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「生活維持省」(ドラマ版)感想


※ネタバレ注意です。

あらすじ

「生活維持省」と呼ばれる役所勤めの男二人。今日も車に乗って職務遂行にあたっていた。その職務とは?
               (公式から引用)


感想と原作との比較

 人類一人一人が平和な日々を過ごすために政府が選んだ人物が犠牲になる世界...。それがこの物語の舞台です。この世界はありとあらゆる犯罪・事故が消滅し、人々は毎日を平穏にすごしているのですが、生活維持省に選ばれたら、その生活は、いや人生は、一瞬で終わってしまうという、中々恐ろしい世界なのです。
 そんな世界に生きる生活維持省に勤める主人公がラストシーンで「こんな平和な世界に生きることができて本当によかった」と言ったのがこの作品の全てだと思います。
 平和で、争いの無い世界に生きれて良かったと本気で言っていたのでしょう。ドラマを見た私達に理解できない「平和の形」を、彼は見ていたのだと思います。

 さて、ドラマ版を見る前に原作を読みました。やはりドラマ化にあたってか、設定がいくつか変更されてましたね。
 例えば序盤の、生活維持省の男達が老人を撃つシーン。あれは原作に無いオリジナルです。ただ、モデルになったであろう人物が原作にいるので、恐らくその方でしょう。
 またアリサの設定も子供から婚約した大人に変わっていました。まぁ、ドラマでも子供を撃つなんてシーン作れないから、これは仕方ないですね...。
 また主人公の設定いくつか改変されていました。特に大きい変更は恋人がいるという設定です。恋人がいるのは恐らくアリサと同じ運命を辿るという伏線のために付けたのかなぁと思いましたね。アリサも主人公も、恋人を残して去っていくという点が一致していたので、恐らく狙ったのかな?と思いました。

良かった点

 ここからは良かった点について話します。

①原作にある程度忠実だった。
 「当たり前だろ!」と言われたかもしれませんが、ドラマ化にあたりストーリーを大幅に改変することがあるので、これに関しては見終わった後にホッとしました。いやぁ助かった。

②ラストシーンからのEDの入りが余韻に浸れて良い。
 響く銃声。からのED。唐突に終わりあとは想像にまかせる、と言った感じが、星新一さんの作品らしいかなぁと思いましたね。

 書くとしたらこの二つでしょうか。とにかく、面白かったですね。








ここからは悪かった点や不満点を語っていきます。ネガティブな内容が含まれているので、気分を害したらすぐに読むのを中止することをお勧めします。

不満点

 そりゃあ100点なんてなかなか出ませんよね。
と、独り言ってみます。

 ①上司への「部署変更をお願いするくだり」

 ストーリーの途中、主人公が生活維持省以外の部署を志望するシーンがあります。これが終盤になって受理されるんですが、その日の政府が選んだ人物には主人公がいて...。
 見ているといろんな解釈ができると思います。「上司が主人公を始末するように何かしらの細工をした」とか、「生活維持省を辞めようとしたから自分の番になった」とか。余計な考えが浮かんでくるんです。原作だと選ばれるのは自然な流れだったのに、これではまるで人の悪意に主人公は消されたと解釈してしまいそうでなんだか原作の感覚で見たら違和感がありました。これはやめてほしかったです。

今回は一つだけでした。良かった良かった。

総合評価

10点満点中7点

話としては気になる点や原作との違いがあったりと原作を知っている身だと物足りないような感じがしました。ですが、星新一さんの話の中でもかなりダークなこの話をドラマ化してほぼ忠実に作っていただけたのが嬉しかったです。本当にありがとうございます。

次回は「不眠症」です。それではまた明日。








不満点

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