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五七日

 母が亡くなって間もなく三十五日。
衝撃的な父の突然死とは違って、食事も水分も徐々に摂れなくなっての老衰。このコロナ禍にあっての自然な亡くなり方は有り難くさえ思えてしまう。
 母の年代にしては遅い結婚で、私は末っ子。だから私の同級生の親の中では高齢な母は、充分大往生だと言えるのだ。

 悔やむことがないほど、私は冷淡ではなかった様で、ふとできたはずの事を考える事がある。 
大部分は仕方のなかったことと、思いを打ち消してしまえるが、一つだけ私が大きな決断をしていたら、きっともっと私自身も楽な気持ちで母と向き合えていたかもしれないとの思いに至るものがある。
だからと言って、今更何かが変わる訳ではない。
 私はその時々で、自分ができる事をしてきたのだと思う。