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懐古

 恩師が亡くなった事を今朝知った。
昨日だったのだそうだ。

私は昨日次男と共に実家へ行った。
いつもは入らないコンビニに寄り、いつも曲がる交差点より一つ手前の交差点を曲がった。

そのコンビニから脇道に逸れてすぐの所に先生のご自宅があり、うっかり曲がった通り沿いには、高校時代部活で入り浸りだったホールがある。

卒業してから時々一人で、先生のご自宅を訪ねる事があった。いつも奥様と共に快く迎えて下さり、先生にそっくりな柴犬くんも私をもてなして下さった。
先生に最後にお目にかかったのは、四年前の高校の節目の同窓会。それから時折どうされているかなと思ってはいたものの、訪ねることはなかった。
 
 先生は私の両親と同世代で、私達よりも少し年上の息子さんがいらした。女の子がいないからか、私を同級生の中でも、ご自身の息子さん達の妹の様に、先生は気にかけていて下さった。

それだけ私はできの悪い生徒だったという事なのだけど、担任や他の先生には感じない親近感を私も抱いていた。馬が合うというものなのだろうか。

 母が亡くなり、片付けで実家に行く事が多くなって、一段落したら訪ねてみようかと思っていたところだった。
壁一面に列んだ音楽書の数々と、レコードに囲まれた先生の笑顔がふと浮かんだ。