言語化論理的思考効率化タイパ見える化数値化エトセトラエトセトラ

馬鹿なのか? 私には理解ができない。あなたたちがこれらをそこまで神聖化し絶対化するのが。あなたたちはたとえば物語の構造や、哲学的なテーマ、描写の細かさとか言語表現の巧みさとか、そんなことばかり考えている。なぜ、それを考えていられる? なぜ、それで満足できるんだ? 私は悲しいことに絶賛言葉に、論理に、その無力さに苛まれているところであります。それは水を汲むためにスプーンを使うかのごとくだ。あなたたちはこのもどかしさを、この絶望を感じないのか? もはや言葉など糞の役にも立たないんだ。論理などケツを拭く紙にもなりはしないのだ。私のうちにあるこれを、そんなものたちでは…………(ああ!!!まただ!!!長く言葉を使うと、いつもこうなる!!!!致命的に間違っているんだなにかが!!!私はこんなことを言いたいわけではないんだ!!!!!!!)

あなたがたがとても愚かにも見えるし、とても聡明にも見える。蔑むこともあるし羨むこともある。私の言語能力の低さによるものだとあなたたちは思うだろうか。ああ。そうであるならどれほど幸福なことだろうか。そんな陳腐な話ではない。あなたたちはそうやって力比べをするのが好きで仕方がない。これはことばでは原理的に表せないものだ。「なぜ?」だとか訊いてくるんだろう? 論理に寄生された脳は一生治らない。科学も資本主義も階級構造も二項対立も幸せも生きる意味も私が私らしくあるとかもすべて論理による生存戦略だ。愚かな人々は論理を信奉し、それはミームとなって人類全体にまでその種をばらまこうとしている。私にはあなたたちがゾンビ映画にでてくるような気色の悪いバケモノにしか見えないんだよ。分かってくれるだろうか。まぁ少しは歩み寄ることができる。私は論理を憎んでいるのかもしれない。なぜだろうな。パズルや受験勉強が得意なら論理を愛していたんだろうか?貴方がたのように…………。仮にそうなら、そうでなくてよかったと思うくらい、私は論理を憎んでいる。羨ましい。言語化だとか論理的思考だとかを楽しんで「なんてこれは便利なんだ!」「私は天才だ!」とはしゃいでいるあなたたちが(はあ…………もう許してくれ。また私はこうして考えている……あまりに愚かで醜く悪辣……だめよそれでは………あなたはなんだかんだ言ったってにんげんなのよ……こんなもの書きなぐってるのがその証左でしょ……さぁ………はぁくそ………)。浅瀬で砂遊びをする子どもたちだ。私は、離岸流であなたたちがさらわれないか心配で仕方がない。海の奥底で鯨の鳴く声がする。少しばかり高い声を出すやつもいる。プランクトンが浮かんでいる。「生は儚い」。蟹が踊り、たこは擬態した。サメが魚を食った。矮雄がただ巨大な快楽に呑み込まれ消えていった。ロレンチーニ器官が微弱な電場を捉える。クラゲが詩を詠った。サンゴがそれを褒めた。海藻はほとんど無に近い。私は砂に「の」を何度も何度も描く。なぜかは分からない…………。太陽は我々を照り焼きにする。多分たのしいからだ。「の」を描くのは、多分、たのしかった。波が寄せては返す。そのたびに足が砂に埋まっていった。ああ……このまま地球とひとつになれないかな……。風が気持ちいい……。

妖精が見えた。マグマが見えた。銀河が見えた。ブラックホールが見えた。細胞膜が恥ずかしそうにしている。鹿が鳴いた。芋虫が片思いをしている。フェルミ粒子が私に頭を擦り寄せる。皆を抱き寄せる。排他律などここでは息をしていない。仏陀は蓮の花と戯れている。雷鳴。クスノキ。リス。睫毛。あなたたちは砂のお城を作り終えて、おいしそうに焼きそばを食べながら、純粋に、笑顔だった。

……幸せだ………明日は何を食べよう……… …… …。

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