職場でのいじめに耐えるべきなのか
これまで私が職場で受けたいじめを挙げれば枚挙に暇がないが、一番わかりやすく証拠しかないいじめといえば、車の運転席のドアに傷をつけられたことだろう。
それまでも、職場全員に聞かせるように「あんたはこういうところがダメで一生誰からも好かれない」と私を罵ったり、色々された。それでも辞めなかったのは、給料が聞いてたのの半分だったのにそれでも辞めなかったのは、「この程度で辞めるなんて」としつこく食い下がってきた先輩の存在と、当時祖母が週2.3の頻度で危篤になるのを1年半続けていたからだ。
母方の祖母のため、父は断固として車を出さなかったし、母は車を運転しない。祖父は高齢すぎて、免許返納こそしていなかったが病院に自分で行こうとしない程度には節度があった。となると、車を出せるのは私1人。昼間に病院から呼び出され、母がどうしても車で行きたい(バスやタクシーで行くにはかなり遠かった)と言い出せば、私は仕事を休まないといけない。そんな状況で新しい仕事を探すなんて無理で、最初に聞いた半額だろうとお金がもらえる限り辞める理由はなかった。
すると、あくまで辞めない私に痺れを切らし、その人は私でない人たちの悪口をも言い、私のせいでその人はそんなに荒れて言いたくもない悪口を言わされている、という事になった。いや、知らん。そう言いながらも、祖母の件が1年を越えた時、さすがにこれはやってられんとあと3ヶ月で辞めることを上司に相談した。
上司的には、最初は社員にするつもりで雇った、当時飛び抜けて若かった私が、結局お局様たちのお眼鏡にかなわず社員にできないと決まってから、私をずっと持て余していた。辞めるならどうぞどうぞと嬉しそうだった。いや、20代の貴重な時間をそんな風に無駄遣いさせたらあかんで、私以外は……。
まあとにかく、残り1ヶ月になった頃、私はシフトを減らしてもらい、極力そのやべー人と会わないようにしてもらった。当時はもう月給3万円くらいだったんじゃないかな。そうしたら、まあ……その人、会いにくるんだよなぁ。なんで?? 好きなの???
なんか急にめちゃくちゃ馴れ馴れしく、「なんで辞めるのぉ〜? 誰にいじめられたのぉ〜? 私に教えてぇ〜〜??」とか言ってくる。お前や。いや、1人だけじゃないけど半分以上お前や。と思いながらヘラヘラしていた。そうしていたら、車に傷をつけられるようになった。1日1本、最終的に5本。最終出勤日前に修理に持っていったら、保険会社に電話するように言われ、保険会社に電話したら、なんで警察に電話してないんですかと言われた。これ、はい、毒親あるある。私の親は車で事故を起こしても警察に連絡しなかった。自損も、自損以外でも。相手がいれば脅すか宥めすかすかして退散させていた。だからそれが普通だと思っていた。なんでと聞かれて、そういうものだと思って……と答えたが、とかく警察に通報しなければ保険屋さんというものは動けないらしく、なんとかそれらしい理由を作れということで、犯人に目星がついているから……と言えば、それはそれでじゃあますますどうして通報しなかったんですかと問われた。困った。
ので、いえ、職場が職場なので、荒れた人が腹いせにやったんだろうなとしか思わなくて、だから仕事を辞めてから色々しようと思った……と言うとなんとか許して貰えた。何やってたんだろう私。親と職場、両方を守るためにクソな嘘を重ね、お姉さんにめちゃくちゃ怪訝な対応をさせてしまった。ともかく保険はおり、車のドアは丸ごと取り替えしないといけなく、十数万の見積もりが出た。十数万。私の給料何ヶ月分かな???
そして例の、こんなことで辞めるのか先輩にはこのことも言った。が、もちろん動じなかった。車に傷をつけられたくらいで辞めるなんてありえないと言われた。でも、車検を通過できない傷で、修理費は十万超え。給料をもらうどころか修理費を払いに来るのはおかしくないかと私は言ったが、「それとこれとは別だし、私があんただったらそんなことで絶対辞めない」の一点張りだった。当時の私は、自分の考えは全て間違ってると思っていたので、仕事ってこんなに(給料よりいじめにより発生する修理費が高くても当然という価値観)厳しいものなのか……と打ちひしがれた。あと、例の人にはアリバイがあり、往復20分ほどかかる駐車場に行って帰るのは不可能だともその先輩は言った。でも、その犯人候補、職場のおじさんたちやお客のおじさんたちをメロメロ(死語)にしていたから、その中の誰かに依頼することくらい造作もないと私は思っていた。それくらい、おじさんたちはおかしくされていた。そしてそれはそれとして、私が辞める日は刻々と迫ってきた。
その頃になると、職場の皆が「本当は辞めないんでしょ、今なら本当のこと言っていいよ」と言い出した。気持ち悪い、と思った。その一方、私は自分の考えは全て間違ってるマンだったので、そうなんだ……私は辞めるって言葉で人を振り回すクソなんだ……とまた打ちひしがれた。なんでやねん……!
打ちひしがれつつも私は予定通り仕事を辞め、その翌日に祖母が亡くなった。新聞を読んだらしい職場の人から、「おばあちゃんのこと嘘じゃなかったんだね」とメールが来た。どんだけ疑ってたんだと私は虚しくなった。(最初に祖母の話をした時、これから毎日新聞でチェックするから死んだって嘘ついたらすぐバレるからね! と言われた)
多分、私の退職エピソードの中でもこれが永久に1番になると思う。今だったらもっとさっさと辞めている。辞めなかったのは、実家に居場所がなかったのも大きそうだ。
そうして、仕事でありえない目に遭うたびに、私の精神力の上限はゴリゴリと減っていく。
ストレス耐性の低い人はぬるい環境で育ってきたと未だに言われているが、逆だ。ストレスに晒されれば晒されるほど、耐性は下がり、ほんのちょっとのことで折れてしまう。
それで言えば私はもうこの年齢でここか……というレベルに耐性がやばい。あと30年は働かないといけないのに、耐えられる気がしない。
だから、逃げる。避ける。これ以上最大値を下げないように必死に立ち振る舞う。
でも、ぬるい環境でぬくぬく育った人にはそれがわからない。わかるまで説明しろと迫る。実際精魂込めて説明したことは何度もあるけど、ぬくぬく育った人には何年かけて説明してもわからない。わかろうとしない。でも説明しろと言い続ける。何年でも。暇か。
私は別に、私にストレスのない職場を用意しろとか、5000兆円くれとかは思わない。
ただ、あと30年も働けないし、そもそもあと10年も生きたいと思わない。
中二病的なやつではなくて、本気で。ここまで苦しい思いをしてまで、別に生きたくない。もう十二分に苦しんだから、これ以上はいらない。
……うーん、これも中二病なんだろうか。