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【シンプルさ】とブリティッシュネス。【アーツ・アンド・クラフツ運動】

今回は、レポート課題をやるついでに、イギリスの芸術運動、
【アーツ・アンド・クラフツ】運動について、まとめていきます。

この運動から、【イギリスらしさ】を見出だしてみよう。

というのが、今回のテーマ。

(表紙:ウィリアム・モリスの自邸、【レッド・ハウス】)

#イギリス #アート #美術

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【前提】

アーツアンドクラフツ運動とは、

19世紀後半のイギリスで生まれた
芸術思想と、それに端を発する運動。

特徴的なのが、ゴシック的なものを継承した、【自然への尊敬】
産業革命と、画一的なモノの生産。
そんな大量生産に対する【アンチテーゼ】

の2つです。

アーツ・アンド・クラフツのデザインでなんといっても特徴的なのが、

自然のモチーフをふんだんに盛り込んだ、複雑で奥深いデザイン

こうした模様はオシャレ。現代でも、女性ファンが多くいるみたいです。

また、産業革命による【モノの大量生産】に対抗して、

中世世界の職人による、暖かみのある【手作業】。
それに伴う【実用的で、シンプルなデザイン】

も、これまたアーツアンドクラフツの特徴。

よりシンプルに、やさしく。丁寧に。というのが、
この思想のモットーです。

アーツアンドクラフツ運動を始めたウィリアム・モリスは、【いっぱんの人に癒しを】というスタンスで、急速に工業化し、暖かみを失いつつある当時のイギリスを【改良】していこうとしました。

ただし、【ていねいに作る】となると、そのぶんコストもかかるし、大量生産に対抗して、いい材料を使ってしまったので、必然的に

お値段は高め。

そのため、貴族階級の人々にしか手が出せないようになってしまう、
という矛盾も生まれてしまったようです。
モリス本人は、この【矛盾】に苦しんでいたようです。

参考 アマゾンでのアーツアンドクラフツ商品。

【シンプルなデザイン】というのが、見てわかるかとおもいます。
そして、やはりお値段がそこそこしますね。

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【「アーツアンドクラフツ」と「イギリスらしさ」】

では、こうした【アーツアンドクラフツ】の思想は、どのように
【イギリスらしさ】と結び付くのでしょうか???

この問題は、私が今まさにレポートで書こうとしているところです。

以下、色々と根拠を探っていきます。

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【自然が大好きなイギリス】

もともとイギリス人は、自然が大好きです。

イギリスの【ゴシック建築】は、細い柱や、上に上に向かう尖塔、自然の光を差し込ませる大きな窓、植物の枝のような柱から天井にかけてのラインなど、【自然】を想起させる建築手法が数多く使われています。

また、イギリス国教会の総本山、カンタベリー大聖堂にも、
そうした【自然大好き】な面が現れています。

教会の周りは緑に囲まれており、光を取り入れる窓や、
上に伸びる尖塔などゴシックの【自然】を想起させるイメージが
ふんだんに使われています。

ほか、イギリス人は自然への親しみが多く、ゴシックの文学にも
それが現れています。

エミリ・ブロンテの『嵐が丘』では、『嵐』や『風』が、主人公の置かれている状況や心情を表すものになっていたり

シェイクスピアの『あらし』では、主人公の怒りが自然の怒りとリンクしています。
こうした、【自然】と【感情】をリンクさせる手法を、【共起表現】といったりもします。

そんな【自然大好き】の流れをくむイギリス。

そうした【伝統】に乗っ取って、

ウィリアム・モリスの始めた【アーツアンドクラフツ運動】が
自然のモチーフを取り入れた、といえるでしょう。

これは、当時工業化でイケイケだったイギリスの状況からみても、大きな意味を持っていたといえます。

【乱立する工場群】と【森林】
【日々同じ業務をする労働者】と【自然の中で生き生きと遊ぶ子供】
【資本家の権力(父性)】と【自然の母性】

いきすぎた【産業革命】に、
少し【待った!!!】をかける。
そのストップをかけるものとして、
【自然】というのは、
まさに、ぴったりのモチーフだったといえそう。

イギリスの伝統にも乗っ取りつつ、
現代社会の問題にしっかり目を向ける。

この点について、指摘している方がいました。

英国には、新しい物を受け入れる精神と、古い物を守る精神がバランス良く共存している。機械工業による大量生産を受け入れる半面、効率の悪い手工業にも高い価値を見い出し、愛着を感じているのだ。「ナショナル・トラスト」や「イングリッシュ・ヘリテージ」など各種の保存・保護団体の活動も盛んで、建築物や公園などが消耗品として扱われていない。昨今では、ロンドンでも巨大チェーン店の進出が後を絶たない状況が続いている。しかしロンドンはそれによって自らのイメージを傷つけることなく、伝統と大量生産という相矛盾するファクターを併存させながら世界の中心都市として存在している。
モリスが唱えた芸術と技術の再統合は、伝統技術の継承を促す意味でも価値があった。大量生産や資本主義は弱小の手工業を駆逐するだけでなく、技術の継承を断絶させる恐れもあるのだ。古いものや伝統を守る精神が存在する限り、ロンドンは形を変えながらも、ロンドンらしくあり続けるだろう。

英国News Digest 知って楽しい建築ウンチク 藍谷鋼一郎
アーツ・アンド・クラフツ運動 http://www.news-digest.co.uk/news/archive/architecture/4041-arts-and-crafts-movement.html 11月5日閲覧

藍谷さんが指摘するように、

【古いものの上に立って、新しいことに取り組む姿勢】こそ、
【イギリスらしさ】の表れではないかと思います。

【巨人の肩に乗って】、【新しいものを受け入れる】。

最強ではないですか。常に前進。前に進むけど、がむしゃらではない。

【過去】という、【巨人】の肩の上に乗りつつ、前に進む。

最強だ。最高だ。ブリティッシュネス、最高。
アーツアンドクラフツ、最高。

よーし、いいぞ!!!
俺が【アーツアンドクラフツ】で、
お前が【伝統】

最高のアイデアと、最強の過去が
力を合わせるのだ

地上の全てを征服し
俺たち兄弟が王になるのだ

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【まとめ】

アーツアンドクラフツ運動は、
【自然の美】と、【過去の美】
を融合させて、【シンプルさ】を
尊ぶことから生まれた思想。
その背景には、産業革命で【いきすぎ】た
19世紀当時のイギリスの状況がある。
【過去】を想いつつ、
今目の前の問題を対処する。
そのためのアイデアや工夫をこらす。
そうした【社会をよりよくするための努力】が結集したものが【アーツアンドクラフツ運動】。
こうした、【伝統】を重んじつつ
【新しいもの】を生み出し、受け入れていく姿勢。
これぞまさに【イギリスらしさ】
ではないだろうか。

いいね。これを更に煮詰めればレポートにできそう。
Noteを【レポートのためのメモ代わり】に使うの、いいかもしれんね。

美川

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