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十三夜のお月見 10月8日は中秋の名月
十三夜のお月見 10月8日は中秋の名月
昨日, 竹茂楼での夜懐石。
お軸に山雲情月と 月に芒(すすき)が描かれた 飾り檜扇があった。
竹の花入れには、水引・杜鵑草・桔梗のしつらえで迎えていただいた。
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訪れる前に雨が降り、庭の庭景に見られる造形的な、良さや美しさは一服の自然美で絵を見ているようであった。それは借景の美学である。
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さて、今は旧暦で言うと仲秋八月の十五日は旧暦七、八、九月の秋三ヶ月の中にあたるので、仲秋は葉月・八月に当てはめ、「葉月は和風月名の八月」として用いている。中秋は秋の真ん中にあたる八月十五日に限定して使われる言葉だそうだ。
扇に月と芒(すすき)を描いた飾り檜扇の意味だそうだ。
料亭の女将の慮る心である。
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また、お軸に山雲情月は山にかかる雲、まさに一切の心、天地自然の理。
すべてをさらけ出し、親しき者同士が腹を割って、心情、心境のありったけを語り尽くすさまを表現している。駆け引きも、取引も、飾ることもなく、まさに雲の沸き出るように、尽きない思い出話に興じるべしと。
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昨日(2022/10/7)は雨上がりで、竹は緑く、地はの石は濃く描かれた箒目の曲線は心を和ませるディテールとなっていた。まったく自然も私達を感動してくれているようである。
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十三夜に曇りなし
十五夜は年によっては曇ってまったくみえないことがありますが、十三夜はほぼ晴れることから「十三夜に曇りなし」という言葉もあるほど。
十三夜は日本独自の風習で、ちょうど栗や豆の収穫期に重なりますので、「栗名月」と呼ばれたり、「豆名月」と呼ばれたりする。
もてなしの料理にも栗、小豆が含んでいた。
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あーなんて 幸せであろうか。
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感慨が深い十三夜の句
夜竊(ひそか)に虫は月下の栗を穿(うが)つ 芭蕉
「後の月」を詠んだ芭蕉の有名な句である。芭蕉は月見をことさら愛し、十三夜の月光を浴びながら、栗の実を夢中になって食べている小さな虫にも思いを寄せている。
真如の月に照らされて一歩ずつ内面を食する小さな自身の姿を虫に重ね、求める物を実現するなど。さまざまな感慨が深い十三夜の句である。
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紅葉と桜の絵柄のデザインがすばらしい。
「秋の月は、限りなくめでたきものなり。いつとても月はかくこそあれとて、思ひ分かざらん人は、無下に心うかるべきことなり」―吉田兼好
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忙しい、つらいと下ばかり見ている人、いつでも月はこんなものであろうと思って、他の季節との違いがわからない人は情けなく、どうしようもなく残念だ、と吉田兼好はいう。秋の月は空気が澄んでいて、美しい。本当にくっきりと見えることと、上る角度でほどよく、大きく見えるためでもある。
この風情を楽しみたい。スマホや割引キャンペンばかり気にしないで見上げてごらん。
美しい月があるでしょ!
これを楽しみたいね。
さあさあ、
今年は見られるでしょうか。
夜になったら、ぜひ空を見上げてみてください。