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【後編】萎凋茶ってどんなお茶?

こちらのブログは後編です。

萎凋茶、実際に飲んでみた

萎凋した煎茶「やぶきた」と、萎凋していないスタンダードの煎茶「やぶきた」の2種を入手し、飲み比べてみることにしました。

品評会で欠点とされていた風味ということなら、個性的な味なんだろうな・・・大丈夫かな・・・
とドキドキしながら入手した茶葉がこちら。

左がスタンダードなやぶきたで、右が萎凋したやぶきたです。

意外なことに、見た目については、色にも葉の形にも大きな違いがありません。
萎凋茶は茶色いのかと思いましたが、きれいな緑色をしています。

しいて言えば、萎凋茶の方が少し茶葉が細かいですが、これはすくい取った部分の個体差の範囲かもしれません。

茶葉の香りも確かめてみました。
が、なんと違いが分からない・・・・!

萎凋茶が個性的すぎる味であることを心配していましたが、今度は味の違いがわかるのか不安になってきます。このブログ、成り立つのでしょうか。

まずは、スタンダードなやぶきたの方を淹れて味見してみましょう。

萎凋茶の淹れ方は、香りを立たせるために、煎茶よりやや高めの90度前後のお湯で淹れるのがおすすめとのこと。
同じ条件で淹れるため、こちらのお茶も熱めのお湯を使います。

茶葉4グラムに、150mlのお湯を注いで30秒。湯のみに注いで、飲んでみます。
高めの温度で淹れましたが、しっかり旨みを感じます。ほのかな苦みが心地よい、おいしいお茶です。

次に、いよいよ萎凋茶を淹れてみます。

萎凋茶4グラムを急須に移し、90度のお湯を150ml注いで30秒。
湯のみに注いでみると・・・
煎茶のときにはなかった、花のような香りがふわーっと広がります!

これは良い香りです。
スタンダードな煎茶との違いが明確にわかったことにも一安心(笑)

紅茶も香りが花に例えられることがよくありますが、萎凋茶のほうがリアルな花の香りに近いように感じます。

飲んでみると、香りとともに、味覚でもお花を感じます。おいしい!
渋みがなく、まろやか。そして花。
花が入っているわけではないのに、不思議ですね。

煎茶と萎凋茶、水色を比べてみるとこんな感じ。
左がスタンダードなやぶきた、右が萎凋したやぶきたです。

茶葉が細かかったためか、萎凋茶の方が若干濃く仕上がりましたが、色味はほぼ同じ。

見た目に違いがないのに、味や香りが違うのが面白いですね。

二煎目も淹れて飲んでみたところ、一煎目よりソフトに花のような香りを感じます。
三煎目になるとだいぶ薄まって、かなりさっぱりした味わいになりました。

好奇心で茶殻も食べてみましたが、葉の筋がしっかりしていて、かなり口の中に残るのでおすすめはしません。笑
(ちなみに、茶殻を食べたいときは、葉がやわらかい六煎茶がおすすめですよ)

実際に淹れて飲んでみると、萎凋茶は花のような香りのある、風味豊かなお茶であるということが分かりました。

わたしは好きな味です!
癖が強いわけではないので、多くの方にもおいしくお飲みいただけるお茶ではないでしょうか。
スタンダードな煎茶とはかなり味わいが違うので、面白いと思います。


今回は、狭山で作られているやぶきたの萎凋茶を試しましたが、萎凋茶には他にもいろいろな種類があります。

「萎凋」という名前につい警戒してしまいましたが、萎凋茶は、酸っぱくも渋くもなく、怖いお茶ではありません。
ぜひ味わっていただきたいです。


本記事のライター:山口沙織