地元×withAR ハッカソン レポート(優勝出来ました)
先週日曜日に行われた異業種仰天イベント「withAR ハッカソン」に参加してきたので、久しぶりのレポートです。
いつのまにか第11回目、参加者60名越えのイベントとなっていました。
今回は、地元(駅)をコンセプトにするというお題で 新宿駅を拡張した作品を制作し、初優勝出来ました!
絶対に勝とうと思って挑んだので、結果につながったのが本当に嬉しかったです。
イベントと制作までの流れ
withARハッカソンとは
異業種×ARのコラボでARの新たな活用法を見つける開発コンテストです。
異業種側→「アイデアの拡張」、
開発者側→「実用的な技術活用方法」と「強制的に開発習慣をつけよう」という目的で、コミュニティを広げています。
尚、毎回優勝者を決めますが、特に豪華商品とかは無く意気込みで挑みます。
今回のテーマは「自身が住む街の最寄り駅」で、開発期間は1週間。
また、ロケーションマッピングを補助するPretia SDKを利用するというルールがありました。
チーム分け
もともと一人で戦う予定だったのですが、参加者が多いこともあり流れでチームに。
ただ、自分のしたいことが明確だったり、皆さんお忙しそうだったのもあり なんやかんやで ほぼ個人チームに。
とはいえ、ちょくちょく客観的なアイデアを頂けたのは本当にありがたかったです!
企画設計とアイデア
「おもしろい」と感じるコンテンツを制作するうえで大事なことはいくつかありますが、私には特にこれが大事では?という仮説があります。
つまり、情報の流れの中で、自分の予想を上回るが理解出来るような変化が起きた時「面白い」と感じやすいのかなと。
で、ARコンテンツの場合は…
現実から非現実(拡張現実)への流れがここに落ちている必要があると考えています。
また、ストーリーの流れが自然であり長ければ長いほど変化の表現を面白く感じるのですが、現実要素では特に時間や人の持つストーリーが強さ(情報量)を持っています。
まとめてみれば、結構当たり前の話だったりもしますよね。
これらを踏まえた上で、今回制作するコンテンツはモノの拡張ではなく人を軸にしようと考えました。
また、ハッカソンの観点では、観光案内やコメントログといったモノの拡張系は他チームが制作する可能性が高く、実装力勝負になると個人で勝てる可能性が低そうだな…と。
で、過去と人をテーマにしたコンテンツに。
図で表すとこんな感じに
これが上手く表現出来れば、エモさみたいなものが伝わるかなと考え、
初日に方針決定→2日目までSDK検証→3日目〜方針の詳細化と開発という流れで進めていました。
開発と制作
1回目は遠すぎて失敗。
空間を拡張し、さらに遠方へ組み直し。
2回目はトラッキング出来なさ過ぎて失敗。
キー地点を変えて組み直し。映像ベースのマッピングでは明るさや天候の変化を考慮しないといけませんね。
3回目の現調で微調整をして成功。
他は、基礎的な開発スキルが思ったより足らず小さなことで時間をとりました。withARのUnity諸先輩方に聞けば良かった…。
木曜夜からの最後3日間は開発/制作に集中し過ぎたのもあり、最終日の発表資料作成あたりからはあんまり頭が回っていません。
※企画と開発の流れについては、電通さんにてインタビュー記事もまとめて頂きました!
尚、動画作成にあたり新宿っぽい曲を考えてたのですが、
「ホームタウン新宿の一角のストーリー」というフレーズがドはまりしていたので、新宿ストリート・ドリームに決定。
ミスターフルボッコです。
結果発表
一週間の開発/制作期間を経て発表会。
どの作品もかなりの精度で完成に至っており、正直 自分が優勝するのは難しそうだな…と思いながら各チームの発表を見ていました。
アイデアもさることながら、特にデザインへの落とし込み(着地力)がすごい。
優勝発表がありましたが、疲れ過ぎて自チームということに20秒くらいきづかず「88888」というチャットを自分で打ってました。
後ほど、作品へ頂いたコメントを見ると思った以上に自分の気持ちが伝わっていたのが嬉しかったです。皆さん感受性が高い。
その他の所感はこんな感じ
この後、いつの間にか寝ましたが、
翌日の社内ミーティングで「クマやばいですね」と。
そして疲れが抜けずこのレポートを書き終わるのにも1週間ほどかかっており、もう若くないことを痛感しています。笑
withARについて
本職がエンジニア/クリエイターでない私にとっては、活動の機会があることをありがたく思っています。
コミュニティについて特に良いと思うのは2点です。
①温度感の高いハッカソンを続けられている
当初はオフライン&少人数のイベントでしたが、オンラインや参加者の多様化にも対応しており、楽しさと真剣さがあるハッカソンを続けてくれています。運営の方々に感謝です。
②交流の場として発展してきている
回を増すごとに作品のレベルが高くなっており、AR初学者や個人がちょっと休日に参加してみようかな…という気持ちで参加しても中々勝つことは出来ないかも知れないです。
ただし皆でフォローしてくれるので、優勝だけを目的にするのではなく交流や勉強も目的にして頂けると価値があると思います。
特に一昨年からは雑多な交流機会が減ったので、他業種の方を含めとても貴重な場になっているのかなと。
参加した経緯
プロダクトマネージャーとしてのキャリア
私はプロダクトマネージャーを本職にしており、プロダクトマネジメントには以下のスキルが必要と言われています。
実際のプロダクトマネジメントにおいて1人で全てを習得する必要はないですが、製品(開発)とユーザー(市場)をビジネスが成り立つ関係で最大化していく為には必要なスキルと考えています。
もともとサービスやプロダクトを作りたいと思って社会人になったのもありプロダクトマネージャーにもなりたくてなったので、これまでの過程で無意識的にも必要なスキルを習得してきていました。
そして多分今はプロダクトマネジメントスキル習得の中級編にいます。
※PdM以外の汎用スキル(PM/プレゼン/マーケティングなど)は それぞれの間で取得している感じでした
その上で私は2017年頃からARサービスに可能性を感じるようになり、AR技術を軸にした勉強や製品開発を始めました。2020年からは現職でARサービスのプロダクトマネジメントを担当しています。
そして、プロダクトの性質にもよりますが、ARプロダクトではクリエイティブコンテンツとの相性により、プロダクトマネジメントスキルのユーザー領域を「③デザイン理解」から「⑥クリエイティブ表現の理解」に昇華させなければ…と感じていました。
しかし、ここの壁はかなり高い。。
いわゆるデザインはテンプレも豊富で顕在的な課題への解決も多いですが、クリエイティブは人の潜在的な意識にアプローチする必要がありそうです。
また、私は名前がdramaという割には自分のことを普通と思っているので、多くのクリエイターが無意識的に出来ている制作活動のプロセスを理解出来ないことが多いです。
身近なクリエイターが少ないので、センスが肯定されてきたであろう過程を知らず、作品としての結果だけが見えている というのもあります。
今回の作品でいうと、
準優勝の『面影レンズ』
3位の『サバイバル羅生門』
これらは特に私が思いつかない/思いついても出来ないパターンなので、発想力と実行力を尊敬しています…!
また、結果これらのコンテンツが上位になっているということは、ARの用途が単なる課題解決ではなく クリエイティブ的な要素と相性が良い/求められているのだと改めて感じました。
ARサービスの課題
上記のようにARはまだまだクリエイティブに使われることが多いですが、このようなコンテンツを制作することはARに関係ないビジネスを展開している人にとってとても難しいです。
ただし、大きなビジネスチャンスはここにあり、ARサービスを普及させる上ではセンスに乏しい私のような人が使えてこそで、何らかのテンプレートとなる仕組みを構築する必要があると考えています。
※弊社プロダクトも、補強しているつもりですがまだまだこのレベルに達しきれていない認識です。
2020年にNEWVIEW SCHOOLへ参加したあたりからARやコンテンツの方式をざっくり考えるようになり、そこから現実/非現実(冒頭にある企画設計の話)の仮説をたてました。
これには、自身の感情遷移とは別に以下あたりを参考にしています。
・笑わせて笑わせて桂枝雀(緊張の緩和やフリとオチの考え方)
・溶けるデザイン(モノの考え方)
・つい(体験設計やユーザーの感情)
・ブルーピリオド(表現の考え方)
そしてこの仮説を自分のARコンテンツでも証明してみる為に、この1年くらい本業とは別で 企画設計と開発/制作スキルの底上げをしていました。
すると2021年末、ちょうどいいタイミングでハッカソンの告知が
withARはこれまで参加した経験から 課題解決や利用ハードルへの対策(ビジネスとして成り立つとか)だけでなく、その発想や感受性への影響を評価される傾向にあるなと感じていました。
そこで、今までは技術スキル(特にAR開発スキル)を補完する機会として参加してたのですが、顕在的な課題解決型のコンテンツではなく、潜在的な課題や欲求に刺さるようなコンテンツを 論理的な組み立てで制作し結果を出せれば仮説を証明出来るかも…と、
そして結果として証明する以上は、はじめて本気で優勝しようと思い参加に至りました。
まとめ
今回のハッカソンでは、技術やビジネスモデルの展開をメインにせず、あくまで演出やストーリーといった表現をメインに制作して優勝できたと思うので、少し自分の仮説に確証を持てました。
クリエイターの考えも以前より理解出来た気がします。(でも世の中のクリエイターはこのようなテンプレートをすぐに覆していくので一生続きそう。。)
この仮説をさらに昇華させ、自身のプロダクトを通じて ARを世の中の当たり前にしていければ幸いです。
ハッカソン参加者及びwithAR運営の皆様、本当に本当にお疲れ様でした。
またどこかのイベントでお会いしましょう!