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そこにいたって会いたいよ


それは気持ちよく晴れた夏の日で、私はINIの6th Single 「THE FRAME」の特典会に参加するために会場へ向かう電車の中でスピッツの放浪カモメはどこまでもを聞いていました。

大切な日に耳にいれる音楽にはいっそう気を使いたいタイプの私が普段好んで聞いている柔らかいスピッツではなくロックサウンドの曲を選んだのは、会場に近づくにつれどうしたって早くなってしまう鼓動を味方にしたいと思ったのと、緊張と不安ですっかり糸が絡まってしまった頭の中をストレートな歌詞でほどいて欲しかったからだ(ムチャ素直な気持ちで……って、ほんまにそう)。


いつか素直な気持ちで会いに行きたい
愛にあふれた短い言葉を差し上げたい
ムチャ素直な気持ちで会いに行きたい
パジャマのままで受け止めておくれ
たったひとつだけ

スピッツ / 放浪カモメはどこまでも


ありがたいことに何度かヨントンやオフライン特典会に参加してきましたが、乱暴な言葉を使えば私はいわば陰の人間なので会話する相手に好意があればあるほど空回ってキャッチボールが出来なくなってしまいます。だからこれまで私のスタンスは(理由はそれだけではないけれど)ずっと「伝える」に執着した内容でした。一方的に喋るだけ喋って、匠海くんがありがとう〜と優しく答えてくれるような形になることが多かった。だけど今回、もう少し長く時間があれば私から匠海くんに伝えたい核のようなものに辿り着くまでの道を敷いたうえでお話をすることが出来るんじゃないかと思い最初で最後のつもりでロングトーク会に懸けることにしました。



1ヶ月前、晴れて1分間お話ができるチケットを手に入れた私は改めて匠海くんに聞きたいことやしてもらいたいこと、そして伝えたいことを考え始めます。

・お名前に「海」が入っているのが好きなのでお名前の由来を聞く
・もっと幸せになってほしいので何か私に出来ることはないかを聞く
・(たじがMINIとは友達みたいな関係でいたいと話していたので)匠海くんは自分のオタクとどんな関係性でいたいのかを聞く
・自分のオタクのイメージは
・ライブ前に心がけていること
・平井堅のPOP STARを歌っていただく
・お守りにしたくなる言葉がほしい
・どうしてそんなにモチモチなんですか
・匠海くんがかわいいので連れて帰りたい
・匠海くんと一緒に犬を飼って暮らしたい
・ブルドッグちゃんに名前を付けるなら何
・逆に私に質問はあるか


ただ、MBTIが○○○○のため(←言い訳)決断を先延ばしにして最適解を探し続け深く考えすぎてしまうタイプなので結局ずっとずっと何を話すか迷っていて、そこで決め手になったのが先日見たロッキンジャパンでの匠海くんの姿でした。

その日は肉眼で視認できる距離に匠海くんがいて、一曲目がLOUD(クール・力強い・パワフルな楽曲)なのにも関わらず抜かれていないところや自分のパート以外でもニコニコと楽しそうに笑っていた姿が強烈に脳裏に焼き付いていました。一曲一曲を届けるライブとしてすばらしかったことはもちろん、そのうえで「楽しかった!!」がいちばんにくるライブが好きで、それを匠海くんが実際にやってくれたこととそれをリアルタイムで受け取れたこと全部が嬉しくて嬉しくて嬉しくて、やっぱりライブだ!ライブの話がしたい!とこの日に決めたのでした(のちのフロイニでハンドマイクを採用したことによりMINI以外の人にも届いた実感について話をしてくれて、ニコニコの理由が分かり落涙)。


この衣装だったら嬉しいと思って選んだトレカ


かよちんのようにいっぱいお昼ご飯を食べ(〜いっぱい食べる子、良いと思うんで〜)前述したように空回りして話したいことが飛んでしまう可能性しかなかったのでコンビニで買ったサインペンを片手に、言いたいことを手のひらに書いていきました。ぶつぶつ練習しながら待機列に並んでいるとまだ距離があるにも関わらず元気いっぱいな(元気いっぱいとしか言い表せられない)匠海くんの明るい声が飛んできて、自分の感じ方にはなってしまうけど匠海くんは今日オタクからの要望に応えたい!応えるぞ!という姿勢で望んでくれているんだとすぐにわかり、絶対にしんどいスケジュールなのにその気持ちでいてくれるだけでありがたいなあって報われたような気になって少し泣いてしまいそうだった。


↓以下、レポです

(どうしても自分視点になってしまう特典会の話を不特定多数に見えるところに載せてしまうのは少し違うのかな〜とも思いつつ、載せます)






もう、さー。

実際には「えっと」を連発してしまったり匠海くんがまだ答えてくれている途中なのに割り込んでしまったりしたのに、そんな私を前にしても匠海くんは少しも目を逸らさないで真っ直ぐに目を見てくれた。受け取ろうとしてくれた。「あのね、」って私が一呼吸おいて話し出した瞬間姿勢を正すみたいに向き合いなおしてくれて、ひとことひとことに「うん、うん」って相槌を打ってくれた。泣きそうになり詰まってしまった私に「…幸せ☺️?」って、誰にも聞こえないくらいの小さくて優しい声で助け舟を出して言葉の続きを考えてくれた。

匠海くんがずっと目の前のひとりのオタクをひとりの"人間"として見てくれたから、そういう………そういうさりげない全部が私の記憶に残ってくれました。もしかしたら会話をした内容以上に、文字では表しきれない私だけの匠海くんの方が宝ものになるのかもしれない。最終問題、最後の最後の最後に人の中に残る相手のすがた形はその人が自然に作り出す姿勢や仕草なのかもしれない。




"匠海くんのパートがくるたびに匠海くんの心に近付けている気がする"

これは匠海くんにいちばんに伝えたかったことでした。とある雑誌で「ライブができなくなったらなんのために生きているのかわからなくなると思う」と話していた匠海くんを私たちはもう知っていて、それほどまでライブを愛している人が届けてくれるステージを通じ距離が縮まっているように思えることは、上に立つものと下から見上げるものという交わらない私たちだけの、いわば特別なつながりだと思います。その特別を私なりの言葉でどうにか伝えたいと思った。分からないけど、ううん、でもきっと私は言いたいことが確実に匠海くんに伝わったと思いました。もしかしたらこれは数年前だったら違ったかもしれない。言葉をより大切にしてくれている、今の匠海くんだから届いたのかもしれない。


「慣れ」みたいなものは、自分でも気付かないうちにそばにいます。匠海くんが以前からずっと教えてくれている遠くの方に届くように意識してくれていることも、誰かを支えたいという気持ちが自分の支えになっていることも、ライブが生きがいだということも、初めのうちは新鮮に衝撃を受けてその度に大暴れしていたのに、時間の経過に伴って自分にすっかり染み込んでしまっていて、いつからか「そうだよね、知ってるよ〜」みたいな視点になってしまっていた。そう、「慣れ」があったのだと思います。だけど目の前の匠海くんから発せられた"生きがい"の重みは、これからの私のオタク人生できっと何度も思い出すほどの質量を持っていました。こうして改めて対面でそういったお話をして、たとえ匠海くん自身のその在り方は同じでも、見え方や感じ方はその都度更新されていくのだと思ったし、それをその都度私からも伝えていいし、そうやってお互いに確認し合って残していくものなのかもしれないと思った。


特典会がすべて終了した日、匠海くんがくれたメールに「沢山力をもらったし頑張れる力を与えられたと思っています」と書かれていました。自分が誰かの力になっているという確信とMINIは必ずその力を受け取ってくれているだろうというようなこちらへの信頼まで感じられたのが嬉しくて、どこまでもどこまでもこの人のことが大好きだと思った。

匠海くんはきっと、私のことをすっかり忘れてもう顔も覚えていないでしょう。だけど地続きで、あの日の匠海くんはこの先もずっとここにいるんだよ。

大切な時間をほんとうにありがとう。


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