3年のフルリモートワークから見える世界
プロジェクトは始まったけれど、まだ同僚と一度もリアルで顔を合わせていない。そんなアナタに告げます。30分でいいです。近々で、リアルで一緒に時間を過ごす経験を作りましょう。
わたしはかれこれ、フルリモートワーク・パラレルキャリアを3年近くやっています。コロナの影響で、多くの人が強制的に叩き込まれた世界ですが、コロナから遡ること、2年弱前から、この世界の住人でした。
「フルリモートワークでは、仕事の質が落ちるのでは?」
という当初の予想を外し、「フルリモートワークでも、やり方を工夫すれば、アウトプットは出せる」と気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
が。
が!
注意が必要です。
フルリモートワークの弱点は、人間の「匂い」がないことです。定期的にリアルで会わないと、「画面の向こうの取り替え可能な誰か」と認識されます。いつでも、交換可能な土俵にいつづけることに。いまは、その競争相手が人間かもしれませんが、近い将来、というか今現在でもそうですけど、自律AIエージェントと競い合うディストピアが待っています。
3年、この世界の住人になって思うのは、ヴァーチャル上の情報の、圧倒的な少なさです。わたしたちは、無意識のレベルで、たくさんの情報をキャッチしていします。ですが、フルリモートワークの場合、匂いや仕草、肌艶、声の張り、雰囲気、癖などが、ディスプレイ画面によって除菌されます。視覚・聴覚情報しかないので、リアルで、上記補足情報をお互いに交換しあっていないと、行間を読むことができず、すこしずつ、お互いのコミュニケーションの溝が開いていきます。
で、そうならないためにコロナ前にわたしがなにをやっていたかというと、一緒に仕事をする人と、共通体験をすることでした。この場合、仕事の話はほとんど出しません(なりゆきで話す分には問題なし)。それよりも、一緒に美味しいご飯を食べて、「美味しいですね」といったり、きれいな形式を一緒に見て、「きれいですね」といったり。体験を共有することに傾注しました。
時間を一緒に過ごす過程で、それぞれのパーソナリティを形成する「要素」を味わうのです。3・4ヶ月に一度、あるいは半年・一年に一度、これをしておくと、普段のテキスト&音声ベースでのコミュニケーションの質が格段に上がります。
もちろん、海外にいて、一度もあったことがない方と仕事をすることもあって、コミュニケーションの齟齬なく、プロジェクトを勧められるケースもあります。が、それは、双方が高いプロフェエッショナル意識を持続し、目指す共通の目標が握れている、お互いの頭の中のリンゴが限りなく近い場合のみです。リンゴが近似していて、プロフェッショナル意識が持続できることは非常に稀です。わたしもいくつか、リアルで面識がない方とのプロジェクトを継続していますが、多分に相手方のプロフェッショナリティーに支えられています。
コロナだから、実際に会うのは、難しいんですけどね。
でも、ほんの30分でもいいので、仕事を一緒に時間を過ごしてみてください。その後の仕事のスピードと質が格段に上がりますから。
3年後の世界から見えた景色でした。現場からは以上です。
ごちそうさまです。
(写真は写真ACより、ぐっとぴさん)