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程暁農★露・ウクライナ戦のドイツ・ファクター(下)   — 独の欧州統合の夢は壁に —


2022/03/16

 EUのボレッリ外務・安全保障政策上級代表は3月10日、フランスのチャンネルTF1とのインタビューで、間違いを犯したことを認めたが、その間違いは方向が違っていた。彼はこう言ったのだ。

;「我々はいくつかの間違いを犯して、ロシアと歩み寄るチャンスを逸した」

 EUの最大の失敗は「ロシアと近づきすぎた」ことである。もし「もっと歩み寄って」いたならば、間違いは一層ひどいことになっていた。

 ドイツとEU加盟諸国の大多数の国々の間違いとは、西側の左派政府が長年にわたって犯してきた誤りの集中的爆発なのだ。それが最後にウクライナでの戦争になり、EUをぬきさしならない苦境に追い込んだのだ。

 今回、私は「★露・ウクライナ戦のドイツ・ファクター(上)」、「★露・ウクライナ戦のドイツ・ファクター(中)」でドイツとEUの二つの間違いを語った。

 それはむやみな反戦平和主義と軍備放棄、盲目的な「緑のエネルギー」の追求によるロシアの天然ガスへの依存だ。

 今回は、さらに分析を進め、ドイツというEUの指導的国家の欧州大統一の理念が、いかにして欧州を混乱に陥れたかをみてみよう。

 ★「欧州大統一」というユートピア思想

 EUのリーダー、ドイツもフランスも「欧州大統一」の実現という理念に酔ってきた。このイデオロギーは遡れば、マルクスの共産主義理念に由来するものだ。

 ドイツを筆頭とする欧州は、過去数十年来ゆっくりと「新マルクス主義」に左旋回してきた。NATOとEUは欧州の「左翼病」に支配されてきた。

 彼らは世界の理想社会の麗しさを信じ、欧州大統一政府の力に惚れきってきた。そしてEUを一歩一歩、「欧州大統一」の軌道上に導いていったのだった。

 EUメンバー間の国境を取り消し、関税を廃止し、人口を自由に流動させ、経済的に遅れた国々にEUの資金を補助し、さらにはEUの財政を大統一しようなどと考えたのだった。

 つまり一言で言えば、EU大政府がメンバー各国を指導し、ドイツとフランスの欧州の二大国が当然のようにEUの「主人」になろうということだった。

 これにはとっくに雛形があった。他ならぬソビエト連邦だ。

 専制主義のソ連は最終的に解体されたが、ソ連人が専制主義に不満だったからというのは、理由の一つでしかない。

 ソ連が本当に解体されたもっと重要な理由は、ソ連に加盟していた各国の「主人」のロシアが、この大統一連邦国家の極めて重い負担に耐えることができなかったのだ。

 そこからの離脱を求めて、ロシア、ウクライナ、ベラルーシは率先してソ連邦というお荷物を放り投げた。その他の小さな共和国は他の選択肢もなく、誰からも面倒を見てもらえないので、自立するしかなかった。

 大統一欧州の夢を熱愛したドイツとフランスは、マルクス主義イデオロギーに染まって、ソ連という大統一が必然的に終わりを迎えた歴史の法則を見ようとせず、逆に統一欧州の主人の座と権力を垂涎の的とした。

 ドイツとフランスは自分たちがEUの支配権を握り、統一欧州のユートピア実現のために、不断にEUの範囲を拡大し続けて、欧州の主人となって米国と対等になろうとしたのだった。

 そして、西欧各国はほとんどがもうEUメンバー国だっから、ドイツやフランスは「統一欧州のユートピア」実現のためには東ヨーロッパ方面に新たなメンバー国をさがすしかなかった。そうした国々は大半が以前のソ連圏のメンバーだった。

 こうしてEUはますますEU辺境に向かって東へ手を伸ばし、ロシア国境に近づいていった。

 しかしこのことがロシアの警戒心を刺激する可能性や、EUが東のメンバーの防衛義務を重くすること、ドイツ自身の軍縮・軍備削減戦略がEU諸国の実際の防衛力を削ぐものであることなどは、「ユートピア脳」にかかっていたドイツやフランスの指導者たちは完全に忘れていたのだ。

 ★民主化失敗がロシアの覇権主義を復活

 もしロシアが近隣諸国の領土主権を尊重し、覇権主義的な野心を持たない真の民主主義国家であれば、EUの東方拡大がEUとロシアの対立を引き起こすことはなかっただろう。

 しかし、米国を含む一部の学者たちはずっとロシアの民主化の方向に対して誤った判断を下し、ロシアは覇権主義にはならないとしてきた。彼らはロシアにたいする理解が浅く、ロシアは西欧のような成熟した民主主義社会になると思い込んだのだ。

 このような幼稚な思い込みは、根本的にロシアの制度的転換における民主主義は失敗の道を歩んでいるとわかっていなかったことからだ。そして民主主義の失敗は必然的にロシアの覇権主義の復活なのだ。

 共産主義国家の制度転換には、民主化と市場化という2つの明白な位相がある。

 だが、もうひとつあるのだ。それは共産主義国家の制度転換を成功させるために不可欠な、見落とされがちな「社会的転換」(social transformation)だ。社会的転換とは、社会の大多数の人々のモラルや価値観、日常の行動などが変化することだ。

 「洗脳」は専制国家の統治を継続する基本的な手段であり、その目的は一般の人々を、共産党政権の下で道徳観、価値観、行動に自然に染め上げることだ。

 もし共産党国家がモデルチェンジしようというのなら、人々は共産党時代につくられた道徳観、価値観、行動形式を変えねばならない。もし社会のモデルチェンジがうまくいかな変えれば、政治、経済のモデルチェンジもうまくはいかない。

 モデルチェンジ路線を歩んできた共産主義国の中で、社会の変革を成し遂げ、共産主義的価値観を一掃し、共産主義時代の官僚を中・上流階級から大量に排除できたのは、中欧のポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーだけである。

 一方、ロシアは民主化の一環として議会を設置し、選挙を導入しただけで、国民の価値観は共産主義時代のままであり、エリツィン時代の民主化の成果はプーチン時代に元に戻ってしまった。

 プーチン時代には選挙がしばしば不正に操作されたが、ロシア国民がプーチンのような指導者を繰り返し繰り返し選ぶ根本の原因がある。

 それはソ連時代の誇り、強大な国家への信頼、経済的依存が、投票行動を形成する内的尺度として大多数の国民の心に残っているからである。

 だからロシアの民主化は明らかに失敗だった。失敗した民主主義の後退は、共産主義時代の対外覇権政策に回帰することを容易にする。

 対外覇権回帰政策は、社会の多くの人々から今でも喝采を浴びることが多い。この点を見ておかないと、なぜプーチンがあえてウクライナで戦争を始めたのか理解することはできない。

 その上、ロシアの制度的劣位を生み出した民主化の失敗によるロシアの制度的なグダグダがロシアのエリートと国民の劣等感をさらに深めている。

 プーチンの逆行に反対する人々は、所詮、ごく少数だ。だからプーチンははっきり知っている。

 ロシアは自分が統治するかぎり、民主化が成功する前のソ連圏のメンバーの制度に比べて劣勢は大変はっきりしており、経済的な遅れには希望が全くなく、圧政と対外的強権を示すしかないのだと。

 だからプーチンの制度的な劣等感は強烈なものがある。国内向けては常に反対勢力に対して政治的な高圧姿勢を強化し続ける。

 そして対外的には、西欧諸国に接近しようとする旧ソ連圏の加盟国に嫉妬し、敵対し、常に脅威を与え、最低でもその制度的な優位を削ろうとする。

 ロシアの覇権主義への回帰は、ロシアの移行失敗後に生じた制度的劣等感の反動だ。

 近隣諸国の成功によってロシアのかつての栄光が完全に失われることを恐れるあまり、ウクライナ戦争を起こし、さらには他の旧ソ連圏加盟国を脅かしたかったのである。

 ★NATO内の二つの立場

 ドイツの親露・軍縮路線は、合理的な思考によるものではなく、マルクス主義のイデオロギーの産物である。

 ドイツは民主主義国家ではあるが同時に、マルクス主義熱愛する世界の「左禍」の発祥の地でもある。

 だからドイツは共産党の制度に対して、深く批判したことはなく、さらにロシアの民主主義の交代による覇権主義復活を直視しようとしなかったのだ。

 西ヨーロッパのNATO加盟国は、冒頭に引用したボレッリEU外務・安全保障政策上級代表の言葉に示されるように、軍備を放棄すればプーチンの信頼と協力を得られると考えた。

 そして、長い間「剣を倉庫に入れ、馬を野に放つ」ようになったのである。最初に紹介したボレッリEU代表の談話がその一つだ。

 しかし一方で、EUやNATOの中には旧ソ連圏の国家がある。冷戦時期に様々に民主や民族自決の要求を提起して、ソ連に弾圧され、戦車で残酷に鎮圧された国々だ。1953年の東ドイツ、1956年のポーランド、ハンガリー、1968年のチェコスロバキアだ。

 こうした血なまぐさいソ連の弾圧をうけたEUとNATOの新メンバー国家は、ドイツや他の西欧国家のようにロシア宥和政策が平和をもたらすなどとは信じなかった。だから不断に米軍による象徴的な保護を求めたのである。

 ウクライナ戦争勃発後、プーチンはNATOの東進がロシアに対する巨大な国家的安全の脅威だから戦争になったと言い張っている。

 しかしNATOのいわゆる「東方拡大」は誤った命題だ。今日のNATOはかつてのNATOとは全く異なる。

 西欧諸国が左翼的、親ロシア的になっていいった。が、一方で、EUに新規参入した東欧・中欧諸国はそのような立場を受け入れがたかった。その結果、NATO内ではロシアに対して2つの立場が存在することになっている。

 昔のNATOには価値感の上での深刻な分裂はなかった。ここでいう価値観とは民主主義と専制主義のことではなく、西側のマルクス主義が生み出した左派的価値観と自由民主国家の伝統的価値観の違いのことだ。

 昔のNATOメンバー国家は米国の指導権を尊重し、団結一致して冷戦における優位性を保ち、指導権争いをしなかった。

 しかし、今日のNATOでは西欧諸国の左派が反戦・親ロシアを望み、戦力を大幅に縮小してロシアの覇権に立ち向かうことを事実上放棄した。

 一方、ソ連崩壊後にNATOに加盟した旧東欧諸国はロシアの戦略的野心を強く警戒している。この二つの価値観がずっと争ってきた。

 今日のNATO内部ではドイツ、フランスが西欧左派政府を率いて、自分たち左派の価値観にのっとってNATOを「牙のないトラ」にしようとしてきた。このためにNATOの指導権を争ってきた。

 しかし、EUの元ソ連圏のメンバーたちは、自分たちが以前、ソ連の附庸国家だったから、必然的に国家の安全面を心配していた。こうした国々がドイツの国防力ゼロ状況の下で、米軍に保護を求めるのは当然だった。

 いわゆる「NATO東方拡大」論は、実際には、旧ソ連陣営加盟国、現在の新EU加盟国における米軍の小規模な駐留に過ぎず、その規模はロシアに対する軍事的脅威には全くなっていない。

 これらの国の要請で、米軍が行った象徴的なジェスチャーに過ぎないのである。

 ★「NATOの脳死」 

 NATO首脳会議は毎年定期的に開催されており、2017年以前は、ウクライナ東部の分断とEUの東方拡大が主なテーマだった。

 ドイツとフランスの主導で、EUは東へ東へと拡大し、一方で防衛はますます甘いものになっていた。

  EUの東方拡大が進むにつれて国境がロシアに近づき、ロシアの反発によってEUの防衛意識が喚起されたはずなのに、なんとこの時になって、ドイツとフランスはロシアに歩み寄り始め、ドイツなどの西側国家に残されたのは「実際には役に立たない軍隊」だった。

 このような背景から、米国とEUは防衛戦略について異なった判断をするようになった一方、ドイツとフランスは、防衛費の面でロシアに脅威を感じさせないようにしたいと考えた。

 軍事費を抑える一方で、EUを東に拡大する方策をとり続け、事実、ロシアに新たな圧力をかけていったのだ。

 これとは反対にアメリカはロシアに警戒心を持ち続け、EUに「無料軍事防衛サービス」を続けていた。

 このように、ドイツとフランスはEUをリードして欧州の方向性をきめつつ、米国のロシアへの警戒心には反対しながら、米軍には引き続きEUのために無料の軍事防衛を提供し続けることを望んだのだった。

 そこからはドイツとフランスの極度の身勝手な傲慢さをみてとれる。

 ドイツはEUの東進拡大は自国の国際的指導者としての地位を向上させるから、EUの親露政策は米国の干渉を受けるべきではないと考えた。

 そして、ドイツは軍備費をケチりつつ、アメリカには長期間にわたって欧州の同盟国の防衛費用を払うように求め続けた。

 メルケル前首相は、はっきりとドイツは軍事支出を増やすべきではなく、経費は経済に使うべきだと表明していた。

 しかし、米国の納税者にしてみれば、ドイツが親露政策で欧州の安全を守れると保証できるならば、ドイツの軍隊は飾りにすぎない。

 軍事力を持つのが恥で、持つべきでないとするならば、なぜ俺たち米国人が税金を使ってEUの安全を守ってやらねばならないのだ、ということになる。

 だから、2017年と2018年のNATO首脳会議で、トランプ大統領がこうしたドイツの身勝手で矛盾した立場を批判したのだった。

 トランプ大統領は、「ドイツはロシアに支配され、ロシアの虜になっている、ドイツのメルケル首相はロシアの石油やガスを買う金はあるが、NATOの軍事費を十分に払うのは拒否している」と指摘した。

 トランプ大統領は、NATOメンバ国家は、真面目に規定通り、各国の防衛支出はただちにGDPの2%にすべきだと考えたのだ。

 2017年5月、NATOサミットで、トランプ大統領は「現在、28カ国のメンバーで23国が支払うべき分担金を払っていない。これは米国の納税者にとって不公平だ」と述べている。

 NATO内でドイツとアメリカが対立したとき、2019年10月末、メルケル支持のマクロン仏大統領は、英エコノミストの独占インタビューで、「NATOは脳死状態で、アメリカは単独で戦略的決定を行い、同盟国と協調していない」と述べた。

 彼が言いたかったのは、NATO内部の戦略と政治の次元の違いが存在し、仮想敵の認識上で統一は不可能だ、という意味だった。

 マクロンの「NATO脳死」論は、ドイツとフランス具がNATOの防衛戦略を完全に支配できないという不満を表したものであった。

 しかし「NATO脳死」はドイツとフランスの指導者のほうだった。彼らは自分たちで『NATO脳死」に導く戦略をとったのだった。

 この「脳死」の結果は、ウクライナ侵略戦争が十分明らかにしている。トランプ大統領は正しかったのだ。ドイツの親露、軍縮の二大戦略が今回の戦争の勃発を招いたのだ。

 だから、ウクライナのゼレンスキー大統領は、「ウクライナの戦争被害はドイツの罪だ」と言ったのだ。

 ★欧州の今後の苦境
 

 ウクライナ戦争を転機に、今世紀の東西両陣営の対立は、前世紀のヨーロッパ大陸の両陣営の冷戦を越えるものとなった。

 まず、ウクライナ戦争は第二次世界大戦後初めてヨーロッパ大陸で発生した戦争である。

 前世紀にヨーロッパの東西陣営が40年間対峙し冷戦状態を続けていたのに対し、ウクライナ戦争は第二次世界大戦後70年以上続いたヨーロッパの平和を破壊し、欧州各国は戦争難民を受け入れなければならくなった。

  何百万人ものウクライナ難民がポーランドを中心とするEU諸国に亡命せざるを得なくなった。

 しかし、この困難な時期に、EU議会は3月10日に、ウクライナ難民を受け入れたポーランドとハンガリーを制裁し、この2カ国にEUが与えるはずだった資金を差し止める決議を行った。

 これは、左派が多数を占める欧州議会がEU加盟国のウクライナ難民支援に反対していること、西欧諸国がウクライナ難民が自国領土に入り、自国の財政負担が増加することを恐れていることを表している。
 
 これはプーチンに投降するに等しく、欧州の左派議員たちは自分たちの「高邁な態度」をぶちこわしてしまった。

 次に、20世紀の東西両陣営の対決は相対的に安定しており、その境界もはっきりして、闘争心も堅かった。

 しかし今回の欧州の東西対決は、西側陣営の国のなかには旗幟鮮明にした国もあるが、まったく闘う気の無い国もあり、中には敵方に色目使う国まであって、複雑化している。

 露・ウクライナ戦争の結果がどうなろうと、ドイツが緑のエネルギー政策を放棄しないならば、米国から液化天然ガスを輸入して主要エネルギーとして、さらにドイツのエネルギーコストを上昇させ、全面的なインフレになるだろう。

 それはドイツ製造業のコストを大幅に上昇させ、ドイツの「欧州の経済王者」の立場を揺り動かすだろう。ドイツは高コストのエネルギーを続けて、インフレを抑制し、高度成長と高度の福祉、軍事費の増加を保証するなどできない。どれかは諦めなければならないのだ。

 大いにありそうなことは、ドイツは長期のエネルギー価格上昇を我慢し、それによる経済不況と社会福祉の後退に耐えざるをえなくなることだ。

 ドイツ経済が自分で蒔いた種による苦境に陥ったら、EUの経済的後進国に対する補助金政策は続けることが困難になるだろう。

 なぜなら、お金を出してきたのはドイツだったし、だから維持していたドイツの指導力も霧散してしまうだろう。

 ドイツがそのようになれば、他の国々もそうなる。かくて、ウクライナ戦争は欧州の安定を震撼させるだろう。そして同時に「ポリティカル・コレクトネス」派の凋落も始まることだろう。
       (終わり)
 

程晓农:俄乌战争的德国因素(下篇)
——德国的统一欧洲美梦碰壁
2022-03-16

3月10日,欧盟外交和安全政策高级代表博雷利接受法国TF1频道采访时承认,欧盟犯了错,但他的认错却走歪了,他说:“我愿意承认我们犯了一些错误,错过了与俄罗斯走得更近的机会。”欧盟的最大错误就是与俄国走得太近,如果走得“更近”,其错更大。德国和欧盟的大多数西欧成员国的错误是西方左派政府积年累月所犯错误的集中爆发,最后引爆了乌克兰战争,也导致欧盟步入难以解脱的困境。这组系列文章的上篇和中篇谈了德国和欧盟的两个错误,反战的和平主义泛滥而放弃军备,盲目追求绿色能源而导致依赖俄国的天然气供应;下篇则进一步分析,德国这个欧盟领导国的欧洲大一统理念如何导致欧洲陷入混乱。

一、欧洲大一统的乌托邦梦想

欧盟的领导国德国和法国都醉心于实现欧洲大一统,这种理念的意识形态根源其实来自马克思的共产主义理念。由于西欧以德国为首,过去几十年来一直在慢慢地向“新马克思主义”这个方向左转弯,北约和欧盟都被欧洲“左祸”所支配,他们相信世界大同的美妙,钟情于欧洲大一统政府的力量,从欧盟成立开始,一步一步把欧盟引导到欧洲大一统的轨道上。从欧盟成员国之间的取消国界、取消关税,到人口自由流动,再到用欧盟的资金补贴经济实力不足的成员国,甚至一度想实现欧盟财政的大一统。一句话,就是用欧盟的大政府来领导各成员国,而德国和法国这两个实力最大的欧盟成员就理所当然地成为欧盟的“当家人”。

这种构想其实早就有一个模板,那就是苏联。实行极权主义的苏联最终解体了,苏联人不满极权主义只是原因之一;而苏联解体的更重要原因其实是,苏联各加盟共和国当中的“当家人”俄罗斯再也难以承受苏联这个大一统联盟所带来的沉重负担,要寻求解脱,于是俄罗斯和乌克兰、白俄罗斯率先扔掉了苏联这个大一统包袱,其他小加盟共和国便别无选择,既然无人照应了,就只能自立。

热爱大一统欧洲的德国和法国在马克思主义意识形态的浸染中,看不到苏联大一统必然终结这个历史规律,却对大一统欧洲“当家人”的国际地位和权力垂延欲滴。德国和法国自以为,建立并掌控了欧盟,自己就把握了欧洲未来的命运;而为了实现统一欧洲的乌托邦美梦,就要不断扩大欧盟的范围,然后希望以欧洲之主的身份,与美国平起平坐。

由于西欧各国基本上都已成为欧盟成员国了,德国和法国要实现统一欧洲的乌托邦梦想,就只能在欧洲的东部寻找新成员国,而这些新成员国多半都是前苏联集团的成员。这样,欧盟东扩就导致欧盟的边界不断向东延伸,越来越接近俄国的边界。被这个乌托邦冲昏头脑的德国和法国领导人完全忘记了,欧盟东扩会警醒俄国,从而加重欧盟对东部成员国的防务义务,而德国自己裁军和缩减军备的战略又取消了欧盟国家的实际国防能力。这种狂妄而昏庸的欧盟国际战略种下了大祸,事实上为普京的霸权主义敞开了大门,创造了乌克兰战争的条件。

二、失败的民主化使俄国恢复霸权主义

如果俄国是一个真正的民主国家,尊重邻国的领土主权,没有霸权主义野心,那欧盟东扩并不至于引起欧盟和俄国的冲突。但西方国家、包括美国的一些学者一直对俄罗斯的民主化走向作出错误判断,误以为俄国不会走向霸权主义道路。他们缺乏对俄罗斯的深入了解,以为俄罗斯可以变成一个成熟的民主社会,像西欧国家一样值得信任。这种自以为是的幼稚错误之根源是,他们根本不懂,俄罗斯在制度转型中走的是民主化必然失败的道路,而民主化失败就必然复活俄国的霸权主义。

共产党国家的制度转型有两个明显的制度建构层面,即民主化和市场化;但除此之外,还有一个通常被忽略的社会层面,那就是,要顺利完成一个共产党国家的制度转型,社会转型必不可少。社会转型(social transformation)指的是全社会大多数社会成员的道德观、价值观以及个人日常行为的转变。洗脑是“极权国家”维持统治的基本手段,目的是改变人们在共产党建政之前自然形成的道德观、价值观和行为模式,把老百姓改造成按照共产党意识形态教条来思考、行动的人。如果共产党国家走上了转型道路,人们在共产党时代形成的道德观、价值观和行为模式都必须相应地调整、改变,如果社会转型不顺利,政治转型和经济转型是不可能一帆风顺的。

在所有走过转型道路的共产党国家当中,只有中欧的波兰、捷克、斯洛伐克、匈牙利实现了社会转型,清理了共产党的价值观,也从中上层排除了大批共产党时代的官僚。而俄罗斯只是在民主化过程中设立了议会,实行了选举,但民众的价值观仍然是共产党时代的,因此叶利钦时代的民主化成果到了普京时代就倒退了。虽然普京时代的选举常被操纵,但俄国民众反复多次地选择普京这样的领导人,根源就在于,多数民众的心目中,苏联时代的自豪感、对强权国家的信任和经济依赖,仍然是左右他们投票行为的内心尺度。所以俄国的民主化是明显失败的,而一个失败了的民主化国家出现民主倒退,就很容易恢复共产党统治时代的对外霸权政策;这种恢复对外霸权的政策,常常还得到社会上许多人的喝彩。看不到这一点,就无法懂得,为什么普京敢于发动乌克兰战争。

此外,失败的民主化产生了俄国的制度劣势,又进一步深化了俄国精英和民众的自卑感。普京的倒行逆施毕竟在社会上遇到少部分人的反对,因此普京始终清楚地知道,俄国在他的统治下,与那些成功民主化的前苏联集团成员国的制度相比,俄国的制度劣势是非常明显的,经济上落后而毫无希望,政治上只能靠压制,对外则只能展示强权。

因此,普京始终有非常强烈的制度自卑感。他对内用不断增强的政治高压来打击反对他的声音,对外对那些试图靠近西欧国家的前苏联集团成员国充满了妒忌、敌意,总想找机会威胁它们,至少把他们的制度优势削弱。俄国之所以恢复霸权主义,是俄国转型失败后出现的制度自卑之下的反应;它非常害怕周边国家的成功让俄罗斯昔日的辉煌沦为彻底的败落,因此就发动了乌克兰战争,而且想进一步威胁其他前苏联集团的成员国。

三、北约内部对俄罗斯的两种立场

德国之所以坚持亲俄、裁军,不是理性思维的产物,而是马克思主义意识形态的产物。虽然德国算是民主国家,但它同时也是世界上热爱马克思主义的“左祸”发源地。因此,德国对共产党制度从来缺乏深刻批判,更不愿面对俄国民主化倒退所造成的霸权主义复活。而北约的西欧成员国则长期以来“刀枪入库,马放南山”,以为放弃军备就能换来普京的信任与合作,本篇开头引用欧盟外交和安全政策高级代表博雷利的话,就是一个注脚。

而另一方面,欧盟和北约的新成员国当中,有一部分是前苏联集团国家,它们在冷战时期曾经纷纷要求民族自主,发生了反对苏联压迫的抗争,却遭到苏军坦克的残酷镇压,比如1953年在东德,1956年在波兰和匈牙利,1968年在捷克斯洛伐克,苏联都与这些国家结下了血仇。这些经历过苏联军队血腥镇压的欧盟和北约新成员国并不相信德国和其他西欧国家的亲俄政策会带来和平,所以不断寻求美军给以象征性保护。

乌克兰战争爆发以后,普京一直谎称,北约东扩对俄国是巨大的国家安全威胁,所以他要发动乌克兰战争。但是,所谓的“北约东扩”其实是个虚假命题,因为今天的北约与昔日的北约大相径庭。当西欧国家日益左倾化、逐步走上亲俄道路时,东欧和中欧新加入欧盟的那些国家却很难接受西欧国家的立场,这造成北约内部对俄罗斯的两种立场。

昔日的北约没有价值观上的严重分歧,这里讲的价值观不是民主和专制的区别,而是西方马克思主义塑造的左派价值观和自由民主国家传统价值观的差异。昔日的北约成员国也尊重美国的领导作用,大家要团结一致维持冷战中的优势,不会多头争夺领导权。而今日的北约内部,西欧国家的左派要反战亲俄,其战力急剧萎缩,实际上放弃了与俄国霸权主义对抗的能力;而苏联解体之后加入北约的原东欧国家对俄罗斯的战略野心保持高度警惕,于是两种价值观一直在打架。

今日北约内部,德国、法国率领西欧左派政府,要按照自己的左派价值观把北约改造成“无牙老虎”,为此试图争夺北约的领导权。而欧盟那些前苏联集团成员国很清楚地知道,自己从前苏联集团附庸国的状态加入欧盟,必然会有国家安全方面的担忧,在德国无国防的情况下,向美军求援就是很自然的事了。所谓的“北约东扩”论,其实只不过是美军在前苏联阵营成员国、现在的欧盟新成员国的小规模进驻,其规模根本不构成对俄罗斯的军事威胁,只是一种美军应这些国家的要求做出的象征性姿态。

四、“北约脑死”为哪般?

北约每年会例行地举行峰会,2017年之前北约峰会的主调是讨论乌克兰东部的分裂问题和欧盟东扩问题。在德国和法国的主导下,欧盟不断向东扩容,而防务却越来越松弛。于是出现了一个显而易见的矛盾:随着欧盟不断东扩,欧盟的边界越来越接近俄国,俄国的反弹理应唤起欧盟的防务意识;但偏偏在这个时候,德国和法国却致力于靠拢俄罗斯,德国等一批西欧国家只剩下了象征性的“吃干饭”军队。

在这种背景下,美国和欧盟在防务战略上的判断开始背道而驰。一方面,德国和法国希望在国防开支上不要让俄国有威胁感,因此不断压低军费,但同时又不断采取欧盟东扩的措施,事实上不断制造新的对俄国的压力;另一方面,美国认为,俄国仍然是潜在的威胁。这样,德国和法国就想主导欧盟乃至欧洲的走向,反对美国对俄国保持警戒姿态,又要美军继续为欧盟免费提供军事防卫。

我们从中可以看到德国和法国的极度自私和狂妄。一方面,德国认为,欧盟东扩提升了德国的国际领导地位,所以欧盟的亲俄政策不能受美国的干扰;另一方面,德国不愿花必要的军费来维持军力,却要求美国长期为欧盟的国防买单。德国前总理默克尔曾明确表达,德国不能增加军事开支,钱必须用在经济上。而站在美国纳税人的立场来看,既然德国认为,亲俄政策可以保证欧洲的安全,德国的军力不过是摆个“花架子”,没有军队不像话,真有军力不应该,那美国人为什么还得用自己的税款为欧盟的安全买单?

正因为如此,川普总统上任后,在2017年和2018年的北约峰会上对德国的上述自私而矛盾的立场提出了批评。川普总统指出,德国已经被俄罗斯控制了,成了俄罗斯的俘虏;德国总理默克尔有钱买俄罗斯的石油天然气,却不肯为北约支付足够的军费。川普总统认为,北约的欧盟成员国应该老老实实地按照北约的规定,各国的防务开支必须立即达到其GDP的2%。2017年5月在北约峰会上川普总统说:“目前28个成员国中,有23个国家未能支付其应该支付的份额。这对美国人民及其纳税人是不公平的。”

当北约内部德国和美国杠上后,2019年10月底,支持默克尔的法国总统马克龙接受英国《经济学人》专访时说了一番话:北约已经脑死亡,美国独自做战略决策、不与盟友协调……他的意思是,北约内部在战略和政治维度存在着根本分歧,已经不能在认识上就假想敌而统一思想了。

马克龙的“北约脑死”论表达了法国、德国不能完全主导北约防务战略的牢骚;但“北约脑死”可以在字面上用到德国和法国领导人身上,他们的亲俄战略确实导致了“北约欧盟成员国脑死”问题。这种“脑死”状态的后果显而易见,乌克兰战争充分证明,川普总统说对了,德国的亲俄、裁军两大战略都造成了这场战争爆发。所以,乌克兰总统“泽连斯基”说过,德国对乌克兰遭受的战争苦难是有罪的。

五、欧洲从此陷入困境

以乌克兰战争为转折点,本世纪东西方两个阵营的对抗比上个世纪欧洲大陆两个阵营的冷战有过之而无不及。

首先,乌克兰战争是二战后欧洲大陆上爆发的第一次战争,上个世纪欧洲的东西方阵营相互对抗40年,始终处于冷战状态,而乌克兰战争却打破了欧洲二战之后70多年的和平,以致于欧洲国家不得不接受欧洲的战争难民。几百万乌克兰难民不得不流亡到欧盟国家,大部分在波兰;就在这困难时刻,欧盟议会却在3月10日通过决议,制裁接收乌克兰难民的波兰和匈牙利,卡住欧盟本应给这两个国家的经费。这表明,左派占大多数的欧洲议会反对欧盟成员国帮助乌克兰难民,西欧国家害怕乌克兰难民进入自己的领土,增加本国的财政负担。这等于是帮普京逼乌克兰投降,欧洲左派议员们撕碎了自己假装的“高大上”面目。

其次,上个世纪欧洲的东西方阵营相对稳定,界限分明,斗志坚定,而这次欧洲的东西方对抗,西方阵营中有的国家要求旗帜鲜明地顶住,而另一些国家则全无斗志,甚至与敌方眉来眼去,使得双方的对抗变得格外复杂。

不管俄乌战争的结局如何,只要德国不放弃绿色能源方针,它改用美国进口的液化天然气为主要能源,将进一步推高德国的能源成本,造成全面通货膨胀;然后德国的制造业成本大幅度上升,让德国在欧洲的“经济皇冠”摇摇欲坠。德国不可能在坚持高成本能源的同时,还有效遏制高通胀、维持高增长和高福利,又保证高军费,它必定要放弃其中的某些选项;很可能,德国将不得不忍受长期的因能源价格持续上涨带来的经济萧条和社会福利缩水。德国经济一旦进入自己制造的困境,欧盟对经济落后的成员国实行补贴的方针就难以为继,因为出钱的主要是德国,那时德国对这些成员国的号召力也就荡然无存。德国如此,欧盟的西欧各国无不如此。就这样,乌克兰战争将从此撼动欧洲的稳定;这也同时预示着“政治正确”派衰败的开始。

 


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