ウォーカブルシティの視点で見たヘルシンキ(その1 概要&自転車道編)
2023年8月初旬に、フィンランドのヘルシンキに行ってきました。
この春から新潟市の「人中心のまちなかづくり」担当となった私。世界に誇れる魅力的な※ウォーカブルシティ新潟を目指して、ヘルシンキというまちについて私なりの目線でレポートしていきます。
※ウォーカブルシティとは…歩くということに着目したまちづくり。直訳すると、「歩ける」だが、「歩きたくなる」まちづくりが意味合いとしては正しい。
まずはヘルシンキの基本情報を。
人口は約60万人。
新潟市は約80万人なので、新潟よりも少ないんです。日本でいうと大きめの中核市(船橋市とか)くらいですね。
世界最北の首都とも言われています。
日本との時差は7時間(サマータイム時期は6時間)。
この時期は日没がなんと22時。日の出が5時なので、かなり日が長いです。一方で冬はその逆、日没が15時で日の出が9時…!冬期間は暗黒時代という現地人もいるのも頷けます。
市民性というか、フィンランドの国民性は、真面目で内気。日本人と似ていますが、大きく違うところは主張はハッキリすることらしいです。
都市規模や国民性なんかも、新潟にも似ている要素が多い感じがします。
今回、まちを歩いて見て、日本と大きく違うなと思ったのは、自転車道(以下、読みやすくするためサイクルレーンと書きます)。
ヘルシンキのまちなかは、バスにトラムに地下鉄と、「公共交通全部盛り」って感じで、ものすごく充実しています。
一方で自転車利用者も非常に多い印象。サマーバケーション時期で通勤者が少ないにもかかわらず。みんなヘルメットをつけて颯爽と自転車移動していました。電車内にも当たり前のように自転車を載せるエリアがありました。
フィンランドはSDGs達成度2年連続世界1位の国。環境意識や健康意識の高さが、車に依存しないまちの作りにしているのかもしれません。
ヘルシンキの特徴として、車道ではなく主に歩道側にサイクルレーンを作り、走らせているということ。
日本では、自転車は基本車道を走らせます。
ただ自転車乗りとしては正直結構怖い。
後ほどパリ編でも書きますが、パリは日本と同じく車道を走らせるスタイルでした。
パリでも自転車移動してみましたが、みんな自由すぎてだいぶ怖かったw
ヘルシンキの場合、パリほど歩行者が多くないこと、もともと歩道が広いということから、歩道側のサイクルレーンが作れたのかな。
まちなかではなく郊外では、たとえばこんなふうに、歩道の真ん中に白線を引いて、歩行者と自転車を半分半分にしただけ、というサイクルレーンも非常に多かったです。
日本は歩道がもともと狭いことから、歩道側にサイクルレーンを整備することは難しいのかもしれません。
しかし、ヘルシンキのような形を目の当たりにし、これが理想だなぁと実感しました。
歩道側だと、歩行者にとっては危ないのでは?とも思いましたが、基本的には街中部は、歩道と完全に分離されており、見通しの良い歩道は上の写真のような構造になっていました。画一的でなく臨機応変にやってますね。
今後、新潟でもまちなかの自動車交通量を減らすことができれば、歩道を拡幅し、その分をサイクルレーンにすることもできるかもしれません。
自転車用の信号や足を置きやすい高さの縁石も心にくい。自転車乗りの気持ちを考えた設計になっているように感じます。
ただ、ヘルシンキ中心部の舗装については、フラットなアスファルト舗装でなく、石畳なので、かなり振動がある箇所も。
舗装は歩行者の視覚の半分近くを占めるので、舗装がおしゃれだとまちが魅力的に見えるんです。なので、まちの魅力を上げるためしょうがないとはいえ、自転車乗りからは嫌がられているんじゃないかな。
この辺りはさらに進んでいると言われているコペンハーゲンを見てみたいなと思いました。
また、サイクルレーンが整備されているからか、電動キックボードもかなり使われていました。ヘルシンキでは3〜4社が参入していて、実際徒歩15分以上くらいの中距離移動に使うとかなり便利です。個人で所有の電動キックボードを使っている人もいました(コナンくんみたいなスケボー型もいてテンションあがった)。
便利な一方で、古いまちなみの綺麗な景観が広がるヘルシンキにおいて、道端に乗り捨てられているカラフルなシェア型の電動キックボードは景観的にどうなんだろうな〜とも思いますね。
パリでは事故が多いことと、利用者のマナーの悪さから、住民投票で電動キックボードの廃止が決まったそうです(投票率の低さが問題にもなっていましたが)。今後、日本にも様々な会社が本格参入してくると思いますが、サイクルレーンがあまり整備されていない日本において、安全に運行できるのか気になります。
https://www.cnn.co.jp/world/35202106.html
シェアサイクルや電動キックボードは、全てスマホで利用登録から決済までできます。バスよりも利用ハードルが低く、まちの風景を見ながら移動できるため、来訪者にとって魅力的。
よく「新潟は天気が悪いから、サイクルレーンを整備してもなぁ」という人がいますが、来訪者の視点で見れば絶対にあったほうが良いなと、今回の旅で感じました。
坂が少なく、観光スポットが点在している新潟市は、サイクルレーンの整備をもっと本気で考えなくてはいけませんね。
次回、道路上のベンチ編に続きます!
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