父の朝酒
今日も歳をとるとこうなる状況をお知らせする。
ビール350ml缶が一気に飲めない。
いい解決策を見つけた。
夕方、1缶を2回に分ければ飲める訳だから、
昼も2回に分けて1缶飲めばいい。
そうすれば、2本飲むことができる。
Good idea!
ここまで考えて、父親を思い出した。
父の酒好きを母はいつも怒っていた。
う理由は酒代が嵩むからだ。
私も妻の買い物に付き合うと酒代がバカにならないことに思い至るが、妻が酒代に無頓着なのは経済的に差し迫った緊迫感がないためだろう。
「ひょっとして、」
父は年老いてから、たくさん飲めなくなった寂しさから昼や朝酒を飲んでいたのかもしれない。
「そうかもしれない。」
申し訳なさそうに飲んでいた父の顔を思い出す。
父の亡くなった年齢を超えて1年。
幸せな余生を送っているが、
父と同じ寂しさも感じている。
彼は軍隊の教練で長距離を走るのが速かったと自慢していた。定年後は衣浦大橋を渡り、海底トンネルを潜(くぐ)って高浜に戻って、叱り飛ばす母のいない行きつけの居酒屋で飲むのを楽しみしていた。そんな余生を送りながら,70歳の手前の69歳で亡くなった。68歳の時点で肝臓癌で死を覚悟していた。
私は鏡を見るたび、父に似てきたと思う。