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【前編】1899六煎茶への想い

お茶には多くの種類がありますね。

緑茶と言っても一般的に馴染みのある煎茶から、深蒸し煎茶、かぶせ茶、玉露、抹茶、番茶や玉緑茶など幅広い種類があります。栽培工程や製法の違いで、覚えるのもなかなか大変です。加えて、異なるお茶をブレンドすることで、ひとつのお茶だけでは出せない深みや味わい、香りを作る「合組(ごうぐみ)」という工程もあります。

六煎茶は、1899が様々なお茶の魅力を引き出すことを目指した、合組したお茶です。

今回は、1899の日本茶インストラクター・坂上克仁と、六煎茶を開発いただいた宮野園(埼玉県狭山市)の宮野圭司氏のインタビューを通して、六煎茶の魅力をご紹介します。

1899の日本茶インストラクター・坂上克仁

六煎茶とはどんなお茶?

ー 六煎茶は、どんなお茶が合組みされたお茶ですか

坂上:鹿児島県、宮崎県、福岡県、静岡県(2地域)、埼玉県のお茶、計6地域のお茶です。年によって多少の入れ替えは行っていますが、2017年の販売から埼玉県の狭山茶、静岡県の掛川茶、本山茶、福岡県の八女茶は変わらず使用しています。宮崎県は都城茶と串間茶のお茶のいずれかを採用しており、鹿児島県は知覧茶を中心に採用しています。

ー 幅広いお茶を組み合わせていますが、バランスとしてはどのような点を意識していますか

坂上:組み合わせ方としては、色、味、香りのバランスを見て行っています。深蒸し煎茶としてご案内していますが、内訳はかなり細かい商品です。八女はかぶせ茶、知覧茶はかぶせ茶の粉茶、宮崎県は中蒸し煎茶、掛川茶・狭山茶は深蒸し煎茶、本山茶は煎茶を使っています。これらの複雑な合組みが、ひとつのお茶だけでは出せない深い味わいを作っているのです。

ー その深い味わいとは、具体的にどのような方向を目指しているのでしょうか

坂上:お茶は淹れるお湯の温度、浸出時間、湯飲みへの注ぎ方で味わいが変わってきます。六煎茶は、様々な地域のお茶を混ぜることで、お客様にとってどこか懐かしい気持ちになる味わいを見つけていただきたいと思っています。味としては、お湯の温度を抑えれば、しっかりと旨味が出るし、逆にお湯の温度を上げると、渋味がしっかりと味を引き締めてくれる味わいになります。

ー 1899として、どんな思いで六煎茶をお客様にお届けしていますか

坂上:2017年12月から販売している六煎茶は、1899で取り扱っている他の緑茶と異なる点として、1899のために茶匠・宮野圭司氏に合組みしていただいたお茶という点です。1899のお茶の魅力を発信していきたい、お茶と共に過ごすゆるやかな時間を提供していきたいという思いをくみ取っていただいたお茶です。お客様に美味しく味わっていただきたいというのはもちろんですが、作り手の思いも大切しながら、お茶の魅力をお届けしていきたいと思っています。


本記事のライター:濱田裕章