日本の会社組織における納期と品質不正問題の関係
先日、興味深いnoteを拝読した
この方は米マイクロソフトの Azure Functions プロダクトチームのシニアソフトウェアエンジニアでもあり、著書もある。
日本社会と米国社会の「納期」に対する考え方がここまで違うものだとは、想像を超えていた。
日本の会社組織において、何でも、どんな小さなことでも必ず「納期」、「期限」はついてまわる。むしろ、納期、期限がないものはまれである。
提出書類には必ず提出期限があり、日々のタスクには必ず完了予定日があり、予定と実績の差異を日々チェックされ管理される。ほとんどの会社組織がそんな、毎日であろう。
物事、生産物、工業製品等の特質を評価する上でQCDという捉え方がある。QCDとはそれぞれ、
Quality(品質)
Cost(コスト)
Delivery(納期)
の3つの要素を指す言葉である。製造業やソフトウェア開発プロジェクトにおいて重要な要素であり、主に製造業でよく使われている。
私、ワニも社会人になりたての頃は外資系のコンピュータメーカの製造部門で製品検査の仕事をしていたが、上司が日本の製造メーカから転職してきた、これまた厳しい人で、これらを厳しく教えられた。
さて、みなさんは、このQCDの中でどれを最優先しますか?
と、問われたら・・・困りますよね。どれも重要である。
そもそも、物事、生産物、工業製品等のQCDはバランスで成り立っているのである。レーダチャートにイメージするとこんな感じになる。
Q:品質、C:コスト、D:納期の三角形になる。この三角形の頂点が内側だと悪い、外側だと良い、つまり三角形が外側に広がって面積が大きくなればなるほど特性が良いと評価される。
これを最もわかりやすく体現しているのが、吉野家の牛丼「うまい、早い、安い」なのである。
Q:品質 → うまい
C:コスト → 安い
D:納期 → 早い
もう、みなさんQCDの理解はバッチリですね。吉野家の牛丼と照らし合わせればバッチリですね。(笑)
さて、ここで、日本の会社組織における「納期偏重志向」の話になるが、先程書いたとおり、このQCDはどれも重要でありなにかを犠牲にすることはできない。
この三角形のバランスを保ったまま、拡大、縮小するのが理想である。
ここで、納期の頂点だけを外側に引っ張ってみよう。どういうことが起こるであろうか?
元々、いくら会社や上司が「納期をもっと短縮せよ!」とハッパをかけたところで、極端に組織の生産性、個人の生産性が変わるものではない。要はQCDの特性の三角形の面積は上の三角形と下の三角形では極端には変わらない。
特に、何の方法論、改善案も示さず、ただ納期短縮だけを求めるとQ:品質、C:コストが内側に引っ張られてしまうのである。
勿論、何か画期的な方法論でQ:品質、C:コストを犠牲にせずに、D:納期を良い方向(外側)に改善できるのであれば素晴らしいが、大抵の場合はそうはなっていない。
これはIT業界でもよくある話である。
これを、今問題になっているトヨタ系のダイハツ、豊田自動織機の品質不正に照らし合わせて考えてみてほしい。
もう、おわかりですね。
勿論、管理者側の言い分としては、
「Q:品質、C:コストを犠牲にせずに、D:納期を改善するつもりだった。てか、そんなの当たり前だろ?」
と言いたいのだろうが、実際はそうなっていない。何故なら、QCDの三角形の面積は大差ないから。D:納期だけを外側に引っ張れば、Q:品質、C:コストはその犠牲になる。
その、犠牲になったQ:品質が、不正となって表に現れてきているのだ。
要はバランス、世の中はバランスが大事なのだ。
100ワニをパクって退職エントリでバズろうとしたけど、全然バズらなかったワニ。 副業のオファーあればよろしくお願いします。 Twitterのフォローもよろしくおねがいします。@180wani