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意図的に誰かを傷つけたことがあるか

誰かを傷つけた経験というのは、多かれ少なかれ誰しもあると思う。自分で言うのもおこがましいのだが、私という人間は根本的に優しい。

友人や上司、恋人や家族、どんな人と話すときも言葉を選んでいる意識はあるし、なるべく人とは穏やかな関係でいたいと思っている。


ただ、相手が傷つくことを分かっていながら、意図的にそれを辞めることができなかったことがある。そのことを今になって、少し反省したので、懺悔の意味も込めてここに書き記しておこうと思う。

高校生の頃、恋人と別れたばかりの私には気になる男の子Aがいて、失恋したばかりの虚しさも相まって、彼とどんどん親密な関係になっていた。

そんな彼はどうやら、同じクラスのBとも仲が良く、そして、学園ドラマよろしくBはAに好意を寄せていた。ただ、思い込みでなければAとの関係は私が一歩リードしていたと思う。

ある日の放課後、数学の得意なAに教えてもらうために、机を寄せ合い、一緒に問題集とにらめっこをしていた。その時期は文化祭の準備期間であったため、放課後にもかかわらず校舎には人の気配がまだ残っていた。正直、私は数学そっちのけで彼との時間を楽しんでいたのだが、そこにあろうことかBが風を切って乗り込んできたのだ。

そもそもBはきらびやかで派手な感じの女子高生で、私は苦手意識を持っていた。しかし、それだけではなく決定的に、彼女のことを苦手とする理由があった。それはBの性格の悪さで、女なんてものは悪口で生きてるもんなのだから、自分のことは棚に上げているといえばそうなのだが、アイツはマジで性格が悪かった。

クラスにCという女の子がいて、彼女はふくよかで眼鏡をかけていて、いつも静かで穏やかで凪のような子だった。まあ、ざっくばらんに悪く言ってしまえば地味でパッとしない感じだった。そして、Bはその子がSNSに投稿した写真をスクショして、馬鹿にするような言葉とともに友人たちに送っていた。いやいや、Cはお前に何したんだよ?ほんで、Aにもそれ送ってたからね。当時、意味も分からない正義感がマシマシだったので、私はわりと腹を立てて、嫌悪感を募らせた。

まあこんなところで、Bのことが苦手になっていた私は、性格の悪い意地悪を思いついた。彼の名前が、「翔太(しょうた)」だとすると、翔の字をとって、「しょう」ではなく「かける」と読む、みたいな感じで彼の名前をわざとらしく呼んだ。その呼び方で彼のことを呼んでいる人は誰もおらず、私とAの間にはうっとりとした空気感が流れているように見えただろう。

そのときBがどんな顔をしていたかもう覚えていないが、その後Aに「あれ何!?」みたいな抗議があったらしい。そして、その後Bとの関係が泥沼化したのは言うまでもない。

今思い返しても、Bの性格の悪さは許しがたいものだけど、あれはさすがに私も大人げなかったかなと反省した。何よりも、私もB同じ土俵に立ってしまった。何もされていないのに、Bを無条件で傷つけたのだから。
あのときはごめんね、Bさん。でも私がAと付き合いましたけどね(恋愛は早い者勝ちです)


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