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沈みかかっている学校という名の船

 部活を社会体育に移行しようとすると
「生徒の気持ちを大切にしてほしい」
「子供を犠牲にしてはいけない」
錦の御旗のように反対意見を掲げる人々がいる。けれども、彼らは中学の状況が理解できていない。
 学校は沈みかかった船である。大量の水が入っていて学校本来の仕事が果たせていない。生徒の学力は塾がなければ成り立たない状況にあり、辛うじて高校入試の内申点を決定する機関としてだけ成立している。浸水している原因は教師の多忙にある。
 学校を危機的状況にしている具体的なものは、
・部活動
・増えるばかりの行事
・モンスター級の親の対応
・出張
・会議
・研修
これらに加えてICT機器研修までが押し寄せている。それらに時間を取られてまともな学習指導ができない。外見的に学力が保てている様に見えるのは学習塾のおかげである。教師に時間的余裕さえあれば、塾が行う学習指導は必要がなくなる。
 まずは船に溜まった水(余計な仕事)を汲み出さなければ沈没する。これを防ぐ最善策は中学から部活を社会体育に移行することである。部活がなくなって初めて学習環境が整う。学校が沈没してしまっては教育機関ではなくなり、単に部活動だけを指導する機関になってしまう。
 部活動だけではない。行事を必要最小限にすべきである。部活と行事をなくしたら子供がかわいそうだと言うが、部活動や宿泊研修・職場体験・キャンプ・スキー合宿・文化の香りのまるで無い歌って踊るだけのフェスティバルのために、学習が存在している状況では学校の存在価値はない。
 学校は部活や踊りを指導する機関ではない。職場体験や宿泊研修は本来なら親が指導すべきである。親ができないと言うなら、これも社会教育で行うべきである。
 船が沈みかかっているのに乗客の娯楽サービスばかりに血道を上げていては、今後、生徒の安全や健全な成長は望めない。
 部活組織は市町村組織から県単位そして全国組織まで立派に出来上がっている。組織だけではなく人材も指導力も立派である。これに匹敵する組織を別に作ることは困難を極めることだろう。しかし、沈みかかっている船の上に大きな組織がそびえ立っている状況は危険この上ない。立派で大きいから船を沈めてしまう力も強大である。船の上に築き上げた組織を他の船に移したり陸にあげたりする必要がある。
 この改革は難しけれども、教育現場を正常に戻すためには最優先で取り組まなければいけない。

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