2024.11.6 夢想
夢想である。
私の生きる世界はいつだって夢想であった。脳内お花畑、同じ中学に通っていた学友はそう言っていただろうか、あまりに楽観的だ
夢の中みたいにぼんやりした、それでいて甘くくらくら陶酔するような雰囲気が好き。夜に綺麗なワンピースを着て誰もいない道路をくるくるお散歩したり、お風呂場に光が差して美しく見えたり、シーグラスなんか好きでわざわざ海で探してみたり、
私の人生はロマンチックだ。ロマンチックな人生の方がいいと思っている。
去年だったか、冬に出会った音楽があった。私がお花畑の脳の中で思い描いていた夢の中、をそのまま音にしたみたいなイントロ、ふんわりぼんやりしているのになんだか心惹かれる甘美な言葉の羅列、廃墟の遊園地の写真を見たときみたいな、空虚で美しいポエトリー、彼女は何組かのアイドルが出演するライブに一人で立っていた。ピンクの長い髪の毛、白くシンプルなドレスにティアラをつけて、一人でくるくる舞いながら歌を歌っていた。存在は知っていたけれどしっかり歌を聴くのはその日が初めてだった。彼女はたった一人で、夢の中を歩いている、と思った。お城からこっそり抜け出して、夜の街をくるくる歩いているお姫様みたいなそういう危うさと美しさがあると思った。あの日のときめきがどうにも忘れられなかった。
ライブが終わった後、YouTubeであの音楽を検索した。MVがあった。ライブで見たお姫様みたいな彼女が、暗くてピンク色の甘い夢の中で歩き回っている、みたいな映像だった。どきどきした。思い描いていた甘い夢を、こんなにも美しく現実にしてしまう人がこの世にいるということが嬉しかった。寒い夜にイヤホンから音楽を流して歩いてみたりした。あの時間は間違いなく、私のロマンチックな人生であった。
一年が経って、また寒くなってきて、同じように音楽を思い出した。あの日のお姫様みたいな彼女と、あの日の私を思い出した。久しぶりにMVを見た。やっぱり夢みたいだと思った。同じあの日の私を、同じMVを通して抱きしめていた。
真っ白なソフトクリーム
あどけないはにかむ君
気持ちが溶けちゃわないくらいの温度で
保って守って笑っていてよ
人生をロマンチックに暮らしていきたい
あの日の私を、わたしは今日も音楽を通して抱きしめる