3営業日分の商談目標数を"人を介在させずにテックタッチで" 獲得するメールマーケティングTips
はじめに
IVRyのインサイドセールスのマネージャーを担っている森本(@175cm71kg)です。私の自己紹介や過去の経歴は、1年前に執筆した入社エントリに記載しておりますので、そちらを参照いただけますと幸いです。
2024年8月現在のIVRyのインサイドセールス組織では、3〜4営業日分の商談獲得目標数を"人を介在させずにテックタッチで" 獲得しています。1年かけて磨いてきたテックタッチ施策は、今やIVRyのインサイドセールス組織において事業計画達成のための重要な柱となりました。
ここ1年で、マーケティングチームやPdMを巻き込みながら複数のテックタッチ施策を進めたり、ハウスリストに対してのメールマーケティングをインサイドセールス主体で取り組むなど、電話という手段に固執せず顧客体験を配慮しながらもあらゆる手段を駆使して商談化数を最大化しています。
(YoYで300%超で推移中)
また、私個人の活動でベンチャー/スタートアップフェーズのSaaS企業のマーケティング〜インサイドセールス領域を複数社ご支援する機会をいただく中で、下記のようなご相談を頂くことが如実に増えてきました。
そこで今回は、上記のようなお悩みを抱えている方の参考になればと思い執筆しました。もちろん電話以外にもいろんな手段がありますが、今回はIVRyのテックタッチ施策の中核となっている「メールマーケティング」に焦点を当ててみます。
なぜIVRyのインサイドセールスで、メールマーケティングを駆使しているのか?
1. 数年後には、インサイドセールスがコールしても繋がらなくなる未来がやってくるため
ここ数年の時勢として、コロナ禍でリモートワーク制度の導入が進み「アプローチしたい企業に電話しても繋がらない」という事象が如実に増えました。加えてIVRyは「売り手都合の営業電話をシャットアウトする」という用途で導入いただくことも多々あり、実はインサイドセールス殺しのプロダクトです。実際に様々な業界で「不要な営業電話への対応工数削減」という用途でご導入いだだいております。
1つのエピソードとして、IVRyの累計導入アカウント数が15,000を超えた時期から、弊社の面接に来てくださる候補者の方に「最近コールをした時に、IVRyのガイダンス音声が流れるので顧客に接触できないことがあるんですよ」と度々、言われるようになりました。
今後、電話は繋がりにくくなるかもしれませんが、メールは顧客に届きます。(※正しい配信環境、配信先情報が準備できていることが前提)そこでメールマーケティングという手段を磨いていこうと模索し始めました。
2. メールは"非労働集約的"に、商談獲得ができる手段であるため
電話というアプローチ手段は基本的に労働集約になりますが(オートコールツールを導入すれば話は別)、メールにおいてはセグメント配信機能があるので顧客体験をきちんと配慮し、工夫をすれば1回の配信作業で「5件、10件、」と商談獲得することが可能です。つまり、1回のコールで起こせる態度変容は最大でも1人だけ(=獲得できる商談数も1件)ですが、1回のメール配信ではその数倍〜数十倍の態度変容を起こす可能性を秘めています。
さらにメールの場合は、成果の出たメールをテンプレ化することが出来ます。そのため、メリットとしては「1回の配信作業を3分程度で完了させることが出来る」そして「属人化しない」という2点があります。
個人的な話で恐縮ですが、私の座右の銘は”怠惰を求めて勤勉に行き着く”です。過去にフィールドセールスをやっていた時にはグループ展開など、1社複数受注することで目標を前倒しで達成するという営業特性でした。これは「労働集約的に1社1受注を目指すより、楽に達成したいなあ」という魂胆から生まれた勝ちパターンでした。
上記の思考をIVRyのインサイドセールス領域においても「なるべくコールせずに、非労働集約的に楽に商談獲得できないかなあ」と考え始め、メールマーケティングという手段を顧客接点の中で随所に取り入れ始めました。
3. 私が元々メールマーケティングに携わっていたため、ナレッジがあった
「最後は再現性のない話かいな…」とツッコまれそうな内容ですみません。実は私はラクス社で4年間「配配メール」というメールマーケティングサービスのセールスに従事しておりました。当時は現WACUL社執行役員CMOのメールマーケティング・エバンジェリスト、安藤健作氏(@comune1128)のもとで、一緒に時間休暇を活用して後楽園ホールにプロレスの試合を観に行っておりました。働かせていただいておりました。なので当時の活動の一環として得ていた「SaaS企業において、どんな件名&内容のメールを配信すれば、顧客の態度変容が起こせるのか?」というナレッジを、現在はメールマーケティング従事者側として日々実践&アップデートをしています。
▼配配メールはこちら(IVRyではHubSpotと配配メールを活用中)
IVRyでは具体的にどんな施策を実施しているか?
まずは大きく分けると下記の顧客群に対して、メールマーケティング施策を実施しております。(一部はLPOとの相乗施策)
上記1~4までの全貌を明かしたいのですが、文量が膨大になってしまうので、今回は太字部分で強調した2つに絞ってご紹介します。
ケース①:営業時間外に発生したリードへの自動フォローメール
営業時間”内”に発生するリードに対してはリアルタイムに人が介在してアプローチすることが可能ですが、営業時間”外”に発生するリードに対してはそうはいきません。そこでIVRyではHubSpotのワークフローを活用して週末や営業時間外に発生するリードに対して、メールでの自動フォローを設計しています。
メールの内容については、営業時間”内”に新規流入したリードの中でインサイドセールスが初回コール時に未接触だったリードに送付するメールテンプレートを基に一部を改良して活用しています。このテンプレートの送付後商談化率が12%(=10通送れば1~2件、コールなしで商談化)だったため、営業時間外に発生したリードへの自動フォローメールの文面に転用しています。(成果は後述)
実際の文面↓
文面のポイント
①「7秒以内」で読める文量で、1メール1メッセージに絞る
メルマガは平均的に7秒までしか読まれません。そのため、7秒以内で読めるように、1メール1メッセージに絞り文量をシンプルにするのがおすすめです。
②ファーストビューにCTAを設置する
ファーストビューとは画面をスクロールしない状態で目に入る範囲のことです。半数以上の受信者は、じっくり読む暇がなくスクロールをしません。この点を考慮した上で、目的の場所(LPやWebページなど)へスムーズに誘導する設計として、ファーストビューにCTAを設置するのがおすすめです。複数社のナーチャリングメールで検証しましたが、クリック率が1.5〜2倍になりました。
③緑色のCTA(日程調整リンクへの誘導部分)の工夫
URLのアルファベットの文字列リンクにするよりも、ボタンリンクにするだけで約8倍、クリック率が高くなります。
④ボタンに記載する文言は「読み手に取って欲しい動作」にする
「日程調整はこちら」よりも「まずは日程を調整する」など、動作を促進する文言にすることでクリック率が2倍になります。
余談ですが、+αで文言の末尾に「>」を入れて全角1文字分の空白を加えて、少しだけ横幅を広げてみるのもおすすめです。複数社のメールで試してみましたが、全角1文字分の空白を加えるだけでクリック率が0.3~0.5ptほどUPします。
ケース②:インサイドセールスメンバーが保有している未接触顧客リスト
資料請求などインバウンドリードにおいて、一定割合でアプローチしても接触ができないリード発生します。未接触顧客の中から業種業態、解決したい電話課題、リード発生日 etc…という条件を基に50〜100件ほどのリストへ絞り込み「事例メール」を週に1度、配信しています。
メールマーケティングの成果は、リストの質 × 配信タイミング × コンテンツ で決まります。そのため、リストの質を担保するために無闇にリスト化するのではなく、先述の条件を基に仮説を持ってリストを抽出しています。
文面作成に関しては、インサイドセールスメンバーが日頃、顧客に送付しているメールの中で見つけた勝ちパターンを一斉配信用に改良しています。毎日実施する朝会の中で「こんなメールを作ったら、メール経由で商談獲得しました!」など、メンバー同士で成功事例を3分間で共有する場があるので、共有された内容から「じゃあテンプレ化するか!」「来週の未接触顧客リストへの配信で使ってみるか!」とヒントを得て文面を設定しています。
実際に配信した文面↓
この施策経由で毎週、未接触顧客リストから2~5件を商談化しています。(インサイドセールスのコールは無しで、メールのみ)
これも余談ですが、この未接触顧客リストへのメールマーケ施策は私ではなく入社2ヶ月目のメンバーが主幹となり遂行しています。
文面のポイント
①CTAの日程調整リンクは”リッチテキスト形式”
弊社ではCTAをボタンにしたり…リッチテキストにしたり…と複数回、検証を重ねましたが、未接触顧客リストへ配信する場合はリッチテキストの方がテックタッチでの商談獲得数が多い結果になりました。そのため、あえてリッチテキスト形式にしています。
②お打ち合わせで「どんな情報を提供してくれるのか?」をCTAの上に明示
「いや、そりゃ当たり前や」的な内容で恐縮ですが意外とインパクトがあるので念の為、記載しておきます。
「具体的にどんな情報を提供してくれるのか?」の明示
"料金のお見積もり"という文言を"ご利用料金シミュレーション"に変える
この2つの改良で、日程調整リンクのクリック率が1.5倍にUPしました。地味ですがこのような細かな改善が効いてくるので、疎かにしていけません。
その後の成果
具体的な実数でお伝え出来ないのが悔しいのですが、先述の1~4の施策を通じて、3〜4営業日分の商談獲得目標数を"人を介在させずにテックタッチで" 獲得しています。
また「テックタッチで獲得した商談は、受注までの歩留が低下する」というデータ推移もなく、現時点では”テックタッチで獲得した商談の質は下がる”という傾向はありません。
IVRyで一緒に働きませんか?
IVRyのインサイドセールスでは"インサイドセールスという役割に固執しないカルチャー"なので「メールマーケティング」「リードナーチャリング」「マーケティングチームとのプロジェクト推進」など、様々な領域のスキルを体得しつつ、いろんな検証を進められるという体験価値があります。
実際にこんな↓感じで、インサイドセールス主導でマーケティングチームを巻き込んで施策を進めたりもします。
検証したい施策はテックタッチ以外にも沢山ありますし、音声データ×AIカンパニーとして、インサイドセールスの具体オペレーションや施策など複数箇所においてAIの活用を”更に”加速させていこうと絶賛、模索中です。
なので我々の組織は、インサイドセールスとして働く上で”飽きない組織”であると思いますし、IVRyのVisionである"Work is Fun"を肌で感じていただける環境です。
そして、マーケティング活動の成果を最大化し、事業成長にチームとして寄与していくために本当に人手が足りていません!偉大な会社から続々と名の知れた猛者達の転職が相次いでいることから、巷では人材ブラックホールと表現していただくことも増えましたが、まだまだ採用力の弱いスタートアップです。
現在、IVRyのインサイドセールス組織は10名ですが、年内には25人までの拡大を目指しております。私自身も「労働集約型で疲れる、飽きるインサイドセールス組織にならないようにしたい」という想いで採用活動と組織作りに邁進しています。そんな想いに共感いただける方はぜひ、一度気軽にお話しましょう!
番外編ですが今回、文章量の兼ね合いで書き切れなかった施策や"マニアックなメールマーケティングTips"は沢山あるので、IVRyのインサイドセールス組織で実施している各種施策が気になるようでしたら、気軽にご質問いただけたらお答えします!
「うちのナーチャリングメールを添削してほしい」
「テックタッチでハウスリストの掘り起こしをしたいから相談させて」
そんなご相談もウェルカムですのでご連絡ください!