舞台「ハリーポッターと呪いの子」の客席で公演中止のアナウンスを聞いた話
舞台『ハリーポッターと呪いの子』2022年7月26日(火)12時15分の回で、客席にて公演中止のアナウンスを聞きました。
ためらいもありましたが、数年先に読み返して、「こんなこともあったな」と振り返れるかなと思い、記録に残してみます。
*私はハリーポッターの熱烈なファンというより、演劇が好きでずっと劇場に通っている人間です。そのような者が書いていることをご承知おきください。
直前の公演中止が続くいている演劇界
これを書いている現在、コロナ第七波の影響で、演劇界では直前の公演中止が続いています。
劇団四季では、23日(土)に開幕した『人間になりたがった猫』が、同日の深夜に翌24日(日)の公演中止を発表しました。
また、『ハリーポッターと呪いの子』が中止になった26日(火)には、宝塚も当日の公演中止を発表していました。
この他にも、様々な公演の中止のお知らせが連日流れていました。
私が持っていたチケットだと、『ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ』が、アラン・メンケンさんのコロナ陽性反応のため、中止となりました。
そんな中ので観劇だったので、ハリーポッターも中止のお知らせが来ていないことを確認して、家を出ました。
始まらない客席開場
そんなこんなで一抹の不安を抱えながらも、開演25分前くらいに劇場に着き、いつもとは違うACTシアターの内装をもの珍しく見て回っていました。
開演20分前くらいに客席に入ろうとしたところ、扉が閉まっており、どうやら客席の開場が遅れている模様。
今考えるとこの時点で変なのですが、舞台の仕掛けが複雑でトラブルも多い(らしい)この公演。日曜日も、開演が30分遅れたという話をネットで見ていたので、「そんなものなのかなぁ」と思っていました。
その後、12時2分、すなわち開演の13分前に客席が開場されました。
この時点では、「開演が押しそうだなぁ」とか呑気に考えていました。
キャストの登壇で色々と察する
客席に入ってからはスマホを見ていないので、正確な時間は覚えていないのですが、
お客さんが着席し、ロビーと客席内を結ぶ扉が閉じられてからも、なかなか始まりませんでした。
開演を待っていると、上手側からマイクを持った女性が登場し(制作の方だったそう)、その後からキャストの皆さんがやってきました。
おそらく、登壇されていたキャストは8名だったと思います。
(皆さん舞台衣装での登場でした。)
*間違っていたら申し訳ありません。
この時、「『ガイズ&ドールズ』の博多公演で、開演10分程前にメインキャストの方が舞台上に登壇され、公演中止のお知らせをしたらしい』」という話を思い出し、私はやっと事態を察しました。
藤原竜也さんの挨拶を呆然と聞く
まず、スタッフの女性から、
というアナウンスがありました。
この時点で結構客席がざわめいていました。
私も、スタッフとキャストの方が出てきた時点で覚悟はしていたものの、実際に聞くとやはりショックでした。
その後、キャストを代表して藤原竜也さんから挨拶がありました。
(*あくまでもニュアンスですが下記のようなことを話して下さいました)
また観客のことを気遣い、雨天の中劇場に来てくれたことへの感謝と、公演が実施できないことへの謝罪を何度もなさっていました。
とはいえ、誰が悪いわけでもないので(ましてや藤原竜也さんのせいではない)、私も自分自身の悲しい思いのやり場も見つからないまま、挨拶を聞いていました。
藤原さんの挨拶後、キャストの皆さんが上手にハケて行かれました。
うなだれるスコーピウス役の斉藤さんに対して、父・ドラコ役の宮尾さんが慰めるような仕草をされていたのが、印象的でした。
この2年ちょっとで何度も公演中止は体験してきましたが、客席内で聞く公演中止のアナウンスは、今までのどの中止よりも、精神的にくるものがあるなと思いました。
30分だけ開かれた客席
その後、規制退場があるというアナウンスがあり、しばらく客席で待機になりました。
この待ち時間にスマホの電源をつけて、友人にLINEした記録によると、時刻は12時32分。
客席開場から約30分後の規制退場でした。
劇場出口では、急いで用意したであろうお知らせの紙をもらいました。
ここからは私の予想ですが、
バックヤードでギリギリまで協議した結果、とりあえず客席を開場することで、「キャストの姿をひと目見る。直接話が聞ける」機会が設けられたのかなと思います。
すごく残念ですが、セットをじっくり見たり、舞台を写真に収めたり(*上演前は客席内での撮影OK)、扮装姿のキャストが見れたのが、せめてもの救いだったなと感じています。
まずはキャスト・スタッフの安全を
ライブエンターテイメントのガイドラインについて、様々な意見が飛び交っていますが、私はキャスト・スタッフの健康と安全を第一に考え、割と慎重に進めてもいいのかなと思っています。
私自身、7月の上旬にコロナに感染しました。
想像以上に、割としっかりと症状が出て、熱や倦怠感、止まらない咳に苦しみました。
そういう自分の体験も鑑みて、演劇はどうしてもキャスト・スタッフの方にリスクが伴うため、クラスターになるよりかは、早い公演中止が英断なのかなとも思います。(もちろん現実としては、経済的な損失との天秤になるのでしょうが。)
日々状況は変化しますし、今後どうなるかはわかりませんが、どうか無理のない範囲で公演してほしいなというのが一観客の意見です。
公演が再開する日を待っています。
罹患された方が早く回復されますように。
必ずまた足を運びます。その時はどうか幕が上がりますように。
最後に、今回の『ハリーポッターと呪いの子』の翻訳をされた小田島先生のコラムを。
これを読みながらいつかの観劇に備えます。