私の中のBL観をひたすら掘り下げてみたひとつの記録
私は小学生の頃に自覚して以来の腐女子で、とある筋では「自然発生腐女子」とか呼ばれるタイプらしい。
多くの腐女子は、何かしらのBL創作物を見てそれによって「目覚め」るらしいが、私はきっかけも何もなく気がついたら男キャラ同士の関係に勝手に萌えていた。
それと関係があるのかはわからないが、他の方のBL作品を読み漁りつつも「なんか……違う」と思う機会がおそらく他の人より多い。
特に今のジャンルに降り立ってからその傾向が顕著になったというか、私と「違う」人の比率が高すぎるゆえに、「なぜ違うと思ったか? どこを違うと思ったか?」を考える機会が増えた。
そうやってつらつら考えたことを、せっかくなのでまとめてみようと思った次第だ。
今回のお題はこちら。
この話、なんかおかしくないですか?
私という超絶理屈っぽい人間からすると理屈が通っていません。
そもそもBLなので受の性別についてとやかく言うのが私からすると野暮だし、性転換がどうのとかそういう話になる訳でも当然ない。
とすると、「受が断った理由は実は別のところにあった」として、攻がそれを聞き出す、というルートしか私から見たらありません。でも大抵そんな「実は」はなく、「性別とか関係なく好きになったんだ」とか概ねそんな感じで2人は結ばれます。
まあ、そこまではいいです、あ、そういう話なのね、で片付けられます。問題はその次。
ここへ来るともう、「なんで?」に頭が支配されてしまう。今さっき「性別関係ない」って話したやんけ。あれは一体何だったんだ、これを必ず書かなきゃいけない私の知らない決まりでもあるんですか?
あるのかもしれない。私は野生の腐女子だからルールとかそういうの何も知らないし……。
私としては、特に二次創作において、「前の恋人」の話とかあまりにもどうでもいい。二次創作でそれをやると既存の(原作に当然そういう設定のない)キャラに変な役割をさせるか、またはオリジナルキャラを爆誕させることになる。私がそのどちらも苦手なためか、そういう「過去の恋愛」の話をよりによってたった今カップルになったカップルがするな!と思ってしまうらしい。
これは私自身が恋愛をしない体質だからそう思うのかもしれない。
または、推しキャラを受にしがちなため、受を女々しくするな! という思いの現れかもしれない。
もし攻が推しだとして、受が架空の(かどうかはわからないが)相手に嫉妬してくれるという状況はおいしいのかもしれない。
私が嫉妬と縁遠い体質だからなのか、嫉妬の良さがわからないだけなのかも……。(嫉妬とはオキシトシンというホルモンの作用らしいが、私は実際先天的にオキシトシンが欠乏している)
私の体質の話はさておき、その次。
申し訳ないですがここまで来たらもう本を投げます。
そういうことを書きたいならBLという土俵じゃなくて普通に文学として突き詰められてはいかがか。
BLという看板でこれをやられると本当にきつい。
20年くらい前なら「新鮮」と受け止められたかもしれないけれど、なんというか今やテンプレ化しているような気がする。
大体ここを面白く書けている(と私が感じる)人はいない。
ここからハッピーエンドに持っていこうとすると、養子をとったとか突然男性妊娠できるようになったとか「どうにかして子供を作る」展開になる。そんな理由で文字通り爆誕させられる子供が可哀想すぎるし、私はBLに未来とか求めてない。
その展開がやっぱり無茶すぎるからか、ハッピーエンドは諦めて、「2人だからどんな道でも大丈夫」を選ぶお話が多い印象があるけれども、なんで好き合ってやっと結ばれたのに薄暗く終わるの? とそれはそれで心の中のクレーマーが暴れてしまう。
結論、結ばれたらその後グチャグチャ言わずにイチャイチャしてろ!
と、ただそれだけなのかもしれない。
でも逆に、結ばれるまでの間に、男だから……男同士だし……と「作中のルール的にキャラクターが努力でどうこうできないこと」を延々悩んでおいて最後突然記憶喪失になって告白即エンドな話も同じ理由で私は無理だ。記憶喪失になるな。
これらの要素から、特に二次創作において、「本にするなら長い話にしなければ」みたいな書き手の「じゃあ男同士に関する苦悩でも書いとくか」って思惑が……透けて見えてしまう……なぜなら私も書き手だから。
長い話を書くの、難しいよな。
一次創作の長い話を書こうとして結局早々に諦めて「これはプロローグです」ってプロローグ部分だけ公開したことのある……というか現在もしている身としては「わかる」しかないので強くは言えない。
でも、なんというか……私にとってBLとは「私から見た異性同士の話」であって、「自分では体験しえない世界の話」を想像してワクワクするものであって。
家事の分担とか将来の話とか、そういう自分が経験した、またはこれから経験するであろうことを見せられるとなんだかガッカリしてしまうのだと思う。
文字数を稼ぐなら、そういう「読み手の人生にもありそうなこと」よりも、「そのキャラならではのこと」をたくさん書いて欲しい。
まあ、それができれば苦労しないんだろうな……。
色々書いたが、もしも本当に「男同士で結ばれていいのかという葛藤と真正面から向き合って、2人が納得して幸せになれる話」があるならそれはものすごく読みたいと思う。
そうではなくて、「軽い気持ちで書いてみただけで深く考えてるわけじゃない」というのがなんだか気持ち悪いのだ。
これは障害者が雑に出てくるタイプの話にも思う。
私の好きじゃない言葉に「神様はその人が越えられる試練しか与えない」というのがあるけれど、実際の世界はともかく、お話の中ではまさにこれが全てだと私は思っている。
「登場人物が努力で解決できない試練をそもそもメインに据えてはいけない」「努力で解決できない試練が理由なく解決できてしまう話をそもそも書くな」というのが、私という理屈マンからのクレームなのである。
でも、新しいジャンルの新しい(若い)人たちは今どんな話を書いているのかをそういえば私は知らない。
なんかこう、小難しいこと(文字数とか)にとらわれず、のびのび書かれたBLを読みたいなと思った。
まあ確かに、実際「解決しないことで永遠に悩んでる自分に酔ってる」みたいな人はたくさんいるので、本当に嗜好の問題なんだと思う。
まあ、私は性格的にめちゃくちゃ悩みまくる分、エンタメでそれやられると冷めるたちですが……。
ともかく私というひとりの腐女子から見た、苦手な要素の考察のひとつということで。
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