コロナによって、まちのニーズは”にぎわい”から”安全で贅沢な空間”にシフトする
外出自粛でやることもないので、読書やオンラインゼミでインプットばかりしています。そんな中でこれからは、にぎわいを作るまちづくりから「安全で贅沢な空間」が求められていくんじゃないかと考えた経緯をお伝えします。
1.コロナ社会におけるウォーカブルシティ
考えるきっかけのひとつは、NPO法人自治経営が主催するこちらのオンラインセミナーでした。
テーマは「ウォーカブル都市(シティ)」
これは国の施策のひとつで、「居心地がよく、歩きたくなるまち」のことをいいます。最初から日本語で言ってほしい。
クルマ優先だった道路を、人々が行き交い、様々な出会いと交流が生み出され、イノベーションの創出、まちの求心力の根源となるような、居心地がよく歩きたくなるストリートをすることを目指しています。
詳しくは国土交通省のガイドラインをご覧ください。結構読み物としてもおもろいです。
http://www.mlit.go.jp/toshi/content/001337722.pdf
非常に素晴らしい施策だと思いますが、このコロナ社会ではなかなか厳しい。セミナーの中でも、アフターコロナ(ここでは、コロナが収束した社会をいう)でのウォーカブルシティはどのようなものか?という質問に対し、アフターコロナはこなくて、コロナ社会でのウォーカブルを考えるようにしなきゃだよね。という意見が印象的でした。(だから考えてみた)
今までの都市は、高密化することで効率的な都市経営を実現し、集積することによるイノベーションや内需の拡大、高度化が図られてきました。
こちらの書籍に非常に詳しくそのあたりが書いてあります。都市サイコー!
しかし、シン・ニホン著者の安宅和人さんは「開疎化」を提言しています。コロナが蔓延する社会では、開放され、人がまばらな空間を目指すトレンドが強まると。わかりやすい図がこちらです。詳しくは安宅さんのブログをどうぞ。
2.開疎化によって貸切ニーズが高まる?
安宅さんの提言は、すでに全国各地で起こっていることを言語化したものと私は感じました。
今、急激に高まっている価値観が「安全であること」。感染を恐れ、リスクをなるべく下げる行動をした結果、まちなかやショッピングモールに人は行かなくなり、海や公園などの開放的な空間を求め集まりつつも、密集は避けています。
開疎化されていく社会において、都市空間はどのように活用していくことが求められるのでしょうか。WITHコロナの中での生活者のニーズとはいったいなにがあるのでしょうか?
真っ先に僕が思い浮かべたのは、温泉旅館。
今までは、大浴場とサウナがあれば満足していたお客さんが、貸切露天風呂付きの部屋を求めるようになるのではないか。これからはそういった消費活動が一部の金持ちだけのものではなくなるのではないか。と頭に浮かびました。
他にも私の例で言うと、服を買うときにセールの期間は外して、人の少ない時期に店員さんを独り占めして、ゆっくり話しながら買い物をすることが多いです。
セールを狙う人からしたらコスパも悪く、なぜ?と思うかもしれませんが、それ以上に人混みが嫌いで、店員としっかりコミュニケーションをとれる贅沢な時間を求めているからです。
これからの社会は、貸切露天風呂付き部屋や店員独り占めのように、大きな空間や時間を貸し切るような、贅沢な使い方にお金を払うニーズがより高まるのではないかと考えました。
3.開疎化したウォーカブルシティとは
さて、ウォーカブルシティ(居心地がよく、歩きたくなるまち)に話を戻します。
もうすでに外出自粛をしている皆さんは実感していると思いますが、WITHコロナの生活は外に出て歩きたい、密閉されていない空間で伸び伸びしたい。という欲求が高まっています。だけど安全じゃないから出歩けない。
つまりこれからは、一定の距離感を保ちながら安全に活動を行えることが都市空間において非常に優先度の高いニーズになりうるのだろうと思うのです。
ということは、土地が余るほどある地方こそポテンシャルがめちゃめちゃ高い。
先述した貸切ニーズから考えると、広場や道路上のオープンカフェはにぎわいを演出するため、密集させる時代は終わり、まばらに席が配置され、空間を贅沢に使った形になるかもしれません。店員さんは電動キックボードで移動しながら配膳をするとか。
都市部における密集は安全価値が非常に低いものとみなされ、地方でうまくその価値を形成できたところが、選ばれていく世の中になるかもしれません。一方で、今までの室内空間で商売をする人が限界を感じ、道路上に溢れ出てくるかもしれません。そうなると自然にウォーカブルシティが推進されるかも。
さて、そんななかで皆さんが住んでいる地方では、このような前提だとどのような空間活用が考えられるのでしょうか?
どうなるかわかりませんが、前提条件がある中で思想を巡らせるのは楽しいですよね。
ぜひご意見やアドバイスをいただけると嬉しいです!