルは「0」と「1」の集まりだから10月11日だそうだ。1月1日や11月11日には0がない。正月とポッキーの日ではデジタル庁は勝てないと判断したらしい。デジタル大臣に興味があったのでWikipediaで調べた。YouTubeも見た。その中で印象に残っているのは外国人観光客の顔認証システムの受注問題でNECに対する脅迫じみた動画だった。これが日本の政治家の代表的な顔だと思った。コメント欄には平井大臣を褒める言葉で満ちていてネトウヨを想像して背筋が寒くなった。新しい大臣は牧島かれんなる女性国会議員。Wikipediaには彼女に意見が項目ごとに書かれていた。趣味に狩猟(わな)とあった。もう一つ、二人とも自民党たばこ議員連盟所属との記述を見た。どう見ても読んでも期待できない。
米・マサチューセッツ工科大(MIT)メディアラボ元所長の伊藤穣一(じょういち)氏が事務方トップの「デジタル監」への起用が当初検討された。(朝日新聞デジタルの記事)
日本人でメディアラボの所長になった人がいることは知っていた。その人がデジタル庁に入るかもしれないとニュースを見てデジタル庁に期待したことがあった。なぜ期待したかと言うと、MITのメディア・ラボが作った教育用プログラミング言語「LOGO」と「scratch」を教員生活後半の授業に使い続けてきたからである。それを開発したところがメディア・ラボである。特に、若い頃LOGOを開発したシーモア・パパートの書いた「マインドストーム」(当然、訳本)と言う本にとても影響された。
エプスタイン・スキャンダルとは、過去に未成年の売春斡旋で有罪となり、2019年にも性的虐待、人身売買などの容疑で再度起訴されたアメリカの実業家・ジェフリー・エプスタインから、多くの名門大学や研究者が資金提供を受けていたという事件だ。伊藤氏は問題ある人物だと知りつつも資金提供を受けていたと報じられたことで、MITの職だけでなく、その他の役職も辞任することになった。
https://www.businessinsider.jp/post-241072
エプスタインの記事を読んで日本の政治家と同様に私の人権感覚も麻痺しているようだ。森喜朗の女性蔑視問題の時は人権問題で腹が立ったのではなく、あの程度の知性を持った人物が総理大臣になれる日本に怒りを覚えたらしい。日本人の人権感覚は自分たちでは気づかないほど麻痺している。私は「自民党たばこ議員同盟」ぐらいで驚いていたが、外国では未成年者への性的虐待・人身売買した人物から寄付を受けただけでアウトらしい。
森友・加計・桜・・・・・
デジタル化が遅れているだけではないようだ。