裏ひよこ日記 バリ島だより。
あちい〜。蒸し蒸しする
道を歩くとそこかしこに米と花の供物が置かれている。見るもの全部がはじめてで街は雑然としていて辺りからお香の香りが漂って。
ここはバリ島、短いバカンスに来ている。
いつもなら地中海方面だが、今回は趣向を変えてバリのヴィラに泊まることにした。天体観測仲間からウブドのヴィラからみた星がとんでもなくキレイだって聞いたらもうそれは行くしかねえだろ?それに、ボロブドゥール遺跡みてみたかったしな。朝日に映えて神々しいらしい。それは見とかないといけないかなと。
ん?ひとりで?バカいえそんなのあるわけ無いだろ。
急に決めた理由はまあ、前回のアレがあるからだ。アレってなに?って教えねえよ。
記念になるかな。て思い立って
今回はあいつはお引き取り願った。
一ミリも悪いとも思ってないけど。
今回はふたりでちゃんといろいろ話したいこともあるし。至極真面目にこれからについて。まだその話しをしてないけど。
あっ!!ねぇねぇねぇねぇあれなに?美味しいの?食べてみようよっ!!
…
ねぇねぇねぇねぇあそこの屋台美味しいのかな?ちょっと食べてみようよ?いいじゃん!
…おまえさ、昨日それで具合悪くしたのにまた食うんだ?
や、もう治ったし!!おくすり効いたし!
ふうん。
そう、あれは一騒動だった。
バカンス初日からあいつはやらかしてくれた
とにかく買い食いばっかすんな!おまえがチョロチョロチョロチョロするからいつまでたっても目的地につかねえじゃねえか
だって珍しくてさー
間に合わねえぞ?せっかく手配してもらったのをフイにするのか?
ああっ!それはダメよ!!
俺たちはガムランの演奏とレゴンダンスを見ながらディナーをたべるレストランをヴィラのコンシェルジュに頼んで手配してもらったばかりなのだ。
ヴィラから町まではヴィラの送迎で
街歩きしてみたいからとレストランの少し手前で下ろしてもらったのだった
案内マップを見ながら知らない街を歩くの久しぶりだ。
みちまちがってないよねえ?迷子になったりしてないよねえ?
うちのアレは壊滅的に地図が読めなくてさらにわからないくせにむやみやたらに歩き回る5歳児みたいなところがあるので地図片手にあいつの行く先を目で追いながら目的地に歩いてる。ほんとあいつにリードつけてあるきてえ。迷子の達人と知らない街を歩く緊張感といったらない。
まっすぐ先に寺院がみえるだろ?あれだな
風に乗って鐘のような音がしてくる
おまけにいい香りもして、夕日がキレイだ
ほんとあの音たまらないわよね。いつまでも聴いていたくない?
そうだな
この花の香りなに?
たぶんフランジパニだよ。
気に入った?
ああ、いいなこれ。
歩く先々で見かける蘭の花とどこかから漂うのはとにかくあまくて濃いようなそれに香の香りがミックスされてる。クセになる香り
ほんとこの香り好きすぎる。
お土産でいっーぱい石鹸とか買おうっと!
しゃらんしゃらんとガムランの音が聞こえてくる。
あーいいな。なんかすごいい。
ひとりで浸っていると突然あいつが
トゥリマカシーと言い出した
は?
Terima kasih。ありがとうっていう意味よ
いや、それはわかるがなんでいきなりトゥリマカシーなんだ?
連れてきてくれたからよ!
それか
じゃあ、Sama samaだな。
ん?
どういたしまして。って意味だよ
ほら急ぐぞ。
うん
あのさあ。トゥリマカシーって言葉だけどさ。
うん
蝶々がひらひら舞ってる感じがしない?
?
なんか、なんかね?
はじめてトゥリマカシーって聞いたとき
蝶々がひらひら舞ってるイメージがしたの。わあ、綺麗な響きだなあって思ったの今思い出した
そうか。うん、いいとおもう。
うん
そういうとこよ。
ああ、連れてきて良かった。