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mutsumimutsumi
欲しかったのはお母さん
幼稚園の頃、女の子が園庭に集うと、「おかあさんごっこしよう」と、いわゆるおままごとが始まった。
私は引っ込み思案な子だったので、気の強い女の子に誘われなければ、女の子の枠には入ることはなかった。けれど「おかあさんごっこ」では、「ヨツちゃん おいで」と仲間外れにされることはなかった。
私の役割は「こども」か「おとうさん」。主役の「おかあさん」にさせてもらうことはなかった。やりたいわけでもなかったから、そのことは悪い思い出ではない。遊びの中であれ、私には、「おかあさん」がいたのだから。
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父が突然死した時、母から言われた言葉は呪いの様に染み付いている。
「おまえのせいだ」と仕事に忙しい父に、無理なお願いをしたり、わがままな事をして父に心配をかけ続けていたからだというのが母の言い分だった。
その時の思いの丈をぶつける相手がたまたま私だったのかもしれないが、何かに付けて、母から言われた言葉はこんな言葉ばかりだ。
確かに私が子育て中には、何かと手助けをしてもらった恩はある。しかしそれは、かわいいかわいい孫という存在で相殺されているはずだ。
わたしは母の認識している狭い世間に対する体裁は充分保ってきたつもりだ。もう最期ぐらいそんな体裁に拘らずに関わりを閉じたいと思っている。