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タフティングに適した毛糸の選び方

この記事について:
タフティングに適した毛糸の選び方、実際に使用してみて使えそうだった市販品の毛糸についてまとめています。

はじめまして。土屋と申します。普段は都内でウェブディレクターをしています。
このたび”タフティング”という技法を使ってラグの制作をはじめました。

制作をはじめるにあたっての所感は下記の記事にまとめましたので、タフティングとはなんぞや、という方はご一読いただければ幸いです。

今回はタフティングに欠かせない素材、毛糸についての記事です。

タフティングに限らず、毛糸を使用する表現の特徴として色彩表現に制限があるというものが挙げられます。

例えば、絵の具であれば混色を行うことで、ある程度自在に色彩をコントロールすることができます。しかし毛糸の場合は、自家染めをしない限り、メーカーの製品のカラーバリエーション内での配色をしないといけないという制限があります。

今回の記事では、タフティングに適した毛糸と、手に入りやすい市販品のタフティング向きな毛糸について、個人的な雑感も交えながらご紹介します。

タフティングに適した毛糸を選ぶ前に

まずは前提知識として、市販品の毛糸の中からタフティングに適した毛糸を選ぶうえでポイントとなる、基本的な3つのパラメータについて確認しておきましょう。

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糸の太さは番手という単位で表します。
毛糸の場合、番手=長さ(m)÷重さ(g)で表すことができます。
数字が大きいほど、細い毛糸を表します。
例)120mで50gの毛糸の場合、太さは2.4番手

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毛糸を使用する表現では、意図的に風合いに差をつける場合を除いて、一つの商品の展開するカラーバリエーション内で作品を仕上げるのが一般的です。そのためカラーバリエーションが多い商品ほど色彩という観点においての“表現の幅”が広がることになります。

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素材の混合割合です。毛糸には天然素材(ウール、アルパカ、コットンなど)、化学繊維素材(アクリル、ナイロン、ポリエステルなど)のいずれか、あるいはそのミックス(混紡)されたものがあります。

細かいパラメータはほかにもあるのですが、タフティングに適した毛糸を選ぶ上で、ポイントとなるものは上記の3点です。

タフティングに適した毛糸の選び方

①まずは番手に注目
タフティングに適した毛糸を選ぶには、まず、商品の番手に注目しましょう。
というのもタフティングでは、毛糸の太さで仕上がり面の毛の密度が決まります。使用する毛糸の太さが仕上がり面のマチエールを左右するためとても重要です。

番手が大きい(細い)場合、密度の低いスカスカした仕上がりになり、小さい(太い)場合、目が詰まりすぎて、裏地がたわんでしまったり、裏地側に毛糸溜まり(?)ができてうまく刺さらないことがあります。

また、タフティングでは数本の毛糸を引き合わせて布に打ち込むことができます。数本の毛糸をまとめて使用することを「○本どり」と呼びます。

2本どりで制作を行う場合、個人的には番手は2.5番手前後(2.3〜2.7程度)のものが適していると考えています。(1本どりの場合は、1.2~1.3番手)

②カラーバリエーションも重要
冒頭でも触れましたが、毛糸を使用する表現には自家染めをしない限り、メーカーの製品のカラーバリエーション内での配色をしないといけないという制限があります。
使用する毛糸商品のカラーバリエーションの取り揃えについても注目しましょう。
ただ、もちろん選択肢が多いほど、色彩という観点での表現の幅が広がることは確かです。ただし、商品のカラーバリエーション内で表現をする、という考え方もできます。

カラーバリエーションの少ない商品は表現の幅は狭いかもしれませんが、少ないからこそカラーコーディネーターによるこだわりの色彩調整が入っており、色同士を合わせやすいというメリットもあります。
個人的には色選びに迷ってしまう方には逆におすすめです。

③構成が肌触りも費用も左右する
最後に構成ですが、一般的に天然素材(ウール、アルパカ、コットンなど)は触り心地・風合いが良く、化学繊維素材(アクリル、ナイロン、ポリエステルなど)は洗濯などの手入れがしやすいという特徴があります。混紡することでそれぞれのメリットを兼ね備えるなど、商品の特徴が最も出やすい要素となります。
また、価格という点でも差の出やすい要素で、天然素材の混紡比が多いほど価格が高くなる傾向があります。

このように、まずは番手で商品を絞り込み、カラーバリエーションと構成は予算や自分の作りたい作品の風合い・必要な色数とのバランスで選んでいく、という流れが、タフティングに適した毛糸を探す上では効率的だと思っています。

これまで試して良さそうだと思った商品の紹介

ここからは、これまでにわたしが実際に使用してみた商品の中で、使えそう、と思ったものを雑感とともにご紹介します。比較しやすいように100mあたりの価格(税込み)も算出してみました。

商品は気分と勘で選んでいるので内容に偏りがあることをご承知おきください。
※商品仕様は2021年11月現在のものです

- アクリル系 -

🧶エブリデイ 内藤商事株式会社
https://www.craft-nsk.com/yarn/all/everyday/
構成:アクリル100%
色数:24
重さ/長さ:100g/250m
価格(税込):¥726
価格/100m(税込):¥290

2本取りで使用。色数は多くありませんが、コスパが圧倒的によいです。
アンチピリング加工で毛玉ができにくいらしく、ウォッシャブルという商品特性も良いです。
個人的にグレースケールのバリエーションが多いのがありがたく、グレーを黒として使うと、画面全体のコントラストが柔らかくなって好きです。
ただし毛糸のコシが弱いため、うまく刺さらないことがあります。
あと、化学繊維特有のギラっと感がでます。

- ウール系 -

🧶スキー フローレン  株式会社元廣
https://skiyarn-mstores.com/items/60e266ff0850a0045b32608c
構成:ウール100%
色数:15
重さ/長さ:40g/77m
価格(税込):¥396
価格/100m(税込):¥514

2本取りで使用。色数は多くありませんが、ウール100%とは思えないコスパで重宝しています。 
彩度抑えめで落ち着いた配色ラインナップになっています。反面、ビビットな色の取り揃えが少ないです。

ー 混紡系 ー

🧶ハマナカアメリー ハマナカ株式会社
http://hamanaka.jp/hamanaka/2261
構成:ウール70% アクリル30%
色数:52
重さ/長さ:40g/110m
価格(税込):¥580
価格/100m(税込):¥527

2本取りで使用。色数も多く、ウールの手触りの良さとアクリルの取り扱いやすさを兼ね備えたバランスの良い毛糸だと思います。
メランジェ調の混紡になっており独特の上質感が出ます。

🧶わんぱくデニス ハマナカ株式会社
http://hamanaka.jp/hamanaka/7994
構成:アクリル70% ウール30%
色数:36
重さ/長さ:50g/120m
価格(税込):¥506
価格/100m(税込):¥422

2本取りで使用。天然素材の風合いは出したい・でも極力費用は抑えたい、というときに重宝します。
子供用の毛糸なので、ウォッシャブルというのもよいです。

おわりに

今回の記事では、タフティングに適した毛糸と、手に入りやすい市販品のタフティング向きな毛糸について、個人的な雑感も交えながらご紹介しました。

毛糸に限った話ではないですが、素材については“これが正解”というものはないと思っています。こちらの記事で扱っている内容も、試行錯誤の途中で“よさそう”と思ったものをピックアップしているだけで、まだまだ試してみたい商品がたくさんあります。
また実験が進んだら記事をアップデートできたら良いなと思っています。

もし、他に試してみてよさそうだった!という毛糸商品があれば、ぜひコメント等で教えていただけるとありがたいです。



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