身近なお薬が原因の薬剤性腸炎とは
下痢の症状があるということで相談される方がいます。よく腸内細菌とか食物繊維等のお話はしますが、気をつけないといけないのは、その方が他の疾患でお薬を飲んでいるかどうか?を聞いておくことです。
例えば高血圧の方で降圧薬として、オルメサルタン(商品名オルメテック他)というお薬があります。オルメサルタン関連スプルー様腸疾患が報告されています。スプルー様の小腸粘膜萎縮が起こり、吸収障害を来すことで下痢に至ります。
オルメサルタンやバルサルタンが薬剤性腸炎の原因であることを知らないと、下痢の原因として疑うことができませんから、知識として持っておくことは重要です。
他に、ボグリボース(ベイスン他)は腸管囊腫様気腫症(PCI)の原因となります。また、ピコスルファート(ラキソベロン他)が虚血性大腸炎を引き起こします。
自己免疫疾患例えばリウマチでは、免疫抑制作用を有する抗リウマチ薬のメトトレキサート(リウマトレックス他)でも腸炎が起きます。出血性腸炎、壊死性腸炎を起こすので注意が必要です。
患者さんは医師を信用しています。だからお薬についても抵抗がありません。このお薬を飲まなければ病気が良くならないと信じるからです。しかしながら常識としてお薬は副作用がある事を意識することは必要です。それによりお薬の処方や診断内容が変わるからです。