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人生いろいろ


定期的に通院している70代の女性(仮Aさん)との対話をシェアします。Aさんは腰痛で来院している方ですが、昨日から痛みがひどいとの事。

Aさんは大家族に嫁いできてご主人の祖母、ご両親と共に生活をし、ある意味、他者の人生に左右されて、自分らしく生きてこれなかった方です。

最近はAさんの子供さんも家庭をもち、ご夫婦だけで心配も少ない人生でしたが、遺産相続のことで親戚の方々とかなり深くもめてしまい、心労が続いていました。

精神的なストレスが痛みとなり自分を苦しめていることは、私と対話を続けてきた中で十分理解はしているものの、心の内をご主人や子供に言っても迷惑な話なので、私にくやみ事を言いたくてやってくるのです。(笑)

そんな中Aさんのお父さんが40年前に書かれた本の事についてお話をされたのでご紹介したいと思います。

Aさんは数人のご兄弟がいます。お父さんは学校の先生で校長先生までされた方です。Aさんが学生時代お父さんと同じ学校にいたこともあります。 

学校のお友達はAさんにお父さんからお勉強を教えてもらえるから、いいね!と言われることも度々だったそうです。しかし実際は違っていてお父さんはAさんが勉強で分からない事があっても、自分の先生に質問しなさい。といって一度も教えてくれたことがなかったそうです。

また学校の先生はAさんと少し他の生徒とは接し方が違っいる事にも気づいていて違和感を感じていました。

だからこそお父さんは一切教師としてAさんに関わらなかったと思うのです。親子たりとて立場関係なく、他人(Aさん)の課題に立ち入らない。 すごいなぁと感じました。

Aさんは70代ですが、最近はYOUTUBEにはまっていてお笑いをよく見てるのではなく聞いているのだそうです。とにかく残りの人生楽しく生きていく事を目標にしています。他に楽しい事はないかと模索していたら、結婚した時に父親の形見ななるかもしれないからと、お父さんが出版された本を数冊お母さんから渡されていた事を思い出したのです。

お父さんは国語の先生で本を出版されていたのです。その本には卒業生にあてた祝辞の章や随筆のような章等もあり、お父さんが当時どのような考えをもって仕事や家庭に向き合っていたかを知る事ができたのでした。

その本の一部には、今朝は雨が降っていた。登校中のバスに雨カッパを着た女学生が濡れたカッパのまま椅子に座ったのです。私はこれは良い事なのか?どうなのか?ただその女学生をふかんしていたのでした。という文章が書かれていて、その夜自宅に帰り私(お父さん)は、自分の家族に今朝のバスでの事を話題にして家族に意見をきいたのでした。と書かれていました。

Aさんはそんな事があったことは記憶にありませんでした。ただ本を読み続ける事でお父さんという人を感じるれ事が嬉しかったようです。それでAさんは本を書きうつすことを始めたのです。そうすることでもっとお父さんへの臨場感が高まると共に心が無になれるらしいのです。私は楽しいのだなあと思いました。

丁寧な文章をかく事でさらに心が落ち着く。今まで知らなかったお父さんの歴史を味わいながら、教育者としての父、親としての父を知る楽しい時間をAさんは過ごしています。

私はAさんのお父さんは教育を最後まで真摯に探求された方ではないのかなと個人的に思います。自分の主観をできるだけ排除し、心眼でもって人を観る生き方をされてきたのではと勝手に考えていました。

Aさんはこの本をうつしている時は、腰の痛みを感じることはないそうです。(笑)答えは自分の中にあるのですね。わかってるんです。

だから私は治療を施す立場ではありますが、病の原因を追究することについての考え方を改めました。症状は結果としてはバランスを崩したことによるものです。だからこそ本当に自分が望んでいたものを受け取るチャンスがくるのではないかと思います。

心と体の調和を考えながらまた明日も楽しい時間を過ごそうと思います。

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