グッとこらえる
barで遅くまで常連客と楽しく飲んでしまい、最終バスを乗り過ごしたので、タクシーに乗ることにした。
タクシーに乗ってすぐに、ドライバーから「今日はキャバクラでも行ったのですか?それともラウンジ?」と質問される。
もちろん、そのどちらでもない。
「barの帰りです。キャバクラとかラウンジには、あんまりいいイメージないんでいかないんですよね〜。お金を使ってなんぼじゃないですか」と返事する。
少し飲み過ぎたので、胃から込み上げるものがあったが、グッとこらえる。
ドライバーは「ラウンジにもいい子はいますよ!」と言われ、そこから、ドライバーとラウンジ嬢の出会いについてをひたすら聞くことになる。
ざっくりいうと以下の通りだ
・タクシーに乗ったラウンジ嬢が旦那や子どもがいるが、夜の世界で働かないといけない身の上話を聞いて、同情する。
・そこからラウンジでその嬢を指名してあげて、同伴するようにお店から言われて、困っていたから、同伴にも付き合ってあげる。
・数十万もするボトルも購入し、ボトルキープもしてあげる。
・ボトルキープしたものの、ドライバーは飲めないから、友達を連れて行ってボトルをあけてあげる。
・家族がいるのにいつも、奥さんを同伴に付き合わせて申し訳ないから、ご家族で旅行にいってきなさいとホテルの一室をプレゼントしてあげた。(ドライバーはいかない。)
・ラウンジ嬢はもちろん「そんな申し訳ない」というが、僕がいつも「いいんだ」といっている。
美談っぽくしてるけど、ラウンジにめちゃくちゃハマってるじゃねーか!
僕は一つ一つの情報にずっと引っかかっていた。
お酒を飲めないのに数十万のボトルキープ?
ラウンジ嬢のご家族にホテルの一室をプレゼント?
やり過ぎでは?
〇〇してあげるといっているが、ラウンジ嬢が気分良く金を使わせているように思える。
凄まじいテクニックだ。
ホントに家族がいるのか?営業なのでは?
企業の社長や重役ならともかく、そんな何十万もお金を落としたり、ホテルの一室をプレゼントする余裕ないでしょ。
僕は絶対無理。ドライバー無理するな。
言いたいことがたくさんあるが、そこは僕も大人だ。
腹の底から湧き出る感情をグッとこらえて
「素敵なご縁ですね〜。運転手さん優しい〜」と
心にも無いコメントをするが、内心は突っ込みたくてしょうがない。
僕は酒に酔っていたが、運転手はラウンジ嬢と自分に酔っていた。
衝撃的な話に酔いが覚める夜だった。
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