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 スーパーですれ違いざまに年配男性の視線を感じた。明らかに視線を落として私の胸を見ていた。それほど胸を強調した服は着ていなかった。ただダボダボではない。
 胸がその男性の目に止まったということで、お腹はさほど目立たなかったという妙な安心感を抱いてもいる。
たまたまだったのかもしれないだけで、ポジティブにとらえてしまうのは、日頃から痩せない身体を憂いているからだ。痩せさえすれば良いことなのに。
 更年期に突入したばかりの頃に、ホームセンターで少し嵩張る重い物を買った。その時のいたわられ方は、まるで妊婦さんに対してのものだった事があった。違ったのかもしれないけれど。

ここ数日の暑さは堪える。出先で小さな子を連れた臨月の妊婦さんとすれ違った。
私も真夏の臨月を3回経験している。暑さと寝苦しさ、横向きにしか眠れなくて寝返りを打てない辛さは、鮮明に思い出せるほどキツかった。人生で最高の暑さを経験しているとも言える真夏の臨月を過ごし、出産したとたんの涼しさは、同じ暑い夏が続いているのに、ご褒美の様に感じられた。

 今日はとにかく暑かった。
日なたに停めた車の外気温表示が40度を超えていた。暑さの中、妊婦だった若い頃の暑さを思い出した。もう今の私のお腹の厚みは脂肪しかないから、夏が終わるまで涼しくはならない。